「おひとり様=誰も助けてくれる人がいない」と不安になって、万が一に備えて保険を考える方もいると思いますが、果たしておひとり様に保険は必要かどうか、様々な保険ごとに検討してみましょう。
おひとり様に保険は必要か?
2021年9月8日
生保分野
死亡保険
一般的に「保険」というと、この死亡保険を指すことが多いと思います。自分が生涯を閉じた時に遺された家族に保険金が支払われる保険です。
自分が死亡することによって遺された家族が生活できなくなることを防ぐための保険ですから、離れて暮らす家族の面倒を見ているなどの理由がない限り、おひとり様の場合は必ずしも必要というわけではありません。
医療保険
おひとり様であろうと、家族持ちであろうと、かかる医療費は同じです。最近の病院は入院時の付き添いが必要ないところも多いですし、特におひとり様だからといって発生する費用はありません。また、医療保険は、高度障害保険金を別にすると医療費をカバーするものであって、「おひとり様だから働けなくなったらどうしよう」をカバーするものではありません。
医療費については高額療養費制度がありますから上限額が決まっています。特に大企業にお勤めの場合や公務員の場合は付加給付金もありますので、わざわざ医療保険に入る必要もないと思います。どうしても心配であれば、必要最小限の保障で十分です。
がん保険
医療保険と同様の考え方です。がんの治療費もほとんどが保険適用されますので、高額療養費制度でまかなえますし、おひとり様だからということでかかる費用はありません。
がんの場合、先進医療を心配される方がいますが、がんの治療は通常、手術・放射線・抗がん剤で、先進医療を行う人はかなり少数で、必ずしも一番効果的な治療ではありません。勧められたとしても通常医療を選択することが可能です。
個人年金保険
おひとり様の場合、老後に向けてお金を貯めておくことは大事です。介護が必要になれば誰かにお金を払って頼まなければいけないので、その分の備えも必要です。個人年金保険は利率は以前ほどよくありませんが、条件を満たしていれば所得控除が受けられるので、老後の備えの手段の一つとしておすすめです。
就業不能保険
おひとり様の場合、確かに「働けなくなったらどうしよう」を考えておかなければいけません。しかし、働けなくなる原因は病気やケガばかりではありません。就業不能保険は、病気やけがによって長期に働けなくなった場合というように条件が限定されてしまっているので、さまざまな働けなくなる状況に備えて現金や流動性の高い金融資産で備えておく方がどんな場合にも対応できてよいのではないかと思います。
損保分野
「保険」というと、生保分野のものばかり取り上げられがちですが、むしろ損保分野の保険の方が大事だと思っています。保険というのは、万が一の場合、自分の貯えでは間に合わないかもしれないということをカバーするためのものです。医療保険などはそれほど大きな金額にはならないので自分の貯金で何とかなると思いますが、火災によって自分の家を失ったとか、自動車事故で人を死亡させてしまったとなると自分の貯金では間に合わない金額になってしまいます。おひとり様であるということは、自分の代わりにお金を出してくれる人がいないということですから、損保分野の以下の保険については、まだかけていませんという方は、ぜひ検討してください。
火災保険
火災保険というと火事の場合にしか使えないと思っている方が多いのですが、住宅総合保険などの名称で販売されている最近の主流の火災保険は、水災や盗難などの補償も可能です。最近は洪水による浸水被害も増えていますし、マンションにお住まいの方は水漏れの被害なども考えられます。
また、家が古いので大した価値ではないから火災保険は必要ないという方もいますが、家がなくなって建て直すとなった場合のことを考えましょう。火災保険で保険金額を新価で設定すると、建て直す費用をまかなうことができます。
賃貸暮らしの方は、契約時に家財保険加入を義務付けられている方が多いと思いますが、こちらも万が一の時、自分の家財を守るほか、大家さんへの賠償などもありますので、必ず加入するようにしましょう。
自動車保険
自動車事故も人命にかかわったり、建物などを傷つけたり、自分の車体を傷つけたりと損害が高額になる可能性が高いです。自賠責保険は対人事故のみが対象で、支払われる金額も少ないため、任意保険も必ず加入しておきましょう。
これら2つの保険には大抵の場合、個人賠償責任保険が付いています。火災や自動車事故に限らず、第三者にケガをさせたり、モノを壊した場合の賠償を補償してくれます。補償内容を確認してみてください。
おひとり様が保険に入る際に大事なことは、万が一の場合に「一人でまかなえるかどうか」と、それに合った保障(補償)内容になっているかどうかをきちんと確認しておくことです。
適切な保険をかけておくことが一番の節約になります。
(※本ページに記載されている情報は2021年8月24日時点のものです)