成年年齢引き下げにより未成年者取消権が適用されなくなった18歳、19歳の契約行為に注意喚起がなされています。
未成年に適用される未成年者取消権がどのようなものかご存じでしょうか?
契約行為に役立つクーリングオフ(一定期間内に契約解除できる制度)の基本知識とあわせてご紹介します。
成年年齢引き下げで話題の未成年者取消権とは?
契約にかかわるクーリングオフについてもおさらい!
2022年7月28日
未成年者取消権とは?
契約を取り消すことができる権利
大人であっても、契約書にサインするときは、多少の緊張を感じるものです。権利や義務などが発生する書類だからですよね。
大人(成年)であれば、単独で契約を結ぶことができます。一方で、未成年が契約をするときは、保護者の署名捺印も必要とされることが一般的。未成年が親の同意を得ずに契約してしまっても、後から取り消すことができることが法律で定められています。
その権利が、未成年者取消権です。
2022年4月1日から成年年齢が引き下げに
2022年4月1日から成年年齢が引き下げられ、20歳から18歳になりました。18歳になると、成年とみなされます。親の同意を得ずに、契約も成立させることができます。
例えば、クレジットカードを保有するためには審査があり、返済能力のない場合は契約できないことが一般的です。しかし、審査のない商品契約などのケースもあり、契約を結ぶ行為には慎重さが必要であることを、成年を迎える前に自覚してもらう必要があります。
安易な契約をしてしまったなど、もしものときの相談先としては、消費者ホットライン(局番なし188)、国民生活センター、法テラスなどが挙げられます。
知っておきたいクーリングオフ
一定期間であれば撤回や解除が可能
「では、成年(大人)になってしまったら契約解除が一切できないのか」と心配になる方もいるでしょう。
ここで知っておきたいのが、クーリングオフ(契約解除)です。すべての契約に適用できるというわけではありませんが、一定の条件のもとで、解除できる契約、期間があると知っておきましょう。
強引な勧誘などを受けて契約してしまい、冷静になってから、しまったと青ざめることは、誰にでも起こり得る事態かもしれません。そのため、法律(特定商取引法や消費者契約法)で契約解除できるケースが定められています。このうち、特定商取引法で定められている内容に該当するものがクーリングオフです。
解除できるかどうか確認する習慣が大切
ここで、「クーリングオフがどんなものか」を詳細に覚えなければと身構える必要はありません。
契約時に、「クーリングオフが適用される契約かどうかを確かめておく」だけでも、安易な契約を防ぐ効果があるはずです。
契約時には、クーリングオフが適用されるか、どのくらいの期間であれば可能かを注意深く確認しましょう。解除できない契約とわかった場合、冷静に判断するべきと自覚できるかもしれません。
クーリングオフの概要
訪問販売や電話勧誘販売などが対象
クーリングオフの大体のイメージをつかむために、概要をご紹介しておきましょう。
クーリングオフを適用できる代表的な例は、下記のとおり。店舗での契約は、クーリングオフ適用外です。
・訪問販売(自宅や勤務先での場合):8日間
・電話勧誘販売:8日間
・マルチ商法や内職商法:20日間
・エステや語学教室、結婚相手紹介サービスなど一定期間一定金額を超えるもの:8日間
・店舗外における保険契約(期間1年以上):8日間
クーリングオフの期間などの内容は、契約書に必ず記載されることになっています。しっかり確認しましょう。
出典:消費者庁【特定商取引法】(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/)
ネットショッピングではクーリングオフできない?
新型コロナウイルス感染症による巣ごもり期間の影響で、ネットショッピング利用が増えた方もいるのではないでしょうか。
手軽に利用できるネットショッピングですが、クーリングオフ適用外です。販売会社のホームページに返品や交換の条件等が記載されているはずですから、購入ボタンを押す前にチェックするとよいでしょう。
メールやFAXでも手続き可能
電子メールでもクーリングオフ可能に!
クーリングオフの手続きは、書面か電磁的記録で行います。2022年6月1日より電磁的記録(電子メールなど)でも可能となり、より手軽に利用できるようになったのです。FAXでもOKです。
はがきなどの書面で行う場合は簡易書留などを使う、電子メールであればメールを保存する、ウエブサイトでのクーリングオフ用フォームを利用した場合は画面のスクリーンショットを保存するなどして記録を残しておきましょう。
クーリングオフ期間経過後に解約できる場合も
なお、クーリングオフ期間が過ぎてからでも解約できる契約もあります。消費者契約法という法律で定められている権利です。
・訪問販売や電話勧誘販売による大量の商品購入(過量販売解除:1年以内)
・事実と異なることを言われた場合の契約(契約取消:事実に気づいてから1年以内、契約時から5年以内)
・長期にわたる契約(中途解約:残りの契約についての解除)
日常生活で必要な範囲を超える分を買わされたり、屋根に問題がないのにもかかわらず、このままでは雨漏りしてしまうなどと嘘をつかれたりした場合には、解約できる可能性があります。先に挙げた相談先(消費者ホットライン 188番)に相談してみましょう。
※本ページに記載されている情報は2022年6月13日時点のものです