テレビなどでも話題にあがることが多い生活保護制度。自分には関係ないと思っていても、新型コロナウイルス感染拡大のが長引くと、失業状態が続き生活が困窮する人も出てくる可能性があります。条件や対象者など、生活保護制度を正しく理解しておきましょう。
条件は?対象者は?
正しく知っておきたい生活保護制度
2021年9月22日
そもそも生活保護制度とは
「生活保護制度」は、国の制度として憲法25条の生活保護法によって定められています。
生活に困窮する人に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。生活保護制度を一度申請しても、その後安定した収入が得られるようになれば生活保護の需給を停止することができます。その際は「就労自立給付金」を受け取ることができます。
生活保護制度は、生活を立て直すまでのセーフティーネットと言えるでしょう。
生活保護制度、条件や内容は?
生活保護を受けるためにはいくつかの条件があります。
生活保護、受けるための条件
まず、前提として、世帯員全員が利用できる資産や能力など全てを最低限の生活の維持のために活用する必要があります。
具体的には、下記の通りです。
1.預貯金や土地・家屋、車などの資産を保有していないこと
2.働けない環境であること
3.国からの公的融資や公的制度を利用していないこと
4.親族から援助を受けられない状況であること
これらの条件に当てはまる場合に、世帯収入と厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費を比較し、世帯収入が最低生活費に不足した分が生活保護として支給されます。
生活保護制度の内容は?
生活保護は8種類の扶助にわかれています。 生活を営む上で必要な費用に対して扶助が支給されます。1つずつ見ていきましょう。
1.生活扶助
食費や被服費、光熱費など日常生活に必要な費用です。支給内容は、食費等の個人的費用、高熱水道費等の世帯共通費用を合算して算出します。特定の世帯には加算があります。
2.住居扶助
アパート等の家賃です。定められた範囲内で実費が支給されます。
3.教育扶助
義務教育を受けるために必要な学用品費です。定められた基準額が支給されます。
4.医療扶助
医療サービスを受けるための費用です。費用は直接医療機関へ支払われるため本人の負担はありません。
5.介護扶助
介護サービスを受けるための費用です。こちらも、費用は直接介護事業者へ支払われますので、本人負担はありません。
6.出産扶助
出産にかかる入院費や出産用品の費用です。定められた範囲内で実費で支給されます。
7.生業扶助
就職するために必要な技能の習得等にかかる費用です。定められた範囲内で実費で支給されます。
8.葬祭扶助
葬祭にかかる費用です。定められた範囲内で実費で支給されます。
生活扶助、どれくらい受けられる?
では、自分が生活保護制度を利用しようとした場合、いくら生活扶助が受けられるのでしょうか。まずは自分の基準額を知る必要があります。
基準額は次の3つの分類があります。
1.自分が住んでいる地域
物価や地価によって、1級地、2級地、3級地に分けられています。
2.年齢
0歳から75歳以上で分類されています。
3.世帯人数
世帯人数に応じて逓減率が設定されていて、世帯人数が増えるごとに1人あたりの支給額が少なくなります。
これらの基準額を元に、障害者や母子家庭などはそれぞれ加算されます。自分がどれだけ扶助を受けられるかは、厚生労働省のホームページを参考にしてくださいね。
悩む前にまずは相談をして
生活が困窮する可能性は誰にでもあるもの。その前に、できる対策は少しでも早いうちにしておきたいですね。例えば、いざという時のために、3~6カ月程度の生活費を貯めておく、ムダな支出はないかチェックしておくなど、今のうちにできることはあります。
また、申請すればもらえる手当や年金についても調べておくといいでしょう。例えば、健康保険の傷病手当金、雇用保険の失業給付、障害年金など該当する人は申請してみてくださいね。
それでも、もし、失業したり病気をしたりして収入が得られず貯金がなくなってしまった場合、生活保護制度を利用するということは国民の大切な権利です。生活保護制度を利用しようと思った時や相談をしたい時は、現在住んでいる自治体の福祉事務所の生活保護担当が窓口になっています。1人で悩む前に、まずは相談をしてくださいね。
※本ページに記載されている情報は2021年9月8日時点のものです。