「貯蓄から投資へ」20年程前からよくいわれている言葉ですが、今回具体策として「NISAの拡充」と「iDeCoの加入年齢の引き上げ」が出ていることはご存じでしょうか?そこで今回は、何となく加入したほうがメリットあるような気がするけど、どちらを選んだらいいのか分からないという方に向けてiDeCoとNISAの違いと、選択方法についてお伝えしていきます。
今さら聞けない! iDeCoとNISAどちらに入ればいいの?
2022年9月8日
まずはiDeCoとNISAの違いを理解!
iDeCoは老後資産を準備するための制度として、NISAは貯蓄から投資の流れをより加速化させるための制度として作られました。
ここから先は、もう少し細かくそれぞれの違いについて解説していきます。
加入条件
iDeCo…20歳以上65歳未満の国民年金被保険者
NISA…満20歳以上の日本居住者
お金を引き出すタイミング
iDeCo…60歳以降75歳になるまで(受け取り方は、一括・年金・一括と年金を組み合わせるの3種類から選択)
NISA…いつでも可
運用商品
iDeCo…投資信託、定期預金、保険商品
NISA…株式、投資信託、ETFなど
商品の購入方法
iDeCo…年1回以上の積み立て。年単位で各自設定
NISA…都度(一般NISA)、毎日・毎週・毎月など自分で設定(つみたてNISA)
最低運用金額
iDeCo…5000円/月~
NISA…100円/月~(証券会社により異なる)
年間運用金額の上限額
iDeCo…14.4万円/年~81.6万円/年(加入資格により異なる)
NSIA…一般NISAは120万円/年、つみたてNISAは40万円/年
運用期間
iDeCo…最長75歳まで
NISA…一般NISAは最長5年、つみたてNISAは最長20年
税金の優遇措置
iDeCo…運用益が非課税・掛け金が全額所得控除・受取時に税制優遇がある
NISA…運用益が非課税
iDeCoは口座開設手数料・口座管理手数料・給付や還付の手数料が大きいからやらない、と言ってる人が現状では多いように思います。
NISAは多くの金融機関で信託報酬(運用コスト)のみ、つみたてはとくに信託報酬の低いものだけがラインナップされているはずです。
iDeCoは信託報酬の高いものも交じっているようです。
iDeCoとNISAとどちらを始めたらいいのか迷った時に、判断のポイントとして一番覚えておいてほしい点は「お金を引き出すタイミング」です。
iDeCoは、60歳になるまで引き出すことは出来ませんが、NISAは自由です。「老後資金のために絶対60歳までは引き出さない」と考えるのであればiDeCoを、いつ引き出すか分からないけど効率よく運用したい場合はNISAを、など目的に合わせて選択しましょう。また、余剰資金(収入―支出―生活防衛費)が十分な場合は、iDeCoとNISAを両方使って資産運用することもお勧めです。
iDeCoを始めるまでのステップ
ここからは、iDeCoの始めるときのポイントを解説していきます。
①加入資格を確認する
まずは、自分に加入資格があるか確認しましょう。、加入資格区分によって、掛け金の上限額が異なります。iDeCo公式サイトに質問に答えるだけでどこの区分に当てはまるか分かる「カンタン加入診断(https://www.ideco-koushiki.jp/start/)というものがあるので、確認するときにぜひ利用してみてください。
②掛け金を決める
iDeCoの掛け金は5000円/月から1000円単位で決めることが出来ます。年に1回状況に応じて掛け金の変更が出来ますし、いつでも一時休止が可能です。しかし、60歳まで引き出せないので、無理のない範囲で拠出できる金額を考えましょう。
③資産運用の基礎を理解する
iDeCoは資産運用です。iDeCoを始めると、あなたは加入者(お金を拠出する人)となり、拠出を休止すると運用指図者と呼ばれます。いずれの立場でもご自身の責任において資産を管理・運用することに変わりはありません。この運用の成果次第で、60歳以降に受け取る金額が増える場合もあるし減る場合もあるということをしっかりと理解しておきましょう。
④運用商品を選ぶ
商品によって、仕組みや特徴、リスクとリターンの関係などが異なります。商品の特徴やしくみを理解した上で、商品を決めましょう。
金融機関を選ぶ
iDeCoに加入するときは、iDeCoを取り扱っている金融機関を通じて加入手続きをすることになります。金融機関によって、取扱商品や管理手数料、サービスが異なります。興味を持った金融機関の資料をいくつか請求してみるなどして、自分にとって安心できる金融機関を選びましょう。
NISAを始めるまでのステップ
続いて、NISAを始めるときの手続き方法について解説していきます。
①NISA口座を開設する金融機関を決める
NISA口座は証券会社や銀行等で開設します。NISAを始めるためには、証券口座以外にNISA専用口座が必要です。NISA口座は全ての金融機関を通じて1人1口座しか開設できません。金融機関によりそれぞれ取扱商品やルールが異なるため、資料請求をし、サービス内容を比較しながら決めましょう。
②NISA口座を開設する
口座開設する金融機関が決定したら口座を開設しましょう。今は、窓口に出向かなくてもインターネット上で開設できるところも沢山あります。また、開設する際は、免許証などの本人確認書類・マイナンバー確認書類が必要になります。場合によっては住民票の提出が必要なケースもあるため、どの書類を提出するのかしっかりと確認しておきましょう。
③税務署の審査
提出した書類を元に、金融機関が税務署へ申請し審査にかけます。一般的に税務署の審査は2~3週間程度かかりますが、多くの場合、審査中でも取引は可能です。
商品の決定
口座を開設したら、投資する商品を決め入金しましょう。現在、一般NISAとつみたてNISAがありますが、長期的にコツコツと運用したいのであればつみたてNISAがおすすめです。
どちらか迷った時は、目的を明確にする
iDeCoかNISAかどちらか迷った場合は、運用目的を明確にしましょう。老後に向けての運用であれば「iDeCo」、住宅資金や教育資金を貯めたい場合や、資産形成のために中長期的に運用したい場合は「NISA」と、お金を引き出したいタイミングを明確にすると選択しやすいでしょう。もちろん、税金の優遇措置や手数料の違いなどを考えることも大切です。しかし、大切なお金をせっかく運用していたのに、引き出したい時に引き出せないということは避けたいはずです。今回の内容を参考に、自分の老後資産や、将来必要となるお金を効率良く資産運用して増やしていきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2022年7月15日時点のものです)