IPO(新規株式公開)投資と言うと、誰でもカンタンに利益が出せる投資と聞いたことがあるけど、どんな投資方法なんだろうと思っていませんか?IPO投資とは、新規上場する株式を買う権利を得て、上場して最初につく株価(初値)で売って利益を得ようという投資手法です。それには、IPO株の申込みをして抽選に当たる必要があります。どのような手順で行っていけばよいのか、やり方の手順と注意点を解説します。
IPO投資をやってみよう!
初心者でもできる申込みから取引までの手順とコツ
2022年3月25日
IPO投資とは?
IPOとは、「Initial Public Offering」の略で、未上場の企業が、新株の発行や売出を行って株式を証券取引所に上場することをいいます。公開された株式は、市場で誰でも自由に売買できます。会社は、証券会社に事前に審査を申請し、通過後は証券取引所が審査を行います。そこでも問題がなければ、上場が承認されます。IPO株は、企業の新規上場をサポートする証券会社証券会社が中心となって取り扱いますが、ほかに複数の幹事証券会社が取り扱いに参入する場合もあります。
売り出し価格(公開価格)は、ブックビルディングと呼ばれる一定のプロセスを経て決まります。(ブックビルディングについての解説は、後述します)企業は、多くの投資家の支持を得て上場を成功させたいと望んでいるため、売り出し価格は、本来の市場価格より低めに設定されることが多いです。よって、上場初日は株価が上がりやすいのです。
IPO投資のメリットとデメリット
メリットは、何と言ってもかなりの高確率で利益が取れることです。2021年は125社が新規上場し、8割を超える企業の初値が公開価格を上回りました。82.5%の銘柄が公開価格を上回るという結果になっています。中には、初値が公開価格の2倍、3倍というケースも実際にあり、まとまった利益を手にできる可能性があります。2021年の初値売り時の利益が1番大きかった銘柄は、アイ・パートナーズフィナンシャル(証券コード7345)で、100株で67.6万円の利益です。公開価格から約3.2倍の初値がついています。
デメリットは、
・抽選に当たりにくいということ
・公開価格割れをして損失が出る可能性もあるということ
この2点でしょう。
抽選はなかなか当選しませんので、地道にコツコツ申込みをするしかありません。
気になる公開価格割れの要因は、新規上場が続いて資金が集まらないこと、上場した企業のこれからの成長が期待できないと市場から評価されてしまうこと、資金調達額が大きいこと、世界的な政治情勢の不安や景気の動向などさまざまな要因があります。2022年に最初に東証マザーズに上場した訪問看護のリカバリー・インターナショナル(証券コード9214)は、マザーズ市場が荒れていたことが影響したのか、公開価格を14%下回ってしまいました。勝率が高いのは確かですが、損失の可能性もありますので、必ず余剰資金で投資しましょう。
次にIPO投資のやり方について解説します。
IPO投資の申込み方
IPO株は、IPOの専門サイトなどでいつ上場するか確認できます。
1.証券会社の口座開設をしておく
まずは、証券会社の口座開設をしましょう。IPOを多く取り扱う証券会社を、複数開設しておくといいです。中でも、私たち個人も平等に当選しやすいのは、ネット証券です。
例えば、SBI証券は取り扱い銘柄数が多く、当選に外れた場合もIPOチャレンジポイントというものが付与され、このポイントを貯めて応募することで、当選確率を上げることもできます。
その他、楽天証券、マネックス証券あたりであれば、比較的IPO取り扱い銘柄も多く、平等に抽選が行われます。なお、窓口のある大手証券会社は、お得意様に充てられることが多く、初めての人は当たりにくいと言われています。
2.目論見書を確認
証券会社のIPO株のページなどで、その銘柄の目論見書が出ているので確認します。目論見書というと難しく感じるかもしれませんが、隅から隅まで見る必要はありません。まずは、ざっくりでも始めてみたい方のために最低限見ておきたい所4つをお伝えします。
1.事業内容
成長性のある企業だと、期待が高くなり初値が高くなる傾向があります。
2.業績
赤字企業だからと言って公開価格を割るとは限りませんが、赤字企業より利益を出している会社の方が初値が高くつく期待が持て、安全と言えます。
3.想定発行価格
想定発行価格とは、上場が承認されたときにつけられる仮の株価のことです。主幹事証券会社が予想した価格のことで、類似企業や業績見通しなどから試算される適正価格より10〜30%ほどディスカウントされています。この想定発行価格が、後ほど解説する仮条件とかけ離れて高い場合は、公開価格割れをする可能性もあると考えられますので、確認しておきましょう。
4.ロックアップ期間をチェック
上場半年後くらいに再度投資をする予定であれば、ロックアップ期間もざっと目を通しておきましょう。ロックアップの用語については、後述します。
3.申し込む
証券会社の申し込み画面に仮条件の価格が記載されていますので、必ず仮条件の上限価格で申し込みをします。
仮条件とは、上場承認後に決められる株価の参考価格のことです。会社の業績や財務内容をもとに、1,000~1,200円など一定の幅を持たせて設定されます。
その後、ブックビルディングと言って、仮条件を投資家に提示し、投資家がいくらで買いたいか申告することで、公開価格が決定されます。
ですから、仮条件の上限で申し込むことで、抽選の対象になる条件になるのてす。
申し込み期間終了から約3日間程度で抽選が行われ、5日程度で上場となります。
4.当選したら購入、上場初日の初値で売る
晴れて当選したら、購入の手続きをしましょう。IPO投資の購入手数料は、無料です。ただし売却には、手数料がかかります。
基本的には、上場初日の初値で利益が出ていても出ていなくても売却しましょう。初値で利益が出ているともっと上がるかもと思うし、反対に公開価格を割って損失が出てしまっていると、もしかしたらこれから上がるかも……という気持ちになるのが自然でしょう。でも、その後の値動きは誰にもわかりません。利益が出ていれば一度確定し、初値が公開価格を割り込んでいた場合も、一度損切りする方が賢明でしょう。
IPOセカンダリー投資も
IPOセカンダリー投資とは、上場後しばらくは人気のあった銘柄に対して、投資家たちの熱が冷め株価が割安になってきたところで、投資をする方法です。業績がよい銘柄は決算発表などで再び注目される可能性もあります。
ロックアップ期間も終了して、上場半年後くらいが狙い目です。ロックアップ期間とは、会社が上場したときに、創業者やベンチャーキャピタルに課す「一定期間、または一定の株価になるまで株式を売ってはいけない」という制限です。株数を多く保有しているため、上場直後に株価が急落しないようにするための制度です。上場90日間または、180日間の制限や、株価が公開価格の1.5倍になるまで売却不可といった制限があります。
ロックアップ期間が終了すれば、大口の投資家が売却して株価が大きく下がる心配も少なくなるでしょう。
まとめ
IPO投資について、やり方を解説してきました。
・上場初日に初値で売却すると利益が出やすい
・なかなか当選しないので申込みをコツコツ継続する必要がある
・損失が出ることもあるので必ず余剰資金で投資をする
・申込期間に主幹事証券や幹事証券で申し込むことが可能
・仮条件の上限価格で申し込みをする
・業績がよい銘柄であればセカンダリー投資も狙い目
流れがわかればカンタンにできます。まずは、証券口座を開設して申込みをしてみましょう。
(※本ページに記載されている情報は2022年2月20日時点のものです)