今年も6月から、去年の所得によって計算された住民税の支払いが始まりました。今年の住民税は去年までと変わっている点がいくつかあります。今年からの住民税、何がどう変わったのかおさえておきましょう。
2021年の住民税、何がどう変わる?
2021年6月28日
そもそも住民税とは
住民税とは、毎年1月1日時点に住民票がある都道府県・市区町村に対して納める税金で、都道府県民税と市町村民税(東京23区の場合は都民税と特別区民税)のことをいいます。住民税は前年の1月から12月までの所得に対してかかり翌年の6月から1年間かけて支払います。
つまり、今年の新入社員は前年度の所得がないため、今年の住民税は支払う必要がありませんが、昨年で退職した人は万が一今年収入がなくても、住民税を支払わなければなりません。
住民税は「所得割」と「均等割」の2つを合計して支払います。
所得割とは、課税所得に対して税率をかけた金額です。税率は市町村民税・特別区民税が6%(政令指定都市は8%)、道府県民税・都民税が4%(政令指定都市は2%)です。
次に均等割額は基本的に市町村民税・特別区民税は3,500円、都道府県民税・都民税は1,500円ですが、一部地域では異なっています。自分の住んでいる自治体のホームページで確認してくださいね。
住民税、ここが変わる
2021年6月から変わった住民税ですが、住民税の仕組み自体は変わっていません。どこが変わるのかというと「所得割」の部分が変わります。
2020年の所得税の控除額が変更になったことで、2021年6月からの住民税の控除額も変わったというわけです。「控除」というのは、課税の対象となる所得額から一定の金額を差し引くことです。所得税と同じく、住民税も控除することができます。
では、控除額がどのように変わったのか、詳しく見ていきましょう。
基礎控除
働き方が多様化し、働き方改革を後押しするという観点から、基礎控除が33万円から一律10万円引き上げられ、43万円になりました。
ただし、所得が2,400 万円を超える場合、下記のように控除額が段階的に減額され、2,500万円を超えると基礎控除額は0円となります。
・合計所得金額2,400万円超2,450万円以下 基礎控除額 29万円
・合計所得金額2,450万円超2,500万円以下 基礎控除額 15万円
・合計所得金額2,500万円超 基礎控除額 0円
給与所得控除
基礎控除が10万円引き上げられたことで、給与所得控除が一律10万円引き下げられます。
給与所得控除の見直しは次の3点です。
・一律10万円の引き下げとなる
・控除の上限額が220万円から195万円に引き下げとなる
・上限適用となる給与収入は1,000万円から850万円に引き下げとなる
給与所得が850万円以下の場合は、先ほどの基礎控除の引き上げと給与所得控除の引き下げを差し引くことで、今までと変わりません。
しかし、給与所得が850万円を超えると、最大で25万円の引き下げとなります。
公的年金等控除
基礎控除が10万円引き上げられたことで、公的年金等控除額が10万円引き下げられます。また、公的年金等収入金額が1,000万円を超える場合、公的年金等控除額の上限が195万5,000円となります。
公的年金等以外の所得金額が1,000万円を超える場合は、公的年金等控除額が引き下げられます。
ひとり親控除
婚姻歴や性別にかかわらず、生計同一の子(合計所得金額48万円以下)がいるひとり親に対して、本人の合計所得金額が500万円以下の場合、ひとり親控除30万円を差し引くことができます。
ただし、事実婚の場合は認められません。
寡婦控除
死別または離別し、子ども以外の扶養親族がいる場合、寡婦控除26万円を差し引くのは変わりませんが、本人の合計所得金額が500万円以下の制限が設けられました。また、ひとり親、寡婦が住民税が非課税になる所得金額が135万円に引き上げられます。
増税? それとも減税?
ここまで見てきたように、給与所得控除が10万円引き下げとなり基礎控除が10万円引上げとなりましたが、所得によって増税または減税になるケースがあります。
所得が850万円以上の場合、給与所得控除の引き下げが大きいため、住民税が増税となります。ただし、22歳以下の扶養親族がいる場合や本人、同一生計の配偶者、扶養親族が特別障害者の場合、所得金額調整控除の対象となり、実際は今までと変わりません。
所得金額調整控除は(給与収入(上限1,000万円)-850万円)×10%で計算し、この金額を給与所得から差し引くことができます。
今回は、2021年から住民税が変わるということをお伝えしました。この機会に自分の給与明細を見て、自分にとってはどうなのかしっかり確認しておきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2021年6月18日時点のものです)