赤ちゃんが生まれるととても幸せな一方で、妊娠や出産にはお金がかかります。でも、妊娠・出産にかかった費用は医療費控除の対象になるって知っていますか? どんな場合に医療費控除の対象になるのか、そして医療費控除についても確認しておきましょう。
プレママ・新米ママ必見!
妊娠・出産の費用は医療費控除の対象になる!
2021年10月27日
医療費控除とは
会社に勤務している人は、12月になると年末調整によって給与天引きされた所得税が計算し直されて、払いすぎていた場合は差額の還付を受けることができます。そのため、基本的には確定申告をする必要がありません。
でも、その年の1月1日から12月31日の医療費の合計が10万円を超えた場合(その年の総所得等が200万円未満の人は総所得等の5%を超えた場合)は、確定申告をすることで医療費控除を受けることができます。
医療費控除を受けることで、さらに所得税の還付を受けることができます。また、住民税は減税分が翌年の住民税から差し引かれます。
医療費控除の計算式は、
「その年に支払った医療費の合計-保険金などで補填された金額-10万円(その年の総所得等が200万円未満の人は総所得等の5%)」
で計算します。上限は200万円です。
医療費控除の対象になるものは?
医療費控除の対象になるのは、基本的には病気やケガの「治療」です。治療に該当するものであれば、健康保険の適用外のものでも対象と認められます。
治療のために薬局で買った薬も対象となります。レシートが必要となるので保管しておきましょう。また、通院のための交通費も対象となります。バス代や電車代をメモしておいたり、タクシーに乗った場合は領収書をもらっておいてくださいね。
妊娠・出産にかかる費用も医療費控除の対象になる?
基本的に、妊娠や出産は健康保険が利用できないので、お金がかかります。でも妊娠・出産にかかる費用も医療費控除の対象になるので安心ですね。
ただし、中には医療費控除の対象にならないものもあるので注意が必要です。対象となるもの、ならないものを区別しておきましょう。
医療費控除の対象となるもの
・妊娠と診断されてからの定期健診や検査の費用
・悪阻や切迫早産による入院
・分娩費
・産前産後の入院費
・赤ちゃんの入院費
・緊急時のタクシー代
・産後1カ月検診費
・治療目的での母乳外来費用
医療費控除の対象とならないもの
次に医療費控除の対象にならない費用は次のようなものがあります。
・里帰り出産のための実家に帰省する交通費
・入院に際し、パジャマや身の回り品など入院用品の費用
・予防接種の費用
・赤ちゃんのおむつ代
・赤ちゃんのミルク代
・車で通院した場合のガソリン代や駐車場代
・妊娠検査薬代
・出生前診断費
妊娠・出産での医療費控除の計算式は?
先ほど、医療費控除の計算式で、医療費の合計額から補填された金額を差し引くとお伝えしました。出産をした時に出産育児一時金が42万円支給されます。その金額を差し引いて計算します。
また、帝王切開で出産した場合、帝王切開は健康保険の高額療養費の対象となります。そのため、高額療養費で補填された金額や、加入している医療保険から保険金が支払われた場合はその金額も差し引く必要があります。その結果、実質負担額が10万円を下回った場合は医療費控除の対象にはならないことに注意が必要です。
不妊治療の費用はどう考える?
不妊治療には、人工授精や体外受精など公的医療保険制度の対象外の治療があり、治療費の負担が大きくなる場合がありますね。
でも、不妊治療にかかった費用も医療費控除の対象になります。ただし、不妊治療で支払った治療費全額が医療費控除の対象になるわけではありません。
医療費控除の対象となるもの
不妊治療で医療費控除の対象となる主なものは以下のようなものがあります。
・不妊治療の検査費用
・人工授精・体外受精・顕微授精の治療費
・不妊治療のためのマッサージ費
・不妊治療のための漢方薬などの購入費
・不妊治療の通院の交通費
医療費控除の対象とならないもの
不妊治療でも医療費控除にならないものは以下のようなものがあります。
・健康食品やサプリメントの購入費用
・排卵検査薬代
・妊娠検査薬代
・自分の希望で遠方の病院に通院した場合の新幹線代など
また、不妊治療助成金を受け取った場合、その金額は「補填された金額」として、差し引く必要があります。
今年も残り2カ月となりました。
今年妊娠・出産をしたり不妊治療を受けたりした人は、ギリギリになって慌てなくて済むように、領収書などをまとめておくといいでしょう。
また、過去に妊娠・出産をしたり不妊治療を受けたりした人で、医療費控除を知らなくて確定申告していないという人も、過去5年間に遡って申告することができます。
心当たりがある人は、ぜひ申告してくださいね。
※本ページに記載されている情報は2021年10月15日時点のものです。