2020年末からの株価上昇の影響もあり、今、あらためて資産運用を考えている人が増えています。 一方で、資産運用に関する知識や経験がないこと、投資にかかる手間などを考え、実際に資産運用を始めることをためらっている人も多いのではないでしょうか。その中で注目されているのが、「ロボアドサービス」を利用した投資方法です。今回は、そのサービスの概要と押さえておきたい注意点や活用法について解説します。
資産運用に取り入れたい!
ロボアドサービスって何?
2021年7月19日
ロボアドサービスとは?
ロボアドサービスとは、利用者の目的や属性に合う資産配分をロボット(AI)が提案し、それに沿った資産の分散投資を支援するサービスです。このサービスには、提案だけを行うタイプ(アドバイス型)と、運用も行うタイプ(投資一任型)がありますが、今回は、初心者が利用しやすい投資一任型について説明します。
ロボアドサービスの利用にあたり、利用者は、「年齢」「収入」「資産額」「運用期間・目的」など、いくつかの質問に答えます。すると、AIが利用者のリスク許容度などを判定し、最適な運用プランを提案してくれます。利用者が提案されたプランを選択すると、その後はプランの資産配分に沿った運用そして資産管理が自動的に行われます。
なお、ロボアドサービスによる運用は、基本的には、その人のリスク許容度に見合った長期分散投資で、短期で大きな収益を目指す運用ではありません。また、運用商品としては、主に投資信託が用いられていることも覚えておきましょう。
バランス型ファンドとの違い
「複数の資産を組み合わせて分散投資を行う」という点では、投資信託のバランス型ファンドと似ているといえるでしょう。
しかし、バランス型ファンドでは、その資産配分に沿った資産の分散投資はできますが、自分に適した資産配分のファンドを探し、購入および管理する際の手間がかかります。そして、当然ながら、そのような個別商品の取引においては、一定の投資知識や経験が必要となります。
それに対して、ロボアドサービスの場合、個別商品の取引まで任せることができます。つまり、自身のニーズに合った資産配分の提案から、それに見合う商品の選択、そして購入からその後の管理(リバランス)まで、運用全般をすべて任せることができるサービスなのです。
したがって、自身のニーズに合ったポートフォリオ(資産配分)を維持しながら、手間をかけずに運用を行いたいと考えている人にとっては、大いに助かるサービスといえます。投資に関する知識や経験が乏しい投資初心者にとっても、全て自動で投資を任せられることは、心強いサービスとも言えるでしょう。
ロボアドサービスの種類
現在、多くの企業がロボアドサービスを提供しています。主なロボアドサービスは以下のとおりです。
WealthNavi
最低投資額10万円から始めることができ、1万円から積み立てることができる。NISA口座の利用も可能。
THEO(テオ)
最低投資額10万円から始めることができ、1万円から積み立てることができる点はWealthNaviと同じだが、様々なパートナー企業と提携した「THEO+」(テオプラス)が好評。
楽ラップ
楽天証券が行っているサービスで、最低投資額は1万円と少ない金額から投資を行うことが可能。運用成果に応じた「固定報酬型」と「成功報酬併用型」が用意されており、それぞれの手数料が異なる点に注意が必要。
最低投資額や手数料などはそれほど大きな差はありませんが、どのサービスを選ぶかは、サービス内容や開示されている過去の運用パフォーマンスなどを比較・検討したうえで選択するようにしましょう。
また、ロボアドサービスは、インターネットでの申込み、そして利用となるため、操作画面の使いやすさや見やすさについても、サービス選択の大きなポイントになるといえます。スマートフォンを使用する場合であれば、アプリの使い勝手なども気になるところです。利用するサービスを決める際には、パソコンやスマートフォンで実際の画面を見て確認することが大切です。
ロボアドサービスの注意点
ではここで、ロボアドサービスの注意点についてしっかりと理解しておきましょう。
運用成果が保証されるわけではない
ロボアドサービスを利用したからといって、思いどおりの運用成果が得られるとは限りません。リスクを極力抑えた手堅い資産配分での資産運用を希望しても、元本が保証されるわけではなく、元本割れになる可能性もあります。ロボアドサービスを提供している各社ホームページに掲載されている運用成果は、あくまでも過去の実績であって、将来の運用成果を保証するものではないからです。
また、ロボアドサービスは、「ほったらかしで大丈夫」とアピールされることも少なくないのですが、サービスの利用申込み後に、自分の属性(年収や運用期間・目的等)が変化した際には、見直しが必要となります。したがって、サービスに申込んだ後にも運用成績の確認や定期的なポートフォリオの見直しを行うことが大切だということをしっかりと認識しておきましょう。
手数料がかかる
非常に便利なロボアドサービスですが、その利用にあたっては、実際に取引する投資信託にかかる手数料(信託報酬等)とは別に、ロボアドサービスの利用に手数料がかかることに、注意しておかなければいけません。
ちなみに手数料は「アドバイス型」であれば無料のところが多いのですが、今回紹介した「投資一任型」の場合は、預かり資産額の1%程度の手数料がかかるケースが多いようです。
まずは投資一任型からスタート
投資を始める際には、ロボアドサービスを利用するにしても、一度に多額の資金を投じることは避けましょう。まずは少額から始め、実際にこのサービスが合うかどうかを確かめてから、継続するか判断していくことが大切です。
そしてその後、投資に興味を持つようになり、投資一任型での投資に物足りなくなれば、ロボアドサービスの「アドバイス型(提案サービスのみで、実際の運用は利用者自ら行う)」を利用して、自身で運用できるようにしていくことも考えてみましょう。
※本ページに記載されている情報は2021年6月20日時点のものです。