実質2,000円の負担で返礼品がもらえておトクなイメージのふるさと納税。しかし控除を受けるには確定申告などの手間がかかったり、その仕組みを知らないと2,000円を超えて負担してしまったりするなどのデメリットもあります。そんなふるさと納税のデメリットを解説します。
ふるさと納税、意外と見落とすデメリット
FPが解説
2020年2月22日
そもそもふるさと納税とはどんな制度?
ふるさと納税は、自分が好きな自治体に寄付をすると、その寄付金が税金から控除され、さらには寄付した自治体から特産品などがもらえる制度です。
寄付した金額から原則2,000円を引いた税金が控除されるため、実質的に2,000円で日本各地の特産品をもらえるという仕組みから、大変人気のある制度です。
しかし、ふるさと納税には思わぬデメリットもあるため、その仕組みをしっかり把握しておくことが大切です。
ふるさと納税のデメリットとは?
ふるさと納税には、次のデメリットがあります。デメリットの内容を見ていきましょう。
1.ふるさと納税は節税対策というわけではない
ふるさと納税は、あくまでも自治体への寄付です。
本来であればお住まいの自治体に払うべき税金を、ふるさと納税をした他の自治体に寄付しているにすぎません。
実質2,000円の負担でそれ以上の価値がある特産品を手に入れることができる、というのがふるさと納税のメリットであり、実質的に節税というわけではありません。
2.寄付金控除を受けるためには確定申告などの手続きが必要
ふるさと納税をした場合には、「寄付金控除」という制度により寄付金のうち原則2,000円を差し引いた金額が所得税と住民税から控除されます。
寄付金控除を受けるためには、通常確定申告をする必要がないサラリーマンなどであっても確定申告をしなければなりません。
1年間にふるさと納税をした自治体が5ヵ所以下の場合は「ワンストップ特例」という確定申告をしなくてもいい制度がありますが、こちらも「申告特例申請書」という書類を、ふるさと納税をした自治体に提出する必要があります。
いずれにせよ、寄付金控除を受けるためには一定の事務手続が必要というデメリットがあります。
3.所得によっては2,000円以上の負担が生じることも
ふるさと納税制度は、寄付したお金が戻ってくるのではなく、あくまでも支払うべき税金が減額される制度です。
したがって、税金がかからない人がいくらふるさと納税をしてもお金が戻ってくることはありません。
また、ふるさと納税の自己負担は最低2,000円ですが、いくら寄付をしても2,000円の負担で済むというわけではありません。
一定の上限額を超えてふるさと納税をしてしまうと、その超えた部分は控除の対象外となるため損をしてしまう、というデメリットがあります。
ふるさと納税の自己負担が2,000円で済む寄付の上限額は、所得金額・扶養の人数・医療費控除などの金額で変動するため、試算をするのがむずかしいです。
自己負担額が2,000円で収まるふるさと納税の上限額のめやすは、例えばサラリーマンで独身の方であれば、
・年収300万円で28,000円
・年収500万円で61,000円
・年収700万円で108,000円
になります(総務省「ふるさと納税ポータルサイト」より抜粋)。
いくらまでふるさと納税をしたら自己負担2,000円で済むのか、ご自身の上限額を下記のサイトで調べてみましょう。
4.先にお金が出ていくため、家計に響く
ふるさと納税は、先に寄付をして、翌年以降確定申告などの手続きをすることにより税金が控除される制度です。
したがって、先にお金が出ていってしまい、税金の控除という形でお金が返ってくるタイミングが遅いため、家計に響いてしまうというデメリットがあります。
ふるさと納税の税金控除は、このように行われます。
【例】サラリーマンが5万円ふるさと納税をし、確定申告を行う。所得税率は10%。
①確定申告で(50,000円-2,000円)×10%=4,800円が所得税から還付される。
②残りの50,000円-2,000円-4,800円=43,200円は、6月以降に給料から天引きされる住民税から減額される。
確定申告で一気に48,000円が還付されるわけではないので、減税の実感が少なく感じられるかもしれません。
ちなみに、ワンストップ特例の適用を受けた場合、所得税の還付は行われず、住民税から48,000円が引かれることになります。
まとめ
ふるさと納税は、原則2,000円の負担で日本各地の特産品を手に入れることができる、とても楽しみな制度です。
しかし2,000円の負担で済ませるためには上限額がありますので、いくらまでふるさと納税をできるか事前に把握したうえで計画的に寄付を行いましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年2月22日時点のものです。)