2022年4月から不妊治療の保険適用が拡大されました。これまでは、タイミング法と排卵誘発法という治療に関しては、健康保険が適用されていましたが、今回の改正で保険適用の治療範囲が拡大されました。窓口での支払いが3割で済むようになったので、医療費が一定額を超えたときは別の負担軽減策が受けられるようになりました。不妊治療の保険適用の概要とお金の制度について整理しておきましょう。
不妊治療が保険適用へ!
検討したいときに知っておきたいお金の制度とは?
2022年5月24日
不妊治療が保険適用に
(厚生労働省 不妊治療保険適用リーフレットより)
これまで保険の適用となる治療法は、一般不妊治療と言われるタイミング法と排卵誘発法でした。それ以外の選択肢(生殖補助医療と呼ばれるもの)は、経過的に助成金制度はあったものの、費用は全額自己負担でした。それが今年度から、有効性や安全性が確認された不妊治療のすべてが保険適用になりました。不妊治療のハードルがぐっと下がったといえるでしょう。
年齢、回数の制限がある
不妊治療は、治療開始時において女性の年齢が43歳未満である事が条件となっています。また、回数の制限があります。初めての治療開始時点の女性の年齢が、
40歳未満→通算6回まで(1子ごとに)
40歳以上43歳未満→通算3回まで(1子ごとに)
という上限が決まっています。
不妊治療を検討する際に知っておきたいお金の制度
医療費控除
医療費控除とは、1家族のために支払った医療費が1年の間に10万円を超える場合、所得控除を受けることができる制度です。保険適用外治療も対象です。
例えば、課税所得が200万円で、1年間に支払った医療費の合計が50万円の場合はどのくらい還付されるのでしょうか?ざっくり計算してみましょう。
所得税は超過累進税率といって、所得が高い人ほど税率も高くなる仕組みです。実際にはさまざまな要素が絡み合うためもっと複雑な計算になりますが、ここは単純に計算します。
(所得税の計算)
課税所得が200万円のとき:200万円×10%-9万7,500円=10万2,500円
課税所得が160万円のとき:160万円×5%=8万円
課税所得が200万円から160万円に下がると、所得税は10万2,500円から8万円に下がるということ。つまり、不妊治療をした翌年に確定申告をすれば、2万2,500円の還付を受けることができるということです。
高額療養費制度
次は、高額療養費制度です。高額療養費制度とは、1ヵ月(月初めから終わりまで)で上限を超えた場合、超えた分を支給してもらえる国の制度です。健康保険に加入している人であれば、誰でも支給対象です。これにより不妊治療にかかるひと月の自己負担を一定額に抑えることができます。
例えば、年収350万円の人であれば、上記の表のように1ヶ月の医療費が100万円かかったとしても、自己負担は5万7,600円で済みます。また、1年間で3回支給された場合、4回目以降は「多数回」に該当され、さらに自己負担限度額は減額されます。
高額療養費制度については、こちらの記事も参照くださいね。
まとめ
2022年4月から不妊治療の保険適用の範囲が拡大されました。タイミング法と排卵誘発法のほかに、体外受精などの基本治療は全て保険適用となりました。
合わせて知っておきたい制度は、医療費控除と高額療養費制度です。これらを利用すれば、さらに治療費抑制につながるでしょう。
(※本ページに記載されている情報は2022年4月18日時点のものです)