4人家族のS美さん。上の子が小学校に入るのを機に自宅で働くことを希望し、昨年末に会社を退職。念願のハンドメイド商品を販売する仕事を開始しました。収入が減ることは覚悟はしていましたが、「なんとかなるのでは」と思っていたそう。でも、思った以上に収入は上がらず、パートを始め、家計改善もトライしましたが、それでも家計が回らず貯金を切り崩していているそうです。S美さんの家計をチェックしてみましょう。
【FP家計簿チェック】37歳2児の母。自宅でハンドメイド販売を開始。収入が思うように上がらず
家計が苦しいです。
2020年3月28日
今回のご相談者は、2児のママS美さん
S美さん(37歳)のプロフィール
・既婚、夫33歳、長男6歳、長女4歳
・東京郊外在住
・世帯収入:(夫)手取り月収30万円、(S美さん)パート収入2万円、ハンドメイド販売収入0〜5,000円、(児童手当)2万円
・貯金650万円/定期預金、普通預金
S美さんは、念願のハンドメイド販売を楽しんでいます。家計に関しては今まで共働きだったので、特に気にしたことがなく、前向きな性格から、収入が減ることについてもあまり気にしていなかったそう。ところが、思うように収入が上がらないうえに、家計は赤字。収入が大きく減ったことの厳しさを実感し、近所のカフェでパートも始めました。
教育費に関しても、児童手当を貯金しているのみで、今の状態でよいのかわからず不安に感じています。また、会社員のときは夫と予定が合わずできなかった家族旅行をして、思い出づくりをしたいと考えています。
S美さんの家計簿をチェックしてわかったこと
S美さんがトライした家計改善は外食を減らしたこと、被服、美容代を節約したそうです。しかし、退職など、ライフスタイルが大きく変わったり、収入がガクッと減った場合はさらに大幅な家計の見直しが必要になります。
そこで早速、S美さんの家計簿を拝見しました。
以下、S美さんから話を聞いてわかったことです。
・通信費
自宅にいる時間が増えたこと、自宅にWi-fi環境があるS美さんなら、スマホのギガ数を変えても問題なさそうです。格安スマホにすることで通信費は抑えられます。
・子ども費
長男はスイミングと体操教室に通っています。スイミングは楽しく通っていますが、体操教室は気が進まないけど続けているそうです。長女もスイミングを習っていますが、熱を出して休むことが頻繁にあるそう。また、絵本をたくさん読ませたいとのことで、毎月絵本を定額で購入できるサービスを利用しています。
・食費
外食を減らしたそうですが、よく話を聞いてみると、大好きなハンドメイドに没頭してしまって食事を作る時間がなくなり、ついお惣菜を買って済ませたりすることがあるそうです。
・材料費
材料の仕入れでハンドメイドショップに行くと、かわいいパーツを見つけては買ってしまい、仕事用と自分の趣味用とごちゃ混ぜになってしまっているそうです。
・被服費
通勤がなくなったため、だいぶ減らしたそうですが、ハンドメイドの材料を買いに行くついでに洋服をついつい買って帰ることもあるということがわかりました。
・保険料
保険は医療保険のみだそう。今のS美さんの収入だと、ご主人に万が一のことがあった場合、生活が苦しくなってしまうことが気になります。
教育費は大丈夫?家族旅行も実現するには?
教育費が心配ということですが、高校までは月々の収入から、1番かかる大学の費用は、貯金からまかなうのが基本的な考え方です。文部科学省の調査によると、1番高い私立医歯科学部で平均約482万円となっています。大学まで進学させたい場合、この程度の金額を目指したいです。
また、今のままでは、家族旅行ができる状態ではありません。教育費とは別に、旅行用の貯金をする必要があります。
FPのアドバイス
教育費はつみたてNISAで増やす
子どもにいろいろ習い事をさせたい気持ちはわかりますが、行きたがらなかったり、休みがちなのに毎月月謝を払うのは避けたいです。教育費は今後もっとかかってきますので、今のうちに貯金しておきましょう。そこで、思い切って習い事を減らし、絵本も中古本を利用するように変更します。
そして、長男が高校2年生になるまで12年、長女は14年ありますので、つみたてNISAで増やしていきましょう。4万円を年利3%程度で12年間運用すると、元利合計額は692.3万円、運用益116.3万円が非課税で受け取ることができます。中学校卒業までもらえる児童手当は、貯金を続けるとふたりで約400万円になるので、大学の費用はまかなえそうです。
つみたてNISAのシミュレーションは金融庁の資産運用シミュレーションを使用しています。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html
仕事とプライベートの区別、メリハリを
S美さんが今後、ハンドメイドで仕事を本格的にしたいのであれば、収入によっては確定申告が必要になりますので、仕事用と趣味用とお財布を分けましょう。また、材料を買いに行く日は「必要なもの以外は買わない」という気持ちで出かけるようにしたいですね。仕事の時間と、食事の準備やその他の家事、子育ての時間のメリハリをつけていくことも大切です。その気持ちがあれば、むやみにお惣菜を買ってしまうということも少なくなるのではないでしょうか。
ご主人が万が一の際の生活費を確保
固定費はできれば増やしたくない項目ですが、ご主人が万が一の時の生活費が不足してしまいます。ある程度は遺族年金でカバーできますが、足りない分は収入保障保険で補います。
今回の家計簿チェックで、S美さんへの家計簿見直し提案はこのようになりました。
S美さんは2019年末に会社を退職されたため、住民税の支払いが6月から始まります。1年後は、収入が大きく増えない限りは住民税の支払いは無くなりますので、その分は旅行貯金に回すそうです。その他に、ご主人がおこづかいの減額に協力してくれました。S美さんの収入が安定したらおこづかいUPする約束をしたそうです。子どもが大きくなると一緒に出かける機会も少なくなりますのでぜひ、家族旅行も実現させてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2020年3月28日時点のものです)