一生に一度の買い物と言われる不動産物件の購入ですが、これを何度も繰り返している人たちがいます。それは不動産投資家と言われる人たちです。不動産業者とは違って、彼らの目線は買い手目線。これからマイホーム購入や、不動産投資を考えている人にとっては、ベテラン投資家の価格交渉テクニックは参考になるはずです!
値切りの天才!
ベテラン不動産投資家に学ぶ
価格交渉テクニック
2017年2月20日
不動産の値段は決まっていない
まず、前提として知ってもらいたいのは、不動産の値段は決まっていないということです。便宜上、値段はついていますが、この値段はあくまで売り手側の希望の数字。買い手が必ずしも売り手の希望にそう必要はありませんよね。そして、不動産の購入金額は大きいので、たった1%下がったとしても数十万円の値下げになります。交渉のカードは様々ありますが、中古物件であれば4~5%くらいなら価格交渉で下がることはよくあることです。
不動産は買いたいときに買えるわけではない
もう一つ、不動産購入の特徴で挙げられるのはライバルの存在ですね。物件というのは世の中に1つしかありません。間取りや駅からの距離など似た物件はあるでしょうが、欲しいと思った物件は世の中にひとつだけです。だから、誰かと競合になったら、自分の希望の数字を押し通せるか、わからなくなります。加えて、複数人の買い手がいる場合は、売り手側も買い手に対して強気に出るようになります。だって、他に買いたいという人がいれば、無理に安い値段にしなくても良いわけですからね。
でも、不動産って売り手も素人である場合が多いんです。売り渋って売り渋って、結局時期を逸して安値で手放してしまったという人も大勢います。買い手も売り手もほどほどに妥協点を探りつつ値決めをしていく、というのが不動産売買の王道だと言えると思います。
価格交渉を焦らないこと
さて、価格交渉で大事なポイントはまず焦らないことです。当たり前のことかもしれませんが、最初に自分から希望の数字を言ってしまうとその値段にあっさり決まってしまうことがあるので注意しましょう。売り手側は高めの値段設定を提示している場合がほとんどなので、その値段が許容範囲内であれば無駄な交渉の時間もなくせるし売り手にとっては問題ない。買い手として一円でも安く手に入れることを目標にするのなら、最初に値段を決めつけてしまわずに、 落ち着いて交渉に臨みましょう。
価格交渉のベストのタイミング
気になる物件と出会ったら、まず「買付申込書」を不動産屋に提出することになりますが、その用紙には金額を記入する欄もあるので、そのタイミングで交渉するのが一般的です。しかし、大幅な値切りを考えている場合、いきなりその値段を書き込んでしまうと、相手も面食らってしまいます。それで交渉決裂となっても面白くないので、値段を書き込む前に「前振り」を入れるのがスマートな方法です。
「自分がこの物件にどんなリスクを感じているか?」、「どのくらい金額が安くなれば買えるのか」を不動産屋さんに説明し、ある程度、値段に関して検討する余地が買い手と売り手にあることを確認してから、おもむろに任意の金額を申込書に書いて渡します。あまりにも下げ幅が大きい場合は、口頭ベースで売り主に伝えてもらい了解が取れてから正式に申込書を提出するというワンクッションを入れる方法もあります。
一般的なパターンは上記で大丈夫ですが、問題は「人気化している物件」を交渉したいときです。奪い合いになるような物件の場合は、さっさと買付申込書に記入して、優先交渉権を得ることを第一に考えることもあります。
人気化した物件の場合、買付申込書の到着順で交渉権を得られるのでスピード重視です。この場合、値段は売り手の希望の数字にせざるを得ず、100%交渉が上手くいく訳ではありません。さらに、ライバルたちが順番を守らずより高額の購入価格を提示してくる場合もあります。(あるいは即金払いやローン特約なしなど、売り手にとって良い条件を提示する)そういう時は潔く諦めることも大切です。その物件が気に入ったとしても、想定以上の金額を出すことになったら、あとで困るのは自分ですからね。
仲介の不動産屋さんは味方?敵?
