親の入院中にお金が必要になるケースは往々にして発生します。入院中であっても、親の意識がはっきりしていれば問題ありませんが、認知症や意識が戻らない脳疾患などの場合は、通帳と印鑑があってもお金を引き出すのは容易ではありません。そうなった場合の解決方法についてどういったものがあるのか、以下に紹介します。
入院中の親の口座から預金をおろすには?
2020年1月24日
基本情報:お金を引き出すためには?
通常、銀行からお金を引き出す際には、通帳と印鑑、もしくはキャッシュカードと暗証番号、最近では通帳と暗証番号の組み合わせで引き出すことが可能です。ネットバンキングが主流になってきている今では、通帳というもの自体が不要になり、口座番号と暗証番号、そしてインターネットで使用する際のパスワードなどを利用して、お金を振り込んだりする方法が主流になっています。
暗証番号が分からなくなった場合の対応
暗証番号が分からなくなった場合の手続きは、原則として本人が行うことになっています。「キャッシュカードもしくは通帳」と「本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポート、住基カードなど)」の他「お届け印」を窓口に持参して手続きを行う必要があります。もし、本人が入院などで窓口に行くことが出来ない場合は、委任状が必要となる場合もあります。
認知症や意識不明状態の親の口座からお金を引き出すには?
キャッシュカードは、財布の中に入れて持ち歩いているケースが多いので、探しだすのに苦労することはないでしょう。問題は暗証番号です。したがって、認知症になって思い出せなくなってしまったり、意識不明の状態で会話もままならない場合は聞き出すことが出来ません。
成年後見制度を利用する
成年後見制度とは、「申立てにより家庭裁判所が、判断力の亡くなった人を援助する人を選び、その人を保護する制度」のことです。この制度を利用し、成年後見人に選ばれると、資産管理や契約の締結などのサポートを行うことができます。ただし、手続きには費用と時間がかかりますので、この制度は急な入院などの場合に利用するのは難しいかもしれません。
銀行へ直接交渉する
緊急性が高い場合は、直接銀行へ交渉してみましょう。もちろん必ずお金を引き出せる保証はありませんが、きちんと証明できれば銀行側も考慮してくれるはずです。まず、通帳と印鑑があればそれを用意し、窓口に持っていきましょう。その際にあなたと親が親子関係であるという証明(戸籍謄本など)を用意しておく必要もあります。
また、親が窓口に来ることが出来ない事の証明も必要となります。例えば、主治医に診断書を書いてもらうことも一つの手段ですし、要介護状態であれば、その認定書なども有効です。そして、窓口で事情を説明し、銀行側が納得すればお金を引き出すことが可能です。
出来れば事前準備をしっかりと! なかなか話しにくいことかもしれませんが、もしものことを考えて、ご両親が元気なうちに通帳や印鑑の場所、そして暗証番号も聞いておくようにしましょう。それが難しいのであれば、なるべく早めに、家庭裁判所へ成年後見制度の利用を申し立てておくことも1つの方法です。
親の入院費用は原則親の口座から!
銀行の窓口への交渉や、家庭裁判所への申立ての手間を考えると、ついつい自分のお金から立て替えておくという気持ちになりがちです。しかし、もしそのまま親が亡くなった場合、相続の時に親族間でトラブルになりかねません。そうならないように、もし立て替えるのであれば、きちんと明細を取っておくことで、かかった費用がわかるようにしておきましょう。
お金の問題は、身内であってもシビアなものです。入院が長引くなどで負担になってきた際には、どうしても身内に頼る必要が出てきます。そのような時にスムーズ話が出来るように、普段から心がけておくことが大切です。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月24日時点のものです)