所得税を還付してもらえる医療費控除の制度。2017年分から領収書添付が不要になり、手続きがラクになっています。処方せん薬局などで案内を目にし、セルフメディケーション税制が気になっている人もいるでしょう。
医療費控除の確定申告をストレスフリーに済ませるための大事なコツについてご紹介します。
医療費控除の確定申告をストレスフリーにする
大事なコツ(2020年版)
2020年2月4日
医療費控除を受けるための手続き
3ステップが必要
医療費控除を受けるためには、次の3ステップが必要になります。
(1) 医療機関や薬局、通院などでかかった医療費のレシートや領収書をとっておく(1月1日~12月31日分)
(2) かかった医療費の明細書と確定申告書を作成する
(3) 明細書と確定申告書を税務署に提出する
(1)については、ただ集めておくだけなので問題ありませんよね。
領収書添付が不要になった
(2)の明細書準備については、2017年分から「医療費控除の明細書」を作成するだけでよくなっています。2016年分までについては医療費の領収書添付(あるいは申告書提出の際に提示)が必要でしたが、手続きがラクになったのです。明細書への記入は領収書1枚ごとではなく、医療を受けた人&病院ごとでOKです。
明細書は国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで作成でき、PDF版とExcel版の明細書様式をあらかじめダウンロードして作成しておくこともできます。
また、医療保険者から医療費通知が交付されている人であれば、確定申告時に添付して明細書記載を簡略化できます。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)
手続きの時期あるいは方法の選び方が大事
2/17~3/16まで?
医療費控除を受けるための最後の手続きとなる(3)は、税務署への確定申告書提出ですね。この最後の手続きをストレスフリーにするための大事なコツが、「税務署への申請をなるべくラクに済ませること」となります。
確定申告をしようと思うと、毎年設定されている確定申告期間が気になりませんか。所得税法において、所得税の確定申告期間は原則「翌年の2月16日から3月15日まで」と定められています。土日にあたるなどして日程がずれることもあり、2020年(2019年分)の場合は2月17日から3月16日です。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/syotoku/mokuji.htm)
ここで、「医療費控除の手続きも、この期間に行わなければいけないのではないか」と勘違いしないように気をつけましょう。
税務署の混雑がストレスに
一般的な所得税の確定申告が必要な人には、先ほどご紹介した確定申告期間内での手続きが義務付けられています。そのため、確定申告期間の税務署は混雑することが一般的です。
確定申告期間が始まったばかりの2月中旬、そして期限が迫る3月ごろに、その混雑がひどくなるという傾向もよく知られています。混雑すると、申告の受付を待つ時点で長い行列に並ばなければなりません。
確定申告期間の混雑を踏まえ税務署の駐車場が使用禁止になり、公共交通機関で足を運ばなければならないケースもあります。税務署へ行くまでに時間がかかり、着いてから、また待ち時間を耐えなければならないのはしんどいものですよね。
2月~3月はインフルエンザなどの感染リスクが気になる時期でもあり、混雑する場への外出自体がストレスになるという人もいるでしょう。
還付の申請は1/4から可能
しかし、医療費控除は「所得税の還付を受けるため」の手続きであるため、一般的な確定申告期間内に行わなければならないという縛りがありません。5年以内に行うというルールはあるものの、医療費がかかった年の翌年以降であれば、仕事始めになる大体1月4日以降(土日にあたるとずれる場合あり)に行えるようになります。
これを踏まえると、医療費控除の手続きをストレスフリーに済ませるためには下記がおすすめです。
・税務署が大変混雑する確定申告時期に手続きに行かない
・郵送で手続きを済ませる
・e-Taxで手続きを済ませる
可能であれば郵送やe-Taxがラクですよね。足を運ぶ場合であっても、一般の確定申告が必要なく医療費控除の手続きだけをしようと思っている人は、確定申告期間にこだわらず柔軟にタイミングを検討しましょう。確定申告期間に足を運びたい場合は、曜日や時間帯の選び方(土日祝日の開庁日がある場合でもなるべく避ける、平日でも午前中を避けるなど)での工夫が効果的です。
なお、税務署によって確定申告時期の混雑状況は変わります。申告書の提出先である税務署のホームページに混雑の情報が記載されていることもあるため、一度確認してみるとよいでしょう。税務署によっては「混雑で○時間お待ちいただくこともあります」と記載されているケースも見られます。
セルフメディケーション税制も同様
さて、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制が、2017年分から始まっています。通常の医療費控除かセルフメディケーション税制か、どちらかを選択して適用してもらう仕組みです。
手続きのタイミングについても通常の医療費控除と同様の事情となります。混雑する時期に税務署へ足を運ばないようにして余計なストレスを抱えないように気をつけましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年2月4日時点のものです)