「共済」という制度をご存じでしょうか?自宅のポストにチラシが入っていたり、勤務先からの案内、またはテレビCMなどで見たり聞いたりする機会あると思います。保険のようなもの、と思っている人も多いと思いますが、共済と保険の違いはどのようなところにあるのでしょうか?共済の概要を確認し、ライフプランに応じて制度を上手に活用していきましょう。
「共済」を知っていますか
制度と概要を確認しましょう!
2021年3月1日
「共済」は保険と同じもの?
自動車保険、火災保険、生命保険など、世の中にはたくさんの保険があります。保険は、契約者が一定の保険料を支払い、万が一の時に保険金を受取ることができる、という仕組みです。
それに対し、共済が扱うものは、自動車共済、火災共済、生命共済などと呼ばれます。組合員が一定の掛金を支払い、何かあったときには共済金を受け取ることができます。
「共済」と「保険」は皆でお金を出し合い、必要な人がお金を受け取る、という事業形態は似ていますが、運営するうえでの考え方や法律などが異なっています。
共済は「相互扶助」
民間の保険は、金融庁監督のもと、保険業法に基づき、会社が営利目的で運営しています。
一方共済は、「相互扶助」の考えのもと運営されています。県民共済であれば厚生労働省の監督のもと、非営利事業として、集まった掛金(保険でいう保険料にあたるもの)から一定の保障や補償を行い、掛金が余った場合には還元する制度になっています。
組合員(保険でいう契約者にあたる人)の誰かが経済的損失を受けたときに、他の組合員で助ける仕組みになっています。
「共済」は誰でも加入できる?
共済はその組合員による相互扶助の制度なので、加入するためには、その組合員である必要があります。
都道府県民共済では、その都道府県に居住しているか、勤務先であることが加入の条件となっています。例えば東京都民共済に加入するには、東京都に居住、または東京に勤務地があることが条件です。
よく耳にするJA共済は、農業協同組合のことで、主に農家の人を対象としています。
あまり聞きなじみはないかもしれませんが、JF共済という漁業向けの共済もあるように、一定の地域や団体、例えば職域や学校、労働組合などで運営されていることが多いです。
一度、自分が加入できる共済を確認してみるとよいでしょう。
「共済」の特徴とは
似て非なる「共済」と「保険」ですが、共済にある特徴を何点か確認していきましょう。
掛金の還付がある
共済では、集められた掛金が余った場合に還元される制度があります。どのくらいの掛金が集まり、どのくらいの共済金が支払われるかは一定ではないため、還元される金額は、年により異なります。
令和元年度の東京都民共済の「総合保障型・入院保障型」では掛金の37.31%が割戻されています。
掛金がいくら還元されるかにもよりますが、保障内容に対し、実質負担額を抑えることができるのはうれしいポイントです。
保険料が一定
民間の医療保険は、多くの場合、年齢に応じて保険料が異なります。
同じ保障に加入する場合、若年層は保険料が安く、高齢になるほど保険料は高くなるのが一般的です。高齢になるほど、病気になるリスクが高まるので、そのリスクに応じた保険料が決められます。
共済も、年齢に応じて掛金を分けていますが、例えば、埼玉県民共済の医療・生命共済は、15歳~60歳までが同じ掛金・保障内容になっています。
相対的に若年層は、高齢者の分も含めて掛金を多めに負担をしており、保険料が割高になっている、という構図になります。
保障内容がシンプル
民間の医療保険は、入院・手術をした際の基本保障に、保障金額や特約をカスタマイズできるようになっています。通院保障や、三大疾病の一時金、女性疾病に手厚い特約など、保険会社によって様々です。
一方の共済は、基本的にパッケージ商品となり、保障内容と保険金額が決められていることが多いです。
保障内容がシンプルで分かりやすい反面、このくらいの保障を準備したい、この病気に手厚い保障が欲しい、といった場合には、共済ではなく保険の検討を進めたほうがよい場合もあります。
高齢になると保障が減っていく
民間の終身医療保険は、加入時の保障が一生涯継続します。
30歳で入院1日5,000円の保険に加入したら、70歳の時に入院しても、1日5,000円保障されます。
共済では掛金を抑える代わりに、高齢になるにつれて段々と保障が細くなっていくのが一般的です。
例えば、埼玉県民共済の医療・生命共済は、月掛金は2,000円に対し、年齢により保障内容が異なります。15歳~60歳は入院1日8,000円が保障されるのに対し、60歳~65歳は入院1日5,000円になります。
平均寿命がどんどん延びている現代、老後の医療保障をしっかり備えたい、また一生涯の保障を準備したい場合には共済ではなく民間の医療保険を検討したほうが良いかもしれません。
万一の保障を検討するとき、自分が加入可能な共済も確認しておくことで、よりよい選択ができます。是非、自分にあう保険、共済を検討してみてはいかがでしょうか。
※本ページに記載されている情報は2021年2月17日時点のものです。