確定申告をしたけれど内容の間違いに気づいたり、医療費の領収書が今ごろ出てきたり......確定申告をやり直したい!今からでも医療費控除を受けられるの?やり直しの手続き3つのケースを詳しく解説します。
確定申告が間違っていた!去年の医療費が出てきた!
やり直しはできる?
2020年8月12日
申告後に税金の還付を受けたい場合
確定申告は翌年2月16日から3月15日の間に行います。
しかし、申告期限を過ぎてから「医療費の領収書が出てきた」「住宅ローンを組んだのに住宅ローン控除を受けていなかった」「経費が漏れていた」「売上を二重にあげていた」など、漏れや間違いに気づくことがあるかもしれません。そんなときは、あとからでも還付の手続きをすることはできます。
還付の手続きは「確定申告をした人」と「確定申告をしていない人」で異なります。
確定申告をした人の手続き
確定申告書を提出した人が、税金の還付を受けようとする場合には、提出期限後の3月16日から5年後の3月15日までの間に、税務署に「更正の請求書」という書類を提出します。
例えば2019年分の確定申告をした人が、確定申告をした後で2019年分の医療費の領収書が見つかった場合、2020年3月16日から2025年3月15日までに更正の請求書を提出します。
更正の請求は、必ず還付されるとは限りません。税務署の審査により、その請求が正しいと判断された場合に還付されます。場合によっては税務署より内容についての確認の連絡があるかもしれません。
「更正の請求書」で還付が受けられないケース
「更正の請求書」で還付が受けられない場合があります。
例えば、住宅ローン控除は「当初の申告で適用を受けていなければならない」と定められています。そのため、まだ確定申告をしていない人が、更正の請求をすることはできません。したがって、住宅ローン控除を受けようとする場合には、翌年の確定申告まで申告を待たなければなりません(受けられる年数が1年減ることになります)。
ほかにも、選択肢が2つ以上ある場合、更正の請求でそのやり直しはできません。例えば上場株式の配当金から所得税が引かれている場合、確定申告をすると所得税が還付されるケースがあります。しかし配当金を確定申告に含めずに確定申告書を提出し、後から配当金の確定申告をしたいと思っても、「当初の申告で配当金については確定申告をしないと選択した」とされ、選択の変更はできません。
「確定申告をした人」とは、個人事業者で毎年確定申告をされている人はもとより、医療費控除を受けるために今年だけ確定申告書を提出した、という場合も含まれるので気を付けましょう。
確定申告をしていない人の手続き
サラリーマンなど確定申告をしていない人が、税金の還付を受けようとする場合には、その年の翌年1月1日から5年以内に税務署に「確定申告書」を提出します。
例えば2019年分の医療費の領収書が見つかった場合、2020年1月1日から2024年12月31日までに確定申告書を提出すれば、税金の還付を受けることができます。
なお、確定申告をしていない人が後から住宅ローン控除に気づいた場合、「当初の申告」である確定申告をこれからするため、今からでも住宅ローン控除の適用を受けることができます。
確定申告が間違っていて税金が増える場合
修正申告書の提出
確定申告書を提出した後で、「売上が漏れていた」「経費を計上しすぎた」などの理由で納税額が少なかったことに気づいた場合には、税務署に「修正申告書」を提出し、不足した税金を追加で払います。
延滞税に注意
追加で払った税金には、ペナルティとして延滞税がかかります。
延滞税は、当初の確定申告の納税の期限である3月15日(これを「法定納期限」といいます)の翌日3月16日から計算されます(3月15日が土日である場合には、日にちがずれます。また、2019年分の納税の期限はコロナの影響で4月16日に延長されたため、原則として4月17日から延滞税が計算されます)。
延滞税の割合は、①納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで、②納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後、で異なります。2018年1月1日から2020年12月31日までの延滞税の割合は、①は年2.6%、②は年8.9%になります。
ただし修正申告の延滞税は、修正申告書を提出する日までは①の低い税率で計算され、修正申告書を提出した日から2ヵ月を超えると②の税率で計算されます。
また、重加算税(仮装、隠ぺいなど故意に税金が少なくなるように申告した場合のペナルティ)が課されなければ、延滞税は法定納期限の翌日から1年以上は課されません。
したがって、修正申告書の提出と同日に不足分の税金を払えば最高でも1年分の延滞税がかかるだけですみますが、修正申告書を提出して後日不足分の税金を払うと、「1年分の延滞税+修正申告書の提出日~不足分の税金の納付日の延滞税」が課されるので気を付けましょう。
もし税務調査が入って、税務署に納税額が少ないことを指摘された場合には、延滞税の他、「過少申告加算税」など追加のペナルティがかかります。納税額が少ないことに気づいたら、自主的に早めに修正申告と納付を済ませましょう。
国税庁のHPから作成できる
「確定申告書(過去分も含む)」「更正の請求書」「修正申告書」は、国税庁の【確定申告書等作成コーナー】から作成することができます。
「更正の請求書」と「修正申告書」は、上記URLを一番下までスクロールすると「提出した申告書に誤りがあった場合」がありますので、そこから作成します。
まとめ
確定申告の誤りに後から気づいた場合、そのケースによって税務署に提出する書類は次のとおりです。
・確定申告書を提出した人が税金の還付を受ける場合は「更正の請求書」。
・確定申告書を提出していない人が税金の還付を受ける場合は「確定申告書」。
・確定申告の税額が増える人は「修正申告書」。
提出書類に不安のある人は、早めに税務署に相談しましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年7月9日時点のものです)