新型コロナウィルスによる景気後退で、つみたてNISAの評価益がマイナスになってしまっている方も多いと思います。「20年後もこのままマイナスだったらどうしよう?」元本割れのリスクがあることをわかっていながらも「どうしたらよいのかわからない」と悩んでいませんか?20年後の対策をきちんと考えておけば、安心して積み立てを続けられますよ。わかりやすく解説しますので、今のうちに整理しておきましょう。
マイナスでも大丈夫?!
つみたてNISA20年後の対処法とは?
2020年5月29日
つみたてNISAの20年後はどうなるの?
まずは、つみたてNISAの20年後は売却以外にどういう選択肢があるのか知り、制度をおさらいしましょう。
課税口座に移管する
売却しないでそのまま保有したい場合は、課税口座に移管されます。ただし、この場合移した時点の価格(時価)が取得価格となりますので注意が必要です。
例えば、上の図のようにマイナス10万円の評価損の状態で移管し、1年後に評価損益が0円になった時点で売却すると、プラス10万円の評価益と見なされて10万円に対して課税されてしまいます。つまり、つみたてNISAのメリットが全く受けられないことになってしまうのです。
なお、一般NISAは最長5年間非課税で保有でき、その後は新たな一般NISA枠(非課税口座)に移す「ロールオーバー」ができますが、つみたてNISAでは「ロールオーバー」はできません。
つみたてNISAの活用目的・運用成績別運用方法
つみたてNISAで運用した資金の使用目的は何でしょうか。使い道は決めておきましょう。
20年後時点で積み立てたお金の使用予定あり・運用益がマイナス
例えば、子どもの教育資金にどうしても充てたいなどの場合は、運用益がマイナスでも売却するしかありません。
その場合は、一度にではなく、使う分だけなど複数回に分けて売却します。一定の金額まで下がってしまったら、3分の1は売却するなどあらかじめ決めておき、その価格になったら速やかに売却します。また、1部は課税口座に移して運用を続けることも選択肢の1つです。
20年後時点で積み立てたお金の使用予定なし・運用益がマイナス
老後資金に使用するようなケースで、リタイアまでまだ時間があるような場合は、課税口座に移して積み立てを続けましょう。「ドルコスト平均法」の効果で、相場が回復すれば、早いうちに評価損も少なくなります。
「ドルコスト平均法」については、「ドルコスト平均法ってなに? 難しい投資用語をわかりやすく紹介!」で解説していますので、参考にしてくださいね。)
ただ、先ほどもお伝えしましたが、課税口座に移した時の価格が取得価格になってしまうことは注意が必要です。
20年後時点で積み立てたお金の使用予定あり・運用益がプラス
上昇相場であれば、数年前から複数回に分けて売却する、または、売却目標金額を決めてに達したら売却するようにします。
複数回に分けて売却する理由は、また上昇した場合「全部売らなければよかった」と利益を伸ばせない機会を回避できます。反対に下がれば「全部売っておけばよかった」となるのですが、どうなるかは誰にもわからないことです。一定の金額まで下がったら売却するとマイルールを決めてそれに従いましょう。
20年後時点で積み立てたお金の使用予定なし・運用益がプラス
まだ使用する予定がない場合は、課税口座に移して積み立てを継続しても良いでしょう。今までの運用益には課税されません。例えば、移管時点で300万円の評価益がある場合はその分は課税されないので、つみたてNISAのメリットが受けられます。
また、もし、20年後の年齢が40歳前後で、iDeCoで運用していないのであれば、売却した資金で、約20年間iDeCoで運用し直すことも選択肢になります。給与所得控除も受けられ、売却益が得られればこちらも非課税になるので節税効果は大きいです。
投資で心がけておきたいこととは?
大切な資金を長い時間かけて運用するのに、失敗するのは避けたいものです。しかし、投資に絶対はありません。つみたてNISAで保有中の投資信託の資産の種類を分散させること、将来使う資金をつみたてNISAだけに頼らないようにしましょう。大暴落が来た時に1番安全なのは現金です。現金でも貯金しておきましょう。
また、資金の使い道を明確にすることで、売却時期を決められます。売却タイミングは難しいものですから、1番高い価格で売却しようと思わないことも大切です。どこが1番の高値かは、誰にもわからないのであまり欲張らずに、上昇相場のどこかで売却できたら十分です。 20年後の出口戦略、今から考えておきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年5月11日時点のものです)