女性が離婚を決意するのは簡単なことではありません。それだけに一度決意すると、すぐにでも!と感情的になってしまいがち。でも、離婚には慰謝料、養育費、今後の生活費、新居の準備費用などケースによってさまざまなお金の問題が出てきます。焦って進めて新たな人生でお金の苦労を抱え込まないためにも、離婚にまつわる手続きやお金のことをしっかりおさえておきましょう。
いざ離婚となったとき
女性が考えておきたいお金のこと
2017年2月16日
スムーズに離婚できるとは限らない
誰しも円満に離婚したいと考えると思いますが、残念ながら必ずしもスムーズに話が進むとは限りません。離婚でもめる原因の多くは子どもにまつわることと、慰謝料、養育費、生活費、財産分与といったお金にまつわること。離婚に至るまでの流れを、さまざまなケースに沿って見ていきましょう。
協議離婚
夫婦2名で話し合って離婚に合意することを協議離婚といいます。夫婦それぞれの署名押印と証人2名の署名押印をした離婚届を役所に提出すれば、離婚が成立します。費用はほとんどかかりませんが、裁判所や弁護士といった第三者が不在なだけに、財産分与や親権、養育費のことをしっかり話し合っておく必要があります。
調停離婚
夫婦2名の話し合いで条件面などの折り合いがつかない場合、管轄の家庭裁判所に離婚調停の申し立てをします。調停委員と家事審判官という第三者を入れた話し合いをします。調停離婚には戸籍謄本、住民票、収入印紙、切手などで2千~2千500円程度の費用がかかります。
裁判離婚
協定協議でも話し合いがつかない場合、「家庭裁判所に離婚の訴えを起こして離婚判決を得る」という手段があります。離婚訴訟を起こすには、民法が定める「法定離婚原因」があることが前提となります。離婚訴訟の費用は収入印紙代として1万3千円、財産分与や養育費を求める場合は、これに900円ずつの収入印紙代がプラスされます。慰謝料を請求する場合、その費用は慰謝料の額によって決まるため、慰謝料が高額になればなるほど収入印紙代も高くなります。
離婚にまつわるお金にはどんなものがある?
離婚にまつわるお金にはどんなものがあるのでしょうか。またどんなことに気をつければいいのか、一つひとつ見ていきましょう。
財産分与
離婚時のもめごとの第一位とも言われる財産分与とは、離婚時に結婚期間中に夫婦で得た財産を清算することをいいます。妻が専業主婦で収入がなかったとしても、結婚期間中に夫が築いた財産は妻の協力によって得られた共有財産としてみなされることが法律で認められています。相手が「渡さない」と言っても、しっかり権利を主張することが大切です。
慰謝料
結婚生活において不貞行為や暴力といった不法行為があった場合、精神的な苦痛を受けた賠償として慰謝料を請求することができます。ただし、原因がどちらか一方にあると判断するのは難しく、協議の上に慰謝料の額を決めることになります。慰謝料を支払うかどうか、またその額をめぐってトラブルになることもありますが、精神的苦痛を受けた場合は請求をした方がよいでしょう。
養育費
たとえ離婚をしても、子どもにとって両親が親であることに変わりはありません。子どもがいた場合、親権を得た側は、親権を得られなかった側に養育費を請求することができます。養育費の金額と支払い期間は話し合いで決めますが、統計的に金額は子ども1人あたり月2~4万円。期間は子どもが大学を卒業するまで、もしくは成人するまでのことが多いようです。支払い方法は毎月支払う方法と前払い(一括)の方法があります。養育費の未払い問題も多く発生しているので、相手に支払い能力があれば一括払いで受け取った方が安心でしょう。
年金分与
「離婚をしたら年金を受け取れない」とあきらめてしまう人もいるようですが、きちんと手続きをすれば、妻の分の年金を受け取ることができます。あらかじめ話し合いまたは調停・裁判で分割割合を決め、結婚期間中の厚生年金記録を日本年金機構に提出すればOK。ただし、手続きができるのは離婚した日の翌日から2年間なので、うっかり忘れて受け取り損ねないように気をつけましょう。
離婚後扶養
独身となった妻が病気や高齢で就職先が見つからないなど、離婚後の生活が危ぶまれるケースにおいて、相手から毎月〇万円といった生活費(離婚後扶養)を受け取ることができます。支払い額や期間などは話し合いで決めますが、財産分与や慰謝料の名目とされることも多いようです。離婚してから生活に困窮することのないように、事前にしっかり決めておきたいことの一つです。
裁判離婚にかかるお金
話し合いがうまくいかず裁判離婚になってしまった場合、先に記した離婚訴訟費用(収入印紙)の他に弁護士費用がかかります。費用は弁護士によっても異なりますが、着手金、報酬、実費などトータルして100万円くらい見ておいたほうがよいでしょう。必ずしも弁護士をたてる必要はありませんが、専門知識のある弁護士がついている方が、裁判を早く有利に進められるという大きなメリットがあります。
離婚でもめてしまうと、ある程度費用がかかることを覚悟しなければいけません。しかし、お金が用意できない場合は「法律補助制度」を利用して弁護士費用を立て替えてもらうこともできます。お金がないからといってあきらめないで、ぜひ相談してみることをオススメします。