家計の節約を考える時に候補によくあがる保険料。健康であるほど保険料を無駄に感じがちですが、だからといって節約だけを目的に保険の見直しをするのはおすすめできません。見直しするなら必要性を考えて行うことが大切です。
そこで、ライフプランで起こりがちなパターン毎に、必要性に合う保険の加入の仕方を2回に分けて説明します。前編の本記事では、保障の必要性と保険見直しの関係について説明します。
保険の見直し、節約ばかり考えて大丈夫?
見直しするなら保険料よりも必要性(前編)
2021年7月9日
そもそも「保険の見直し」とは?
「保険の見直し」と聞くと、今加入している保険を解約したり、保障額を減らしたり、新たな保険に加入し直したり……というふうに考えている人もいるかもしれません。とくに、保険料の節約目的で見直しをする場合には、やめる・保障額を減らすことを念頭に置いてしまいがちです。
たしかに必要以上に加入している場合には、解約したり、減額したりすることで無駄な保険料の支払いを削減できてよいでしょう。しかし、本来の見直しは、今加入している保険内容がその時々の保障ニーズに合っているか確認し、もしもズレがあればメンテナンスを行い、最適化をする作業です。見直し(内容確認)の結果、メンテナンスしたほうが良さそうなら、内容変更・新規加入・解約などを検討しますし、今のままで大丈夫なら安心して継続すればよいのです。
保険の見直しで家計改善できると聞くけど……
「保険料の節約」と「家計改善」は少し分けて考えましょう。
保険料節約と家計改善ができるパターン
前述したように、必要以上に加入している場合には、保障額を減らすことでその分保険料が安くなったり、不要になったりします。保険料も節約できますが、家計支出が減るので、改善につながりますね。
保険料節約はできるけど、家計改善できるとは限らないパターン
たとえば「病気をしたことないし、保険に加入しても何ももらえなければもったいない」といって、保険を解約してしまい、その後に病気またはケガで入院してしまったらどうでしょう。保険料は節約できても、入院費用は自分で支払わなければならなくなります。節約できる保険料の額と自己負担する入院費用の兼ね合いにもよりますが、予期せず大きな出費が必要になれば、保険を見直したことで家計が改善したとは言えなくなります。
見直ししないとどうなる?
では、最初に加入したまま保険を見直しせずに、保険料を払い続けるとしたらどうなるのでしょうか。
結論から言うと、加入している内容がその時の保障の必要性に適していなければ、払っている保険料が無駄になったり、家計的に困難に陥ったりしてしまう可能性もあります。
病気やケガ、万一の死亡などに備えて加入した保険でも、自分自身の家族環境や就業状況、貯蓄、収入、生活費などの状況が変われば保障の必要性も変わります。
わかりやすい例で言うと、独身の時と、結婚をして子どもも産まれた後。独身の時には入院や手術をしたときの保障と最低限の死亡保障に加入したけれど、子どもが産まれたら、自分に何かが遭ったときに子どもが安心して生きていけるだけの保険を用意しておきたいと考えるのが一般的です。せっかく保険料を払い続けていても、いざという時の保障として充分ではないこともあります。
ほかにも、こういうこともあり得ます。もしものために保険料は払い続けているけれど、受取り人は親になったまま。結婚した後、親と疎遠になってしまったまま自分が死亡。配偶者(または子ども)は保険金を受け取れない……。自分の「もしもの保険」が誰を守るために必要かという観点から言うと、保険料を無駄に払っていたということも言えます。
そもそもなぜ保険に加入したのか思いだそう
そもそも保険は、不測の事態が起こると経済的に困る出来事に対し、困らないように事前に備えておくものです。不測の事態というのは、死亡や病気、ケガ、手術、入院、就業不能、要介護など。人生の中で訪れるかもしれないけれど、それが本当に訪れるのか、いつ訪れるかを予測できないことです。
加入したその時には、これらの不測の事態をイメージし、もしものことを考えて加入したと思います。あるいは、自分ではよくわからないけど、保険会社の人にアドバイスしてもらって納得して加入したと思います。
しかし、一旦保険に加入してしまうと、どんな保障内容だったか、いつ、どんな時に保険金がいくら支払われるのかといった契約内容はおろか、どんな必要性を感じて加入したかもよく覚えていないという人もいるようです。
その時に加入した理由を覚えていれば、事情が変わったときに、自ずと契約内容を確認し、今の必要性に合っているかどうかを考えるものではなでしょうか。
その結果として「必要性に見合う保険料を払っている」ことになり、保険料の無駄を省くことができるということなのです。
しかしながら、実は、自分の身の回りが変わった時以外にも、見直しのタイミングはいろいろとあり、いつ見直しすれば良いのかわかりにくい場合があるのも悩ましいところです。後編でケーススタディとして見ていきましょう。
※本ページに記載されている情報は2021年6月18日時点のものです。