とくに親の老化を実感するわけではないけど、ふと将来の親の介護が気になることはありませんか。ただ、不安に思いつつも、いつから、何をすればいいのかわからないと考える人もいるのではないでしょうか。本記事では、親の介護に向けた様々な制度やサービスなどについて紹介します。親だけ、子だけで考えるのではなく、親子で一緒に介護対策をしていきましょう。
思い立ったらすぐ始めよう!親と私の介護対策
2022年10月27日
親の介護をする人はどれくらい?
人生100年時代といわれるほど長寿化が進行している昨今、いつかは親の介護が必要になる期間があるかもしれません。
SOMPOホールディングス株式会社が実施・公表した「親の介護に関する調査(2019年12月)」によると、近い将来親の介護をする可能性があると考える人(親の介護経験がない人への質問)は回答者の約3割。「わからない」と回答する人も同程度いますから、実際には親の介護が必要になる人はもっと多いのかもしれませんね。
しかしながら、「近い将来、親の介護をする可能性がある」と考えながらも「何もしていない」と答えた人は6割以上と多めです。介護が必要になると、費用や精神的な負担があったり、仕事や自分の家族への影響があったりすることも多いと聞きます。介護を受ける側も介護をする側も戸惑うことのないように、事前の準備をしておくことが大切でしょう。
前出の調査によると、介護経験者が事前にしておけば良かったと思うことの上位に「介護を受ける本人(親)との話し合い(31.0%)」があります。どんな介護を、どこで、誰にして欲しいのかなど、親子でしっかり話し合い、介護に対する意識を一つにしておくのが何よりの準備なのかもしれませんね。
参照:SOMPOホールディングス株式会社「親の介護に関する調査(2019年12月)」
こんなに違う!介護に対する親子の希望
介護の話題はセンシティブで、なかなか話しにくいと考える人もいるかもしれません。それでも、事前に話し合っておけば良かったという人が多いのは、意識を共有していなかったために、いざ介護が必要になったときの意識の違いにお互い大きな負担を感じたからかもしれません。
アクサ生命が行った「介護に関する親と子の意識調査2019」を見ると介護に対する希望に親子間で大きなギャップがあることがわかります。例えば介護場所では、子世代が親の介護場所として希望するのは「介護施設(38.4%)」が最も多いものの、親世代では「自身の自宅(36.4%)」の希望が一番です。自宅介護となると仕事への影響を考える人も多いでしょう。
これは、子世代では介護の担い手となるのは「自分自身(57.2%)」と考える人が最も多いことからも想像できます。しかしながら、親世代では「介護サービスの職員(49.6%)」が最も多く、子どもに介護をしてほしいと考える人は24.6%とあまり多くありません。子どもに迷惑をかけたくないという親心とも考えられますが、介護においては「費用」「仕事」「介助」のバランスの難しさもうかがえますね。
介護が必要になったら受けられる保障やサービス
できるだけお互いの負担を抑えられるよう、介護保障やサービスにはどんなものがあるかを知り、希望に応じて申込みをしておくのもおすすめです。
公的介護保険
親に介護が必要になったときには、まず公的介護保険の利用を検討しましょう。市区町村から要支援または要介護認定を受けることが前提ですが、要支援・要介護度に応じた介護サービスを利用できます。
例えば、ホームヘルパーに自宅に来てもらい、排せつ、入浴、食事などの手伝い、洗濯、掃除等の生活援助をしてもらうことができます。他にも、日帰りで施設に通い、食事や入浴、心身機能の維持・向上に向けた訓練などを受けられるデイサービス、宿泊を伴うショートステイなどがあります。これらの介護サービスは、提供費用の1~3割(所得等に応じる)を自己負担することが必要ですが、親子共に精神面や時間的な負担が軽減されるでしょう。
要介護状態に応じて福祉用具のレンタルや購入をすることもできます。1~3割の自己負担はありますが、介護ベッドや車いすなど高額な支出を抑えることができます。
民間介護保険
施設入居やリフォーム、生活費などの介護資金対策には、民間の保険会社が取り扱っている介護保険に加入しておく方法もあります。具体的な支給条件は保険会社によって異なりますが、一般的には公的介護保険の認定基準を給付基準としています。給付金は一時金または年金、あるいは両方で支給されるものがあります。
親介護保険
上で紹介した民間介護保険は基本的に本人が自分の介護に備えて加入するものですが、子どもが親の介護のために契約できる親介護保険もあります。一般的に親介護保険はJAFやコープ、ANAなど会員制度を設けている機関(企業)が窓口となって加入できる保険です。1契約で両親2人を同時に被保険者として加入することもできます。ただし、通常、1年ごとの更新・掛け捨て型の契約です。備えておくと安心ですが、保険料負担が重くなる可能性には注意が必要です。
金融機関の財産管理サービス
親の貯蓄で介護費用を賄うことを考えている人は、金融機関の財産管理サービスを利用するのがおすすめです。
具体的なサービスの内容は金融機関や商品によって異なりますが、一般的には親自身が所有する資産の管理および運用を信託銀行などに託し、契約時に設定した条件のもと本人(名義人)や家族(指定代理人)が現金を払い出せるサービスです。要介護状態になると自分で金融機関に出向けなかったり、判断能力が劣ったりして手続きできないこともありますが、原則として金融機関は委任状なく名義人以外の人からの申し出に応じることはできません。銀行や信託銀行、証券会社などで確認してみましょう。
いつ始まるかわからないというのも介護に対する不安の要因のひとつでしょう。親子で介護に関する話し合いをすることや、公的介護保険の手続きについて確認しておくこと、財産管理サービスを提供している金融機関へ資産を移管させておくことなどは今すぐにでも取りかかれる対策です。いつ介護が必要となる事態が訪れても慌てなくてもすむように、思い立ったらすぐに準備を始めたいですね。
(※本ページに記載されている情報は2022年9月30日時点のものです)