お金の知識の中には国や自治体から援助してもらえるお金の活用方法も含まれています。おトクで役に立つ制度を利用して、お金の悩みや不安を少しでも減らすことができればうれしいですよね。今回は使える制度の一つ「高額療養費制度」を利用する際に出てくる「こんなときには…」について解説します。
医療費を大幅に下げる!
高額療養費の申請の仕方・もらい方
~質問編~
2017年5月1日
急な事故や病気の場合はどうする?
1ヵ月の治療費の上限を設け、その上限からオーバーした分は公的保険が支払いを肩代わりする…という制度が「高額療養費制度」でしたね。 あらかじめ入院や手術がわかっている場合は、「限度額適用認定証」を発行すればいいですが、急な事故や病気の場合は、なかなかそうはいきません。
一旦、高額の治療費を窓口で支払ってしまうと、払い戻されるまでの3ヵ月間、金銭のやりくりが難しい場合もあります。 そういう方のために、高額療養費制度では「前借り」ができる仕組みがあります。
治療費の前借りができる! 高額療養費貸付制度
各保険組合には、高額療養費として支給される金額の一定割合(8割~9割が一般的)に相当する金額を、無利子、無担保で前借りできる高額療養費貸付制度というものがあります。
医療機関が発行する請求書か領収書(もしくは保険点数がわかるもの)と必要書類で申請をすることによって、各保険組合から貸付を受けることができるんです。
当日までに間に合わなかった場合は…
外来の場合、通常は受診当日に窓口で支払いをしますが、お金の持ち合わせがなく、当日の支払いが難しい場合もあります。
そのような場合は、「請求書を使って高額療養費貸付制度を申請するので、貸付までの期間、支払いを待ってもらうことができないかどうか」、医療機関の窓口に申し出て相談してみてください。
額療養費貸付制度の必要書類は?
お金を前借りできるとは言えど、大金を借りることになるので、申請の際に書く書類も多くあります。なお、貸付のルールや必要書類は保険組合によって異なります。
<例:協会けんぽの場合>
・ 高額療養費貸付金貸付申込書
・ 高額医療費貸付金借用書
・ 医療費請求書(病院で発行されたもの)
・ 高額療養費支給申請書
協会けんぽ以外の団体に所属されている人は、 自分(もしくは夫)が所属する業界名と「高額療養費貸付制度 」とキーワード検索すると見つけられますよ。
貸付金はいつ支払われますか?
一般的に、受付後2週間から3週間程度で、貸付金(高額療養費至急見込み額の8割)が指定口座に振り込まれます。 時間がかかりますが、無担保無利子なので、消費者金融などで借金をするのが嫌な人は貸付制度の利用を検討するのがベターといえそうです。
要注意!高額療養費制度を利用しても治療費が高額になるケース
よく言われることですが、入院が月またぎをする場合は、要注意です。入院日数が「手術を含めて2週間」と言われたとしても、月末から月初にかかった場合は、高額療養費制度で対象になる医療費は、ふた月にまたぐことになります。
2カ月またぐときってどんなとき?
たとえば、年収ざっくり300万円の人が1月中に手術入院を終えて治療費が30万円かかった場合、自己負担限度額の計算はこのようになります。
<1月中に手術入院を終えた場合>
治療費 30万円 自己負担限度額 57,600円
<1月末に手術、2月に退院の場合>
1月末に手術をし、2月初まで入院した場合の治療費総額が30万円だった場合、やや複雑になります。入院が月またぎになると、治療費は月ごとに振り分けられることになります。
1月は手術があったので、治療費請求は20万円、2月は入院だけだったので、治療費請求は10万円だとします。(総額30万円は変わらず)
<1月治療費>
治療費20万円 自己負担限度額 57,600円
<2月治療費>
治療費10万円 自己負担限度額 57,600円
合計 115,200円
なんと、同じ手術にもかかわらず、請求金額は2倍になってしまいました。
治療費が高額にならないためにできること
手術・入院の月またぎの問題は、急を要する手術の場合は、どうすることもできませんが、手術日程を自分で選べる場合は、なるべく月をまたがないように月初頭、月中旬までを選ぶことを心がけてみてください。また直接お医者さんに相談してみるのも手です。
差額ベッド代は保険適用になる?ならない?
病院に入院する場合、個室なのか大部屋なのかも気になる所ですが、個室にする場合は、差額ベッド代という保険適用されない料金が請求されることとなります。差額ベッド代の相場は5,000円~と安くはありません。
しかし、この差額ベッド代ですが、厚生労働省の通知で『料金を求めてはならない場合』という事項も定められています。
差額ベッド代が負担にならない場合とは
差額ベッド代が適応にならない条件は以下のとおりです。
1、同意書に患者のサインがない場合(個室に入る場合には同意書にサインする必要があります)
2、重篤な救急患者等である場合(重体患者は同意書にサインもできませんよね)
3、医師の指示による場合
これら3つの条件にあてはまる場合は、病院側は差額ベッド代(特別療養環境室料)を請求できないようになっています。しかし、間違って請求される場合もあり、その場合そのまま支払ってしまうことも…。
もし、差額ベッド代が請求されていたら、上記のケースにあてはまるかを確かめ、あてはまっていたら窓口に申し出て修正してもらいましょう。 高額になってしまう医療費は、いざ請求されると困りますよね。
このようなトラブルを避けるためにも、自分の健康管理は大切です。
今回の高額療養費制度に限らず、日本にはさまざまな公的制度があります。自分を守るためにも、興味のあるものからぜひ調べてみてくださいね。
申請方法を確認したいときは「医療費を大幅に下げる!高額療養費の申請の仕方・もらい方~申請方法編~」をおさらい!