中学生以下の子どもがいる世帯に給付される児童手当。2020年12月に政府が決定した内容は、全面廃止ではなく、支給対象を狭めると言うことです。どのような変更があったのか、教育費はどのくらい必要なのか、どうやって用意するのかを解説します。早いうちに始めることが大切ですよ。この機会に整理しておきましょう。
児童手当は廃止に?!
教育費はどのくらい必要?
2021年6月25日
児童手当はどう変わったの?
児童手当は、子どもが3歳未満であれば15,000円、3歳〜小学生までは10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は月10,000円が毎月支給される制度です。ただし、扶養親族の人数によって所得制限があります。所得制限を越えている世帯は、「特例給付」として子どもひとりあたり月5,000円の支給されることになります。今回の改定では、「特例給付」の部分です。2022年10月支給分から世帯主の年収が1,200万円以上の場合は、特例給付の支給の廃止が決まりました。 なお、話題になっていた夫婦の収入を合算して判定するかについては見送られ、収入が高い方だけで判定することになっています。支給が停止される子どもの人数は、61万人ほどだそうです。引き続き、支給される子どもが多いかもしれませんね。
教育費はどのくらい必要なの?
今回、児童手当改定が話題になりましたが、教育費はどのくらい用意しておけば安心なのかと言うことは多くの方が気になることかと思います。教育費は、家庭によって大きく違いがあります。子どもにどんな教育を受けさせたいか、子どもの希望を叶えるためにも、どのくらい必要か、毎月どのくらい貯金するのか、働き方はどうするかなどを逆算して早いうちから検討することが大切です。
1番上の表は、子どもが幼稚園から高校までに係る教育費、2番目の表は、私立大学の学部別費用、3番目は、国公私立大学の授業料、入学料データです。私立の中学や、大学にかかる費用が大きいことがわかります。基本的な考えは、高校までは毎月のフロー収入からやりくりし、比較的時間のある大学の費用は貯金も合わせてやりくりするようにします。
このためには、まず児童手当(3歳まで月15,000円、3歳から中学校卒業まで月10,000円を前提とする)は全額貯金し、その他に毎月20,000円を小学校の終わりまで貯金することで児童手当の合計が約486万円になります。これだけ貯めることができれば大体の大学費用はほぼまかなえます。
ただこのほかにも、留学をさせたい場合や、ひとり暮らしをする場合はさらに学費、住居費もかかってきます。一例として、語学留学の期間別費用と大学生の一人暮らしの平均費用は以下の通りです。
(留学ジャーナルより抜粋して作成)
(日本学生支援機構 平成30年度 学生生活調査結果より作成)
どうやって教育費は貯めるの?
子どもの教育費の貯める方法として4つ、順番にご説明します。
1.学資保険
学資保険は有名ですね。今は金利が低いため、ほとんど増えませんが、一定期間積立てすれば元本割れすることはなく、また契約者に万が一のことがあれば払込みは免除されることが特徴です。
2.低解約返戻金型終身保険
保険料払込期間中の解約返戻金を、低く抑える代わりに保険料が割安に設定されていています。学資保険と違って満期がないので、もし教育費に余裕ができた場合などですぐに使う場面がなければそのまま継続することで解約返戻金も上がります。払込期間中の解約は大きく元本割れすることは注意しておきましょう。学資保険の代わりに加入される方も多いです。
3.定期預金・財形貯蓄
定期預金は、銀行口座に、財形貯蓄は会社の給与から自動的に天引きしてくれます。利息はほとんどつきませんが、元本割れの心配はありません。
4.投資信託の積立て
定期的に定額を投資信託として積み立てて運用していく方法です。教育費を貯めるためのジュニアNISAは、年間80万円まで(2023年までで制度は終了予定)、つみたてNISAは年間40万円まで20年間運用できます。通常、運用益に約20%の税金がかかりますが、ジュニアNISAもつみたてNISAも非課税なので、運用益全額を受け取ることができます。元本以上に増やしたい場合は、これらの投資にチャレンジしてみてはどうでしょうか。運用がうまくできたり、予定より学費が安く済んだりした場合は、老後資金にも回すこともできます。金利も低いことからお金を増やすためには、先にあげた3つのどれかと、この投資信託の積立てを組み合わせることも検討するといいでしょう。
まとめ
児童手当の改正と、教育費についてお伝えしました。
・児童手当は、世帯主の年収が1,200万円以上の場合は特例給付の月5,000円が廃止
・大学時の費用は貯金と毎月のフロー収入でまかなう。児童手当全額プラス月20,000円(生まれた時から小学校卒業まで)貯めることができれば、ほとんどの学部で必要な費用をまかなうことができる
・教育費は、親や子どもの希望を考え、どのくらいの費用が必要か逆算して早いうちから貯金を始める
・元本割れしない貯金だけでなく、積立て型の投資信託も検討するとよい
「人生の3大支出」と言われている教育費。この機会に、教育費をきちんと貯めること、始めてみてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2021年2月15日時点のものです)