収入の減少・ストップに陥ってしまう要因は、ありとあらゆる方向性から考えられますが、なかでも勤務先からのリストラや勤務先の倒産によって急に仕事を失うケースは意外と多いよう。突然の失業で驚いてしまったり、慌ててしまうかもしれませんが、そんなときこそ知っておきたいのが、雇用保険からもらえる「失業給付」。会社勤めで雇用保険に加入している場合、要件を満たせば失業給付でもらうことができるんです。
働けなくなった!
ピンチの時に助けてくれる保険は?
2016年4月14日
雇用保険に入っていれば貰える、「失業給付」ってなに?
「失業給付って正社員だけが貰えるお金でしょ?」と思っている方が多いかもしれませんね。実は、非正規雇用でも雇用保険に加入していれば失業給付は貰えるんです。まずは、一度雇用保険に加入しているかどうかしっかりと確認しておきましょう。
雇用保険に入っていることを確認したら、次に気にしたいのが失業給付を受けるための要件。以下の3つが給付を受ける条件になります。
①離職前の1年間に6カ月以上(自己都合の場合は、2年間で12カ月以上)雇用保険に入っていること
②失業状態にあること
③ハローワークで求職の申し込みを行っていること
失業給付は、働く意志や能力はあるのに、仕事が見つからない人の生活を支えるためにあるものなので、病気やケガですぐに働けない人はもらうことができません。
退職理由でこんなに変わる給付額
では、失業給付でどれくらいお金をもらうことができるのでしょうか。
失業給付でもらえるお金は、離職前6カ月間の1日あたりの平均賃金の50~80%程度です。年齢によって1日にもらえる金額の上限があり、30歳未満は、6,395円、30歳以上45歳未満は7,105円です(平成27年8月1日現在)。
もらえる日数は、年齢や雇用保険の加入年数などによって最短で90日、最長で330日と開きがあります。また、リストラや倒産で辞めた場合と、自分から辞めた場合とでは失業給付がもらえる日数が変わります。さらに、自分から辞めた場合は7日間の待機期間に加えて、3カ月間の給付制限があります。つまり、自分から辞めた場合には、すぐには給付がもらえないので、ある程度の貯金が必要になるということです。
月収30万円、貰える金額はどのくらい?
月収30万円の会社員(35歳、雇用保険への加入期間13年が退職した場合の失業給付金額は1日当たり5,705円。1ヶ月にすると171,150円で、これまでの給料の6割程度です。リストラや倒産等で退職を余儀なくされた場合は、次の就職をするまで最長240日間もらえますが、自己都合だと最長120日間しかもらえません。また、先にも述べた通り、自己都合の場合は3ヶ月間の給付制限があります。無計画に会社をやめてしまうと、後の生活にこまることも。今後のライフプランを見据え、退職を検討するのが賢い方法と言えそうです。
失業期間を充電期間に出来るかどうかはお金の教養次第
突然、失業することがあれば、大きな不安や心配に襲われることでしょう。しかし、失業給付の制度をよく理解し、当面生活できる貯金があれば、失業期間も心と身体の充電期間と捉えることができるかもしれません。
この機会に自分のキャリアプランを見つめなおすことができるか、それとも焦りの中で条件を譲ってとにかく次の就職先を探すことに必死になるのか。それも普段からどれだけリスクを自分のこととして受け止め、変化に耐性のあるマネープランを作っているかどうかにかかっているといえます。
失業による収入・減少への備えとして雇用保険から支給される失業給付についてみてきましたが、病気やケガによって働けなくなるということもケースとしては少なくありません。かかった医療費は貯金や医療保険からカバーすることができますが、治療期間中に減った収入は家計に大打撃です。
それでは、病気・ケガによる収入減少に備えるにはどうしたらよいのでしょうか?
民間の「所得保障保険」で備えてみるのも◎
収入減少に備えるために合理的なのは、損害保険の「所得補償保険」や生命保険の「就業不能保険」の活用です。これらの保険の名前を初めて聞いた人も多いかもしれませんね。これらは、月収の一定額以内で、月額を決めて契約します。医療保険とは異なり、入院せず自宅療養中でもOKです。医療保険であれば、1入院の限度日数が60日や120日が主流ですが、これらの保険は2年などの長い期間保障されるので、大病を患い治療が長引いたときなども安心です。
代表的な就業不能保険の一つであるライフネット生命の「働く人への保険」をみると、契約者が所定の就業不能状態となってから180日以上が経過すると、加入時に定めた所定の「就業不能給付金」を、最長65歳まで毎月、受け取ることができるようになっています。給付金の月額は、契約者の加入時の年収によって一定範囲が決められており、月額10~50万円を5万円単位で設定可能。ただし、加入者は会社員などの安定した勤労所得がある人で、パートやアルバイトでも加入できますが年収が150万を超えていることが必要です。また主婦(夫)は加入できますが、学生、年金生活者、資産生活者、無職の人などは加入することができません。
月々の保険料は、就業不能給付金額および年齢、性別によって異なります。例えば30歳の人が月額10万円の給付金額で契約する場合、男性の月額保険料が1,946円、女性なら1,972円で手頃です。
このように、加入時のハードルはやや高めとなる就業不能保険ですが、医療保険ではカバーしきれない「在宅療養」も保障してくれるのはうれしいですね。
普段働いている分には、もしもの時について考える機会もなかなか無いかもしれません。ですが、その、もしもの時、何かあった時にすぐに動けるか動けないかで、今後の自分自身の生活が変わってくることもあるかと思います。お金や時間は有限の財産。自分の生活を守ってくれる制度について、アンテナを張っておくことはそれらを守ることにも繋がります。ぜひ、今回紹介した制度以外にも、もしものとき、どんな制度が使えるかチェックしてみてくださいね。