皆さんは、流行に敏感な方ですか?ファッション誌を少し開いてみれば“今年のトレンド!”“話題沸騰!”など、読者の心をときめかせるキーワードがたくさん飛び込んできますね。そんな流行を先取りする商品も、季節が変わればまた、流行の型は移り変わっていきます。流行には敏感でいたいけれど、追い続けることに一生懸命になりすぎてお金を浪費してはいませんか?流行を適度に楽しむには、どのような心掛けが必要でしょうか。
「みんなが持ってるから」の心理は
本当だった!流行を追いすぎて
“浪費”しないためのポイントは?
2017年6月5日
テレビや雑誌を賑わす、さまざまな“ブーム”。流行はなぜ起きる?
テレビや雑誌を見てみると、最新のアイテムがずらっと紹介されています。時代は移り変わっても「何かが流行する」というその現象自体は変わることがありませんよね。「たくさんの人が同じものを持ちたがる。」「人の持っているものを欲しいと思う。」こういった心理、実は本当に、人間にはあるようです。これを経済学では“バンドワゴン効果”と言います。
“バンドワゴン効果”とは?
バンドワゴン効果とは、「ある選択が多くの人に支持されている」という情報が流れることで、その選択への支持が一層強くなる現象のこと。経済学以外でも、政治学や社会学などで使われている用語です。どうしてこのような現象が起こるのかというと、人は個人の判断よりも、多くの人が支持する判断の方が正しいと考えてしまうからです。
「みんながそう言うなら、きっと間違いないだろう」と思ってしまうのですね。買い物については「みんなが持っているものなら、良いものに違いない」という思考により、さらに多くの人が買い求めるようになり、流行が生まれるということです。
テレビや雑誌にも、バンドワゴン効果を狙った表現がいっぱい!
お店側ももちろん、たくさん商品が売れた方が儲かるのでさまざまな仕掛けをしています。例えば「今話題の商品」「ロングセラー商品」などと表示があれば、買い手は「この商品はみんなが買っているんだ」と想像します。また「人気No.1!」「ベスト〇〇受賞!」などの表示も「この商品はみんなに支持されているんだ」と思わせる効果があります。そんなに人気なら買ってみようかという気持ちになってしまうのも、なんだか分かる気がしますね。
これは余談になりますが「いつもきれいにご利用いただきありがとうございます。」は、「汚さないでください。」と書くより効果的なのだそうですよ。前者は「多数がきれいに使っている」、後者は「多数が汚している」と読み手が受け取るからですね。
バンドワゴン効果に流されそうなときは、こうしよう!
では、“流行”を良い距離感で楽しむためにはどのような心掛けが必要でしょうか。流行に敏感な方の中には、もしかしたら追い続けることに少し疲れている方もいらっしゃるかもしれません。また、追うことに一生懸命になりすぎて、お金を浪費している場合もあります。そんなときは、次の3つを心掛けて過熱する気持ちをセーブしましょう。
「欲しい!」と思ってもその場で買わない。
「これ、欲しい!」と一気に気持ちが高揚するような商品に出会ったときは要注意。その場ですぐに購入せず、一度売り場を離れる、別の日に出直すなどして間を置くことをオススメします。普段のテンションに戻った時にもう一度、本当に欲しいものかを考えてみましょう。
その商品を欲しい理由は何ですか?「売れているみたいだったから」などの理由なら、“バンドワゴン効果”に流されているだけかもしれません。その場の気持ちで購入すると、似たような化粧品を持っているのにまた買った、同じような靴をまた買った、というような「ダブり買い」をしてしまうことも。欲しい理由を冷静に考えてみる必要があります。
何年使うか、よく考えよう。
流行には特徴的な「型」があります。色や形に、目に付く特徴があり「これ、流行っているアレだ。」とすぐに分かるものです。これは逆に言えば、流行が過ぎてしまえば“ちょっと前まで流行っていたアレだよね。”という「流行遅れの特徴」になってしまうことに。
特に流行に敏感で、常に最新のものを身に付けていたいと思う方は、物としてはまだ十分に使えても、目に付く特徴が気になるからお蔵入り、という事態が予想されます。購入するときには「これ、何年使う?」ということを自分によく問いかけてみて。惜しみなく使い切って買い替えられるものなのか、それとも、割に合わない商品か。見極めることが大切です。
流行が去った後の自分の行動まで想像しよう。
これまで流行の過ぎたアイテムをどのように手放してきましたか?もったいないなと思いながら処分したり。もう使わないだろうなと思いながら押入れの奥の方へ眠らせていたり。もしかしたら、買わなきゃよかったなとまで思った経験もあるかもしれません。
何か流行の物を買うときには、流行が去った後の自分の行動まで想像してみましょう。流行を楽しみ、使い切ったことに満足できているでしょうか。モヤッとした気持ちが勝っているだろうなと予想されるときには、同じ金額でも別の物にお金を使った方が、価値の高いお金の使い方になりますね。
流行を楽しんで追っていますか?
暮らしに流行を取り入れることは、全てが“浪費”だという訳ではありません。ワクワクした気持ちを楽しむことで毎日の生活がより華やかになれば、自分にプラスの効果をもたらします。
ですが、もしあなたが、流行を追うことにワクワクせず、『追い続けなければならない』という強迫のような感情を持ちながら暮らしているのだとしたら、「流行」の考え方を少し変えてみてはいかがでしょうか。
本当に手に入れたいのは、どんな暮らし?
誰でも、「こんな暮らしがしたい」「こんな自分になりたい」という理想の自分像があるはずです。またその理想の姿は、流行に左右されて変わるものではありません。もちろん、自分の考え方や環境が変わって、「こうなりたい」という理想の形が、自分の中で変化していくことはあるでしょう。その気持ちの変化に素直になり、「自分の好き=自分の中の流行」と考えて、楽しみながら追い掛けてみましょう。
流行が気になる感情の中には、「注目されたい」「みんなと一緒で安心したい」など“心が満たされていない部分”も1つの要因としてあるかもしれません。“自分の中の好き”を認め、満足の仕方を変えることで、流行の楽しみ方が見えてくるのではないでしょうか。