家計のやりくりを考えるとき、「食費使い過ぎかな?」「家賃ってどれくらいが妥当なんだろう?」と悩むことがあります。そんな時に家計の黄金比率があると助かりますが、果たして黄金比率ってあるのでしょうか?その答えとともに、もっと考えてほしいことをお伝えします。
家計を考えるときに黄金比より大切なこと
2020年10月7日
黄金比ってあるの?
例えば、新入社員の時、手取り15万円で家賃5万円のところに住んでいたとしましょう。これが何年か経って、手取りが倍の30万円になった時、家賃は必ずしも2倍になっていないでしょう。そして、貯金や遊ぶための費用などかつてはなかったお金もできているでしょう。同様に、手取り収入150万円の人は、家賃50万円のところに住むのでしょうか。住んでいる地域や家族構成、本人の好みなどで全然違うのではないでしょうか。
電気代で考えるともっとわかりやすいと思います。エアコンを使う夏や冬は電気代がすごくかかります。春や秋の2倍、3倍という方もいるでしょう。もし、黄金比があってそれが一番いいと考えるなら、「熱中症になりそうだけどエアコンを使うのは止めよう」とか「電気代は使ってないからもっと使おう」となるのでしょうか?そんなことはないはずです。
そう考えると、家計の黄金比率はないということがわかります。
自分の生き方を決める
それよりも考えなければいけないことは、「自分の生き方」です。
誰かが勝手に決めた黄金比率や平均など、それに合わせたお金の使い方をどう感じますか?自分はその方が安心という方はそれも正解です。しかし、「なにか違う」と感じている方は、まず自分の生き方を考えてみましょう。
黄金比率を求めてしまうのは、いくら使っていいのかがわかっていないからです。なんとなく貯金した方がいいと思っているので、好きなことにお金を使うことに罪悪感がある。そこで、世の中の平均や黄金比率に合わせておけば、使ってもいいような気がする。あるいは、平均に合わせておけば何も考えなくていい。そんな心の動きがあるからではないでしょうか。
自分の生き方が決まれば、家の購入費や老後の生活費など、何にどれくらいお金が必要になるのかが決まります。そうすると、いくら貯めなければいけないか、1年間にどれくらい貯めなければいけないのかが決まります。そこから、毎月いくら貯金しなければいけないのかが決まりますから、収入から差し引いて毎月いくらまでだったら自由に使ってもいいのかが決まってきます。
自分できちんと計算をして、これだけ使っていいという金額がわかれば、誰かが勝手に決めた基準は気にならなくなるはずです。
使ってもいい金額を決める
使っていい金額はこのように計算します。実際にはきちんと必要になる金額を調べて、キャッシュフロー表を作成したり、ファイナンシャルプランナーに相談しながら正確な貯金額を出してほしいと思いますが、ここでは考え方を理解しておいてください。
①必要貯金額(確保しておくお金)を計算する
貯金が必要なお金として、
・万が一の時のためのお金 (生活費の3か月分~1年分程度)
・教育費、住宅購入費など大きな支出になるお金
(入学金、頭金など毎月の支払いで賄えない部分)
・老後資金
(老後生活費から年金、退職金などを引いた準備しなければいけない金額)
などが挙げられます。これらが総額いくらになるか計算します。
②1ヵ月あたりの目標額を決める
それらの総額を今から貯めるには、1年あたり、そして1ヵ月あたりどれくらい貯金しなければいけないのか計算します。
手取り収入からこの貯金額を差し引いた額は自由に使っていいお金です。この自由なお金の中で生活費のやりくりや、好きなことへの使い方を考えればいいのです。
使ってもいいお金の使い方は自由
この自由に使っていいお金で1ヵ月生活してみてくださいと言われたら、そのお金をどのようにデザインしますか?
自分は住むところにこだわりたいから住居費にお金をかけて、その分食費は抑えるという人もいるでしょうし、趣味につぎ込みたいという人もいるでしょう。
月替わり、日替わりで使い方を変えてもいいですし、例えば「食費」という一つの科目の中でも週に1度は贅沢する日など使い方を変えてみると、生活にメリハリができて楽しくなります。
投資に興味があるけれども始められないという人は、この自由に使っていいお金の範囲内で始めてみてもいいと思います。貯金は別に確保しているわけですから、損失が出ても慌てなくて済みます。
リモートワークが進み、働き方やライフスタイルがこれからどんどん変わっていき、もっと多様化していくでしょう。良くも悪くも、自分の生き方は自分でどんどんデザインしていかなければいけなくなりました。
お金の使い方は、人が決めるものではありません。自分が自由に組み立てていくものです。
今回は考え方だけお伝えしましたが、ぜひ具体的な金額を計算して、自分の使ってもいいお金を算出してみてください。
(※本ページに記載されている情報は2020年10月7日時点のものです)