将来、老齢年金をもらうためには、2つの大切なことがあります。ひとつは年金保険料を払うこと。もうひとつはその期間。
公的年金の法改正で、2017年8月からこの期間ルールが25年から10年へと変更されました。就職、結婚、退職、Etc…とライフプランが変わりやすい女性にとっては期間ルールの短縮で、将来の年金を確実にもらえる可能性が高まるチャンスです。
でも、素直に喜んでいいのでしょうか?
朗報?それとも…?
公的年金の納付期間ルール改正
2017年8月16日
将来、老齢年金をもらえる条件についておさらい
いまの決まりが変わらなければ、現役世代の働き女子のほとんど(※)が、老齢年金をもらえるのは65歳から。なかには65歳になれば自動的に年金をもらえるようになると思い込んでる人もいるようですが、実はそうではありません。
冒頭に述べたように、老齢年金をもらうためには、当然、年金保険料を払わなければいけません。より厳密にいえば、年金保険料を払うなどして「年金支給要件」を満たさなければならないんです。
※昭和41年4月1日以前に生まれた女性は生年月日に応じ、65歳になる前から「特別支給の老齢厚生年金」をもらえます。
年金支給要件って?
年金の支給を受けるためには定められた要件を満たすことが必要ですが、老齢年金・障害年金・遺族年金のそれぞれに支給要件があります。
老齢年金に関していえば、「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」+「合算対象期間」の合計が必要年数以上あること。この年数要件を満たした人が65歳になったときに老齢年金が支給されるというものです。
この合計期間、これまでは「25年以上」とされていたのですが、2017年8月1日から「10年以上」という要件に変更されました。
保険料納付済期間
その名の通り、年金保険料を納付した期間です。
保険料免除期間
収入減少や失業などで、保険料の納付が困難になったときに、保険料の払込みを免除されている期間です。免除を受けるには所定の手続きが必要で、手続きをせずに納付しない場合は未納となります。未納期間は免除期間とはなりません。
合算対象期間
合算対象期間のことを「カラ期間」ともいいます。年金をもらうための必要年数の計算には入れるけど、年金額の計算には反映されない期間のことです。たとえば、
• 日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間
• 平成3年3月までの学生であって、国民年金に任意加入しなかった期間
などがあります。
資格期間が10年以上になった!
男女関係なく年齢を重ねるとともに、学生・就職・結婚とライフプランは変わっていくものです。しかし女性の場合、それに加えて、退職、留学、海外移住など、年金加入状況や保険料納付状況などが変わりやすいものです。
本来は保険料の払込が難しい場合、手続きを取ることで25年という支給要件を満たすことはできたはず。しかしそのことを知らずに、いわゆる未納となって、将来的に25年を満たせないという人もいたでしょう。
この期間ルールは1日でも足りないと年金をもらえませんから、どうせもらえない…とすでに諦めている人もいるかもしれません。そんな人でも10年に短縮されたことで支給要件を満たせるのなら、嬉しいことですね。
年金は老後資金のベースだから、増やすことも考えて
10年になったということは、現役バリバリの働き女子のなかには、もうすでに年金受給資格が発生したという人もいます。年金不安を考える人も多いなか、すでに権利を確保できれば、きっと安心できることでしょう。しかし、年金をもらう権利はできても、年金額は保険料の納付状況が大きく影響することを改めて頭に入れておきましょう。納付した期間が長い、つまり納付済み保険料が多いほど、年金額に反映される仕組みです。
仮にいま、あなたが会社員で、10年という要件を満たしていて、人生リセットで海外に住んでみる…なんて新たな人生を歩むとします。会社員の場合、年金額は収入額にも影響されるので一概には言えません。でも、10年程度の納付なら年金額が20万円少々ということは大いにありえる話です。月額2万円にもなりません。
任意加入で年金額を増やすことが出来る
実は、日本に住まなくなっても年金制度には任意加入という制度があって、保険料を払い続けることは可能です。「もう10年払ったから大丈夫」ではなく、任意加入で年金保険料を払うことで将来の年金額を増やすことができることも知っておきましょう。
会社を辞めてフリーランスになるような場合でも同様のことが言えます。フリーランスになると加入する年金は厚生年金から国民年金に変わります。これまで給料から天引きされていたのと違い、年金保険料は自分で納めなければなりません。今月ピンチだからとついつい未納にしたのでは将来の年金額は増えません。
公的年金だけで老後資金を賄えるとは言い難いのが事実ですが、老後生活資金のベースであることは間違いありません。
自分の年金は自分で守って増やすという心がけを忘れず、実行することで、本当の安心につなげていってくださいね。