共働きの増加に伴って、銀行口座やお財布管理も夫婦共同という夫婦が増えてきている今日この頃、住宅ローンだって夫婦共同で借りる人が増えてきています。念願のマイホームを力を合わせて支払う夫婦愛は素敵ですが、人生最大ともいえる大きな買い物だからこそ、損得も考えながら上手にローンを組みましょう。
夫のみ?それとも二人で?
夫婦の一番おトクな住宅ローンの借り方
2017年2月17日
二人でローンを組むにはどんな方法がある?
まずは夫婦二人でローンを組む場合にどんな方法があるのか確認してみましょう。
ペアローン
ペアローンとは、収入のある夫婦が「同時」に「ひとつの金融機関」に「それぞれ」住宅ローンを申込むもの。多くの金融機関が取扱っており、なかにはネットで申込みできる銀行も。
夫婦で一緒に申込むとはいえ、それぞれが別々のローンを借りることになるため、各自が債務者であるのはもちろん、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人になることも知っておきましょう。たとえば、万一、妻が返済できなくなったら夫は二人分を返済しなくてはなりません。
一方で、それぞれ別のローンであるということは、金利タイプや返済期間、ボーナス時返済の有無などを別々に設定できるということ。
たとえば夫が2,000万円の固定金利+ボーナス返済あり、妻が1,000万円の変動金利でボーナス返済なし、というのもOK。ただ、別々の借入れになるので、契約時の事務手数料などのコストが各自にかかるという点はデメリットです。
収入合算・連帯保証型
夫婦の一方が住宅ローンを申込むものの、もう一方の収入を合算して借入れを受けるのが「収入合算」。
一人分の収入だけでは審査に通らない、または借入れ希望金額に満たないときなど、二人分の収入を合算することでアプローチしやすくなります。金融機関によっては合算者の収入を全額ではなく1/2までとする場合もあるため、しっかり確認しなければなりません。
ペアローンとの大きな違いはローンが1つだけということ。仮に夫が主たる債務者として住宅ローンを申込むなら、妻は連帯保証人。この場合、あくまでローンを返済するのは夫。もしも返済に滞りがあれば、妻に返済義務が発生するという仕組みです。
収入合算・連帯債務型
同じく収入合算でも、連帯債務型というのもあります。これは連帯保証型と同じくローン自体は1つでありながら、夫婦ともに債務者という考え。原則、夫婦揃って返済義務があります。
連帯債務型としての代表にとして住宅金融公庫の「フラット35」がありますが、民間金融機関はあまり取り扱いしていません。
要注意!夫婦で借入れには落とし穴もある
住宅ローンを組むときには気をつけるべきポイントがいくつかありますが、夫婦での借入れならではの注意点もあるんです。長いライフプランのなかで起こりうるさまざまなリスクをしっかりイメージしておくことも必要です。
借入れ総額
夫婦の収入を合算することで、単独でローンを組むよりも大きな金額の借入れが可能になります。当然のことですが、借入れ総額が増えれば返済金額も多くなります。子どもの教育資金や老後資金なども考えると、家計への負担はできるだけ減らしたいですね。
団体信用生命保険
住宅ローンを借りるなら、もしものことを考えて団信への加入は必須です。ペアローンの場合はそれぞれに団信に加入することになりますが、収入合算の場合に団信に加入できるのは主たる債務者のみ。
たとえば妻の収入を合算して夫がローンを借りている場合、妻が死亡してもローンはそのまま残ります。しかし妻の収入はなくなるため、ローン返済に加え、すべての家計負担が夫にかかることになるのです。
住宅ローン控除
住宅ローンを抱える人にとって、住宅ローン控除(住宅借入等特別控除)の適用有無は重要な問題ですね。ペアローンと連帯債務型の場合は、夫婦それぞれに住宅ローン控除が適用されますが、連帯保証の場合は主たる債務者だけにしか適用されません。
住宅持分
夫婦で借入れをする場合、住宅の持分の問題も発生します。一般的に、名義の持ち分は夫婦のローンなどの資金負担の割合と同じにするのが原則です。もしも比率が違うと夫婦間でも贈与税がかかる可能性があります。
わが家はどの借り方がいい?
一人と二人のどちらで借りるのがおトクかは、仕事や収入の状況によっても異なります。
夫、妻のみが働いている
収入がないなら原則住宅ローンは借りられません。収入のある方が一人でローンを組むことになります。融資額が少なくても大丈夫なように、計画的に頭金を準備する努力を。
派遣や契約社員などで収入が不安定
派遣社員や契約社員などの場合、長期的な視点では共働きとはいえ収入は不安定。一般的に住宅ローンは長く払い続けるものですから、安定した収入見込みがあることが大切です。
将来的に収入減の可能性があるなら、年収が安定している方が一人で住宅ローンを借り入れる方が家計のためには安心です。融資額が少なくなる可能性はありますが、無理して借り過ぎになるよりはいいでしょう。
ペアローンや収入合算で二人で借りたいなら、不安定な方の収入は見栄を張らずに少なめに見積って、借入額をセーブする安全対策を。
夫婦ともに正社員で安定収入あり
夫婦ともに正社員で安定収入がある場合、ペアローンで借りれば各自が住宅ローン控除を受けられるのでおトクでしょう。
しかし、これから子どもがほしいという場合は将来的な収入減もシミュレーションしておきましょう。出産後もずっと働くつもりでも、子どもの預け先の問題があります。運良く預けられたとしても高額な保育料で家計が圧迫されることもあり得ます。また、子育てと仕事の両立ができず、やむなく離職することもあるかもしれません。
妻の借入額(返済額)を少なくして返済期間を短くするなど、早期完済してしまうこともできるような借り方の工夫をしてみましょう。その分しっかり貯金しておくことも大切です。
いくつかの注意点はありますが、将来のライフプランの変化やマネープランを考慮しながら、ローンの組み方にも工夫をすれば、夫婦でおトクに借りることだって可能です。それぞれの夫婦に合ったローンの借り方をしてくださいね。