これから結婚や出産を予定されている方や、すでにお子さんがいるご家庭にとって、将来かかるお金のことは、頭が痛い問題ですね。みなさんは、2015年からスタートした「贈与税非課税制度」をご存知ですか。これは、結婚・出産・育児という大きな出費が伴う時期に、両親や祖父母から受け取る資金援助が、1,000万円まで非課税になるという嬉しい制度。制度の内容や、利用する方法などを解説します。
結婚・出産・育児の資金援助が非課税に!
知ってお得な贈与税非課税制度とは?
2017年3月16日
「贈与税非課税制度」とは?
日本では、個人から財産をもらったときに、贈与税という税金がかかります。これは、両親や祖父母からお金を受け取った場合でも、例外ではありません。
2016年4月1日現在の法令では、両親や祖父母から年間110万円を超える資金を受け取った場合、最大55%の贈与税がかかる仕組みになっています。例えば、父親から1,000万円の贈与を受けると、231万円の税金を子供自身が納めなければなりません。(計算方法はこちら)
しかし、結婚や育児など、お金がかかる世代の方にとって、親からもらったお金は、有効活用したいですよね。そこで、2015年からスタートした「贈与税非課税制度」を利用すると、結婚・出産・育児という大きな出費が伴う時期に、両親や祖父母から受ける資金援助が、なんと1,000万円まで非課税となるのです。
実際のところ、結婚資金や出産費用を親や祖父母に援助してもらっている方は多いですね。「ゼクシィ結婚トレンド調査 2016」によると、挙式や披露宴、新婚旅行など結婚にかかる資金については、77%の方が親や親族から資金援助を受けています。
この「贈与税非課税制度」を上手に利用することで、親や祖父母などの家族に、経済的に支援してもらうことができるでしょう。
制度の対象となる費用
「贈与税非課税制度」の対象となるのは、以下のような費用が挙げられます。特に、結婚に伴う引越し費用や、不妊治療にかかる費用も対象となるのは嬉しいですね。しっかりチェックしておきましょう。
結婚にかかる費用
挙式や結婚披露宴を開催するために要する挙式代や会場費に加え、結婚を機に移り住むものとして、新たに借りた物件にかかる家賃・敷金・共益費・礼金・仲介手数料・契約更新料などが含まれます。
妊娠・出産にかかる費用
人工授精など不妊治療や医薬品(処方箋に基づくものに限る)に要する費用が対象です。また、妊婦健診にかかる費用や、分べん費・入院費・新生児管理保育料など、出産のための入院から退院までに要する費用が含まれます。
育児にかかる費用
未就学児の子の治療や予防接種、乳幼児健診にかかる費用が対象です。さらに、保育園や幼稚園、ベビーシッター業者などへ支払うお金など、育児に伴って必要となる費用について、この制度を利用することができます。
制度を利用する方法とは?
「贈与税非課税制度」を利用するには、いくつかのステップを踏む必要があります。まず、両親や祖父母から資金を受け取る子供や孫は、みずほ信託銀行や三菱UFJ信託銀行など、指定の金融機関において、専用の口座を開設します。そして、両親や祖父母などの資金の贈与者は、子供や孫名義の口座に資金を預け入れます。
子供や孫が、結婚や出産の時に、家族から援助してもらったお金を使った場合、その領収書などの必要書類を金融機関に提出することで、非課税制度を利用することができるのです。
さらに詳しく「贈与税非課税制度」の利用方法等を知りたい方は、こちらの国税庁のホームページ、およびこちらの内閣府のホームページを参考にしてみましょう。
覚えておきたい注意点
最後に、「贈与税非課税制度」を利用する場合の注意点を確認しておきましょう。
まず、制度の対象者には、年齢制限があります。資金援助を受ける子供や孫は、20歳以上50歳未満でなければいけません。子供や孫が50歳に達する日に、まだお金の使い残しがあった場合は、贈与税が課税されてしまいます。計画的にお金を使うことが必要ですね。
また、「贈与税非課税制度」は、2015年4月1日から2019年3月31日まで利用できる4年間限定の措置となっています。親や祖父母からの資金援助を受けたい場合は、期限内に手続きを済ませるように注意しましょう。
いかがだったでしょうか。「贈与税非課税制度」について、理解は深まりましたか。家族からの資金援助が非課税となるこの制度は、結婚や育児などで、これからお金がかかる世代の方にとって、大変ありがたいですね。相続税や消費税の増税など、毎年税制はめまぐるしく変化していきますが、お得な情報もしっかり仕入れて、上手に活用していきたいですね。