物件探しの手伝いから、物件の交渉までサポートしてくれる不動産屋さんはもちろん買い手側の味方であって欲しいですが、価格交渉においては、そういうわけにもいきません。それは、仲介の不動産屋の収入源をみればあきらかです。仲介の手数料というのは、売買価格の3%プラス6万円(プラス消費税)が収入となりますので、一円でも高い金額で売却されることを心の底では望んでいます。しかし、「不動産屋さんは、売り手の味方なのね!!」と敵視してしまうのは早計です。
不動産屋さんが何よりも優先しているのは取引が成立すること。成立しなければ、収入はゼロですからね。でも、価格交渉において頼れるのは自分一人。仲介の不動産屋さんを活用して上手に値切り交渉をしていきましょう。
自分の主張に自信を持つこと
交渉の大前提として、まず自分の主張に自信を持つことが大切です。買い手側は、売り手側や不動産業者に比べて、圧倒的に情報量が少なく、弱い立場です。しかし、「お金を出す」という最強のカードは買い手側が持っていますので、自分がルールだということを理路整然と主張しましょう。
押すばかりではなく相手の要求も飲むこと
交渉は押してばかりでは、上手くいきません。時には相手の要求を飲むことも大切です。また、これはさらなる譲歩を引き出す為のテクニックでもあります。なぜなら、人は自分の要求を認めてもらえると「借り」を作ったような気分になります。なので、相手の要求を飲んだ時には「代わりにこれをお願いしても良いですか?」と交渉を自分のペースに持ち込むことができるのです。
交渉のカードを作ること
先ほどの「相手の要求を飲む」のところでお伝えしたことと関連しているんですが、譲歩する為の条件をわざと作ることがあります。本当は必要ではない要求まで売り手側に出しておきます。
・ 庭のゴミを捨てて欲しい
・ エアコンを残して欲しい
・ 家具を入れて欲しい
・ ルームクリーニングをして欲しい
これらのカードは本当に必要なものでなくても良いです。買い手にとって、どうでも良いものであっても、実は相手方にとっては重要な要素であることがあります。これらの要求を諦める(譲歩する)ことで「貸し」を作り、その代償として相手から譲歩を引き出すカードになります。
最初は冗談半分に、相手の顔色を伺ってみること
ほとんどの場合は、売り手と直接交渉するのではなく、仲介の不動産業者を通じて価格交渉に臨みます。あまりに大幅な値下げ交渉をすると、相手にしてくれなくなったり、怒って話を聞いてくれなくなったりします。それを避けるため、買付申込書を出す前に、口頭で冗談半分な雰囲気で値段を切り出してみます。可能性がありそうな反応であれば、試しに売り手に意向を伺ってもらいます。「とんでもない」という反応であれば、もう少し高めの値段を記入することになります。
相手に限界ギリギリの値段を出してもらうこと
長期の売れ残り物件で有効な手段ですが、こちらから値引き額を提示せずに売り手に限界ギリギリの値段を先に出してもらいます。自分が想定していた以上の値引き額であれば、それだけでも儲けものですし、思ったより少ない値引き額であれば、そこを価格交渉のスタートとして値引き交渉をスタートできます。
物件のマイナス点については穏やかに話すこと
人によっては、物件のマイナス点(駅から遠距離にある、間取りが悪い)をあげつらって、強気に交渉しようとする人もいますが、それは逆効果です。何より、売り手と不動産業者にとっては、そんなことは百も承知なのです。そのため、話し方は「〜ですよね」というように冷静に話して、相手に余計なストレスを与えないことも大切です。
例、その1
×「雨漏りなんてしないですよね」
○「この状態ですと、少しくらい雨漏りしても当然ですね」
→「はい、実はそうなんです」
例、その2
×「駅からこんなに遠いと家賃を下げないと入居希望者いませんよ」
○「駅からここまで遠いと家賃を下げて入居募集することになりますよね」
→「はい、そうなると思います」
このようなマイナス要素を価格交渉に織り込んで行きましょう。いきなり「値段を下げて欲しい」では、相手はなかなか応じてくれません。このように妥当と思える切り口を用意して交渉に臨めば、希望の数字に近づくことができるでしょう。
いつでも交渉から撤退できる心持ちで臨むこと
買い手側の最強のカードは「お金を出す」というカードです。このカードを有効に使うためには、自他共にいつでも交渉から降りることができると認識することが大切です。買付申込書には法的拘束力はなく、売買は売買契約書を結ぶまでは成立しません。思い通りに価格交渉できなかったら、買わなくても良いのです。気の弱い人は、ずるずると妥協を重ねてしまい最終的に希望の価格でなくても購入してしまいます。東京の物件だけで50万件以上あるので、次の購入チャンスはいつでも来ます。
まとめ
さて、皆さん、不動産の価格交渉テクニックいかがだったでしょうか? ベテラン不動産投資家は過去に何度も不動産売買を繰り返して、オリジナルの価格交渉テクニックを身につけたそうです。そして今では、不動産投資の学校で、不動産投資のノウハウを教えています。不動産投資に限らず、不動産を購入するには、大きなお金を動かす必要があります。滅多にそんな機会はないので、慣れずに失敗する人も大勢います。事前に勉強しておくことで数百万円を損してしまうリスクを避けることができます。