まだまだ収束の兆しが見えないどころか、欧州での感染拡大などの影響が止まらないなか、ボーナスを減額するといった対応を発表している企業も多くみられます。ご自身のお勤め先でもそのような事態が予測されている方もおられるのではないでしょうか?そういった状況のなかで、これまで続けていたNISAなどの資産運用を続けていくべきか、それとも一旦止めるべきかについて、アドバイスしていきたいと思います。
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NISAなどの運用は一旦止めるべき?
2020年12月14日
運用の目的と内容を確認する
すぐに使わないお金であれば投資に回そうという考えで、これまで投資を行ってきた方も多いと思います。ここで一度、運用に回していたお金は「余裕資金」なのか、それとも「予備資金」なのかを確認する必要があります。現在行っている運用の目的および内容の確認のためにも、「ボーナスの今後を見据えたライフプランの見直し」と「現時点での予備資金はいくらあるのか」に注目しながら考えていきましょう。
ライフプランを立てているか
まずは、今後の結婚や家族のこと、そして住宅取得などのライフプランを立てているかを確認しましょう。もし、今後ボーナスの減少がしばらく続く見込みであれば、ライフプランそのものを見直す必要があるといえます。
もし、まだライフプランを立てていないのであれば、これから起こりうるライフイベントを想定しながらライフプランを組み立てていきましょう。そして、すでにライフプランを立てているのであれば、ボーナスの減少などの事態が発生してもあまり影響のないようなキャッシュフローを考えることが大切です。
予備資金はいくらあるか
そもそも運用は、予備資金を確保した後に「当面必要のないお金(余裕資金)」で行うことが基本です。ボーナスの減少はこのコロナ禍においては仕方ないことですが、そもそもボーナスが一度や二度減少しただけで運用を止めるべきか迷うくらいの資金を充てているのであれば、それは余裕資金ではなく予備資金を充てているということになります。
予備資金は、ライフプラン見直しを行う時のためにあるべきものです。したがって、改めて現時点での余裕資金がいくらあるのかを確認するとともに、ライフプランに基づいた運用方法を考え直す必要があります。そして予備資金が不足する場合については、その不足分をどのように補っていくかを考えていきましょう。
予備資金が不足する場合はどうすればいい?
リスクマネジメントを検討する
そもそも予備資金は積み立てながら時間をかけて用意することが基本です。しかし、今回のような不測の事態が起こった際には、十分な予備資金の積み立てを行うことができないことも考えられます。そのような場合においては、さまざまなリスクやライフイベントに対して、それが予測可能なものか、不可能なものか。
さらに、時間的な余裕があるのかどうかを視野に入れながらリスクマネジメントを検討する必要があります。例えば、教育資金のように予測可能で、かつ時間的余裕があるものについては積み立てを行うことが基本です。そして、災害や病気などの「ある程度は予測可能だけれども、時期が読めない」というリスクについては、保険で備えることを考えましょう。
低金利での借り入れを行う
今回の新型コロナウイルスのような不測の事態においては、予備資金で対応することになりますが、それが不足する場合は低金利の借り入れを行うことで賄うことができます。例えば、教育資金が不足しているのであれば、奨学金や国の教育ローンの活用を考えます。一般的に、目的が明確な資金については低い金利で借り入れを行うことができますので、このような制度を活用することがポイントとなります。
今回のコロナ禍はライフプランを見直すいい機会とも言えます。もし、ライフプランの見直しにより、運用に回しているお金が予備資金から出ていると判明した場合は、運用に回す額を少なくする、もしくは一旦止めるなどの措置をとってもいいでしょう。
ただ、心理的にも一旦止めてしまうとなかなか再開できないのも事実です。運用に回すお金はあくまで「余裕資金」であり、「予備資金」ではないということを理解したうえで、時間を味方につけることができる部分については余裕資金と考えて運用に回す。それ以外の予測できない部分については、予備資金を確保するために低金利の借り入れや、保険で備えるなどの対策を取ったうえで、できれば「積立」そして「長期」という運用の原則を守りながら、無理のない範囲で運用を続けていくことをおすすめします。
(※本ページに記載されている情報は2020年12月14日時点のものです)