出産をして育児休暇を終了したあとに仕事に復帰するときは短時間勤務制度(時短勤務)を選択することができます。時短勤務を利用すると給料や社会保険制度はどう変わるのでしょうか? 出産後、社会復帰をしたい女性に知っておいてほしい時短勤務についてお伝えします。
出産後も働きたい!
時短勤務ってなに?
2021年9月29日
時短勤務とは
最近は出産した後も会社に復帰する人が増えてきました。とはいっても、子どもが小さい間はフルタイムで働くことは難しい場合が多いと思われます。そのため、2009年に育児・介護休養法が改正されて義務付けられたのが短時間勤務制度(時短)です。この制度には、小さい子どもを育てながら社会復帰ができるように、という目的があります。
時短勤務の条件
3歳未満の子どもを育てている場合に、子どもが3歳になるまで、原則として1日6時間の時短勤務をすることができます。時短勤務は、正社員だけでなく派遣社員やパートタイマーでも、次の2つの条件を満たすことで利用することができます。
1.同一の会社に1年以上雇用されていること
2.1週間の所定労働日数が3日以上あること
小さい子どもを育てながら社会復帰したいママにとって助かる制度といえるでしょう。
時短勤務中の給与の計算方法は?
時短勤務をすると、今までより給与が減少することが予想されます。保育料を支払いながら社会復帰をする場合、給与がどれくらい減少するのか気になるところでしょう。
働いていない時間は賃金が支払われない
例えば、フルタイムで1日8時間、1カ月に20日間勤務をしていたとします。その場合の1カ月の給料の計算方法は、8時間×20日=160時間として計算する場合が多いです。同じ日数を1日6時間の時短勤務で働いた場合、1カ月の給料の計算方法は6時間×20日=120時間として計算されます。つまり、時短勤務の1カ月の給与は、フルタイムで働いた場合の給与の120時間/160時間として計算することになります。
仮にフルタイムの場合の1カ月の基本給が25万円とすると、時短勤務の1カ月の給与は25万円×120時間/160時間=18万7,500円ということになります。つまり、フルタイムで働いていた場合の給与の3/4という計算になります。
ボーナスは、時短勤務によって減少した時間を差し引いて支給されることが多いです。先ほどの計算と同じく、フルタイムで働いていた時に支給されたボーナスの3/4という計算になるでしょう。
残業が多かった人は給与が減る可能性も
時短勤務中は、残業をしなくなることが予想されます。フルタイムで働いていた時に残業が多かった人は、残業代が支給されなくなるので時短勤務で減った分以上に、給与が少なくなる可能性があります。
社会保険はどうなる?
給与から天引きされている社会保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算されています。時短勤務をすることで毎月の給与が減るということは、天引きされる社会保険料も安くなるのでしょうか。
通常、報酬月額の改定には2等級以上の差があることが必要です。しかし「産前産後休業・育児休業等終了改定」という制度では、1等級以上の差で標準報酬月額を改定できるため、標準報酬月額が下がれば給料から控除される社会保険料も低くなります。
将来受け取る年金が減る?
毎月の保険料の負担が減ることで気になるのは、将来受け取る年金も減る?ということでしょう。大丈夫です、「養育特例」という特例措置を利用することで、将来受け取る年金を減らさずに済むのです。
「養育特例」とは、3歳未満の子どもを持つ厚生年金保険加入者を対象とする制度で、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置のことをいいます。特例措置の手続きをすることで、給料から天引きされる保険料は下がったままで、将来の年金額は養育期間に入る前の標準報酬額で計算されます。
ただし、この制度を利用するには、本人が申し出る必要があります。手続きは職場を通じて「厚生年金 保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を日本年金機構へ提出します。必要な書類は、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書と住民票です。
出産して職場に復帰する時は、何かと慌ただしいものです。先にこのような制度を知っておくことで、慌てずに手続きができますね。上手に時短勤務を利用して、仕事と育児を両立させていってくださいね。
※本ページに記載されている情報は2021年9月10日時点のものです。