児童手当は、児童の親権者のものなのか、それとも児童のものなのか?
そもそも、児童手当は、どういった目的で、誰のために、どういった立場の人に、いくら支給されるのか?
私たちの大切な税金を財源に支給される児童手当の制度について、改めて制度の趣旨を正しく理解したいと思います。
現状の児童手当の使い道のランキングをご紹介し、制度の趣旨に則った使い道の提案をします。
児童手当は親権者が勝手に使っていいの?手当の正しく有効な使い道を考えよう!
2022年3月7日
児童手当の本来の制度趣旨
児童手当とはどんな制度?
児童手当とは、0歳から中学校卒業まで(15歳を迎えて最初の3月31日まで)の児童を対象として、その児童を監護し、生計を同一としている保護者等(所得制限あり、児童を養育している人が複数いる場合にはその中で所得が高い人)を受給資格者として支給される手当です。
対象となる児童ひとり当たりの月額手当は、0歳から3歳までの場合は一律15,000円、3歳から小学校修了までの場合は第1子及び第2子に10,000円、第3子以降には15,000円、中学生の場合は一律10,000円が支給されます。また、受給資格者が所得制限を超えていても、特例給付として一律5,000円が支給されます。
児童手当制度の目的は?
児童手当制度は、子ども・子育て支援法に基づく現金給付で、子育て世帯の経済的な負担を軽くして、子どもの健やかな成長を支援することを目的としています。
<出典:児童手当: 子ども・子育て本部 – 内閣府 (cao.go.jp)>
児童手当は親権者が使っていいの?
児童手当制度の趣旨からすると、児童手当は日本の将来を担う「子どものためのもの」です。
実際には、子どもが未成年の場合には、民法により、その親権者に子どものお金の管理権がありますので、正当な目的のため、つまり対象の子どもの利益のために子どものお金の管理をすることとなります。
ただ、児童手当が子どもの養育とは無関係な生活費や娯楽費に充当されたり、離婚で子どもと同居していない親に支払われて、子どものために使われていなかったり、という事態が生じてしまうことがあります。
実際にはそのあたりを明確に区別し、正しい使い方を強制するのは困難であるので、結局は、親権者のモラルにかかってくるのが現状です。
児童手当は何に使われているの?
児童手当の使い道ランキング(厚生労働省統計、複数回答)をみてみると、以下のとおりとなっています。
1位:子どもの将来のための貯蓄・保険料(57.9%)
2位:子どもの教育費等(27.5%)
3位:子どもの生活費(22%)
4位:子どもに限定しない家庭の日常生活費(14.9%)
5位:子どものためとは限定しない貯蓄・保険料(8.6%)
<出典:厚生労働省「児童手当等の使途に関する意識調査」のポイント (cao.go.jp)>
児童手当の有効な使い方
学費など子どもに関する大きな支出に充てる
子どもの成長過程では、普段の生活費とは別に、学費(大学までの平均学費は一人1千万円、幼稚園から大学まで私立のみの場合だと数千万円)、塾代、ランドセル購入費、制服代等、まとまった金額のかかるものがあります。
それらは、普段の生活費で予定している予算からはなかなか支出が困難です。子どものための学費等やまとまった金額のかかるものについては、別にボーナス等でコツコツと貯めていけたらいいのですが、なかなかそれですべてを捻出するのが難しい場合もあります。
そこで、児童手当分を先取り貯金でプールをしておき、そういったまとまった支出に備えるとよいでしょう。
児童手当を全く使わずに貯めていくと約200万円もの金額になりますので、将来の学費としてしっかりと先取り貯金をして手をつけずにしておくのもひとつです。
先取り貯金した児童手当を運用する
先取り貯金をした児童手当は、貯金で保管するだけでなく、強制的に子どもの教育費として貯められる学資保険への加入や、投資で運用して増やしていくことも選択肢に入れましょう。
貯蓄型保険である学資保険ですと、返戻率が100%以上であり、支払った保険料は生命保険料控除の対象となるほか、親権者が亡くなった場合には保険料が免除されるというメリットがあります。
投資としては、初心者でもやりやすいつみたてジュニアNISA等で増やしていくのもよいでしょう。
まとめ
児童手当は、将来を担う子どものために支給されているものですので、ここはぜひ子どものために使いたいものです。
ただし、子どものために使うとはいえ、生活費の一部として考えずに使うとあっという間になくなってしまいます。
児童手当を受け取ったら、使い道を明確にすること、将来のためにプールすること、少しでも増やす手段を講じることをぜひ心がけていただきたいと思います。
※本ページに記載されている情報は2022年1月21日時点のものです