誰でも不慮の事故や病気で障害者になる可能性があります。しかし、それに備えてやっぱり保険に入らなければ!と高い保険料を払う前に、まずは、障害者になったらどんな支援があるのか知っておきましょう。
もしも障害者になったらどんな支援を受けられるのか
2020年5月25日
もし障害者になったら?
誰でも不慮の事故や病気で障害者になる可能性があります。しかし、それに備えて保険に入らなければ!と高い保険料を払う前に、まずは、障害者になったらどんな支援があるのか知っておきましょう。
収入について
障害者になった時、まず心配することがお金だと思います。治療費も心配だし、これからの収入も心配です。それに対してはこんな補償があります。
労災
仕事や通勤が原因でケガをしたり病気になって治療をしたり、仕事を休んだり、障害が残った場合、労災から給付金が出ます。
治療については無料で受けることができます。
療養のため仕事ができず、賃金を得ていない場合は、休業4日目から日額の60%の休業補償給付金と20%の休業特別支給金が給付されます。
障害が残った場合には、障害等級に応じて年金または一時金の形で障害給付金が支払われます。
傷病手当
業務外の理由で病気やけがになって休業する場合には、健康保険から傷病手当金が支給されます。給与から割り出した日額の3分の2が最長で1年半支給されます。
障害年金
国民年金または厚生年金に加入していて、保険料の未納がないなどいくつかの条件を満たしている場合は障害年金がもらえます。
国民年金で定めている障害等級に応じて、2級は781,700円+子の加算、1級は781,700✕1.25+子の加算が年金として支払われます。
厚生年金の場合は、国民年金に上乗せして、2級は報酬比例年金額+配偶者加給224,900円、1級は報酬比例年金額x1.25+配偶者加給224,900円となり、さらに3級も最低保障額586,300円が支払われます。(金額はいずれも令和2年4月から)
これらの給付金や年金は非課税なので、確定申告の際に所得として申告する必要はありません。
福祉について
上述のお金をもらうという支援の他に、お金を免除してもらう、安くしてもらう、あるいは優遇措置という支援もあります。
障害者手帳
障害の種類(身体、精神、知的)に合わせて、それぞれ障害者手帳が発行されます。障害者手帳を持っていると公共施設、公共交通機関、携帯電話料金などの免除や割引が受けられます。
公営住宅への入居が優先的になるなどの優遇措置もあります。
銀行では、元本350万円までの利息が非課税になるマル優制度が使えたり、ゆうちょ銀行では通常の定期預金に利率を上乗せしたニュー福祉定期貯金という商品もあります。
助成金
自動車を改造したり、住宅をバリアフリーにするなどの費用についての助成金があります。これらは各自治体によって助成の内容や金額が異なります。
障害者控除
確定申告をするときに医療費控除や生命保険控除などがあるのをご存知だと思いますが、障害者控除というのもあって所得から27万円控除してもらえます(特別障碍者の場合は40万円)。相続が発生した場合の相続税に対しても年齢に応じた控除額があります。
仕事について
障害者になったら働けないわけではありません。障害年金をもらいながら仕事をすることも可能です。自分で稼ぐということについても支援があります。
通常雇用
障害の程度によっては今まで通り勤務を続けることもできるでしょうし、転職も可能です。
ただ、あとから支障が出ないように、事前に自分は障害者であること、業務にどの程度の影響があるかなど伝えておくことをお勧めします。
会社員の場合、年末調整の書類を出しますが、障害者控除を受けるためには事前に障害者手帳のコピーなど書類を会社に提出しなければいけません。
障害者雇用
通常の仕事が難しい場合、障害者枠で就職することができます。
障害者雇用促進法によって、各企業、公共団体に一定数の障害者を雇用することが義務付けられています。一般企業の場合は2.2%、公共団体の場合は2.5%です。そのため、障害者枠で採用してもらうことが可能です。
障害者ということをわかって採用してもらっていますので、職場環境や仕事内容を考慮してもらえたり、障害者の仲間と一緒に仕事することができます。
障害者の採用に積極的な企業もありますし、直接就職活動をするのは難しいと感じる場合には障害者を専門とした転職エージェントもありますので、積極的に活用しましょう。
デメリットとしては、給与が通常の雇用と比べると低かったり、職種が限られるということも挙げられます。企業または転職エージェントと就業条件やこちら側の要望などをしっかり話し合っておくことが大切です。
以上のように、病気やケガをしたらまずは給付金などを活用して治療に専念し、障害が残る状態になったら様々な支援を利用して生活を立て直し、仕事をできる状態まで持っていきましょう。
それでも困難な場合には生活保護などの救済もありますので、必ず専門家や行政に相談するようにしてください。