お金と不動産に関係する話の中で、群を抜いて多いのが「持ち家か賃貸か」の問題です。
この問題の中には仕事に対する考え方やその人の人生観が反映されるともいわれます。
ここでは「持ち家か賃貸か」を議論するということ自体について考えてみましょう。
古くて新しい論争、持ち家か賃貸か?
あなたはどちら?
2019年12月29日
持ち家か?賃貸か?
例えば、今の会社で仕事が面白くなり、ボーナスの額にも納得がいくようになってきた人。
または、今のところ結婚の予定はなく、当面は仕事一筋なので、便利なマンションに引っ越して、もっと仕事に打ち込める環境にしていきたい人。
そして、頭金程度は貯まったのでマンションを買ってもいいかと思っている人。
さて、マイホームを買うか、借りるかどっちがいいかなと考えている人もいるでしょう。
「持ち家か?賃貸か?」、この定番の論争そのものを考えてみましょう。
持ち家のメリット・デメリットとは?
さて、よく言われている持ち家・賃貸のそれぞれのメリット・デメリットを挙げてみましょう。
まず、不動産を購入する場合のメリット・デメリットには次のようなものがあります。
<メリット>
・ ローン返済後は、持ち家は自分の資産となり売却できる
・ 万が一のことがあっても、ローンの支払いは団体信用生命保険があるので安心
・ 老後、収入が無くなっても住むところには困らない
・ 自分の思うとおりの間取りやリフォームができる
・ 住宅ローン控除(減税)が可能
<デメリット>
・ 長期にわたってローンを返済しなければならない
・ 将来、持ち家の価値が下落するリスクがある
・ 修繕費用がかかる
・ マンションの場合は管理費・修繕積立金がかかる
・ ローンが変動金利の場合には金利負担が心配
・ 固定資産税がかかる
賃貸のメリット・デメリットとは?
一方、賃貸のメリットやデメリットには次のようなものがあります。
<メリット>
・ ライフスタイルにあわせて、部屋の広さを変えるべく引っ越しできる
・ 近所でのトラブルが発生しても、引っ越すことが容易
・ 初期費用が少ない
・ 修繕費が不要
・ 固定資産税を払う必要がない
<デメリット>
・ 老後に部屋が借りられるか心配
・ 2~3年に一度更新料がかかることがある
人生は変化の連続です
これらメリット・デメリットの捉え方は何を重要視するか、何に自分の価値を置くかによって大きく変わってきます。
例えば、ローンを完済した後、持ち家の価値が下落し売れなくなることがあっても、長期にわたって自分の家を大切にし、家族が気持ちよく過ごせたことに重点を置くのであれば家を持ったことに納得するでしょう。
同質の価値同士の比較ではなく、経済的な価値と自己の満足感との比較はできないのです。
または、残念ながら離婚することになったけれど、賃貸であったために財産の話し合いがラクであることもあるでしょう。先のことは誰も想定できないけれど、社会生活では常に変化への対応を求められるのです。
収入もライフスタイルも変わる中で、長期的な展望・ゆるぎない価値観をもてというのは酷なことかもしれません。
結局は全てを兼ね備えた住み方というのはなく、持ち家・賃貸それぞれメリット・デメリットはある中で、 「自分が大切にしたいものはなにか」を考え抜くことにつながります。大切にしたいものの中に、持ち家があればそれが結論なのです。
この「持ち家か?賃貸か?」という定番論争の答えは、「自分なりの結論をもつ」ということだと思います。
その上でさらに都市部か地方か?新築か中古か?一戸建てかマンションか?などという選択肢を広げることになるのです。
人口減少、空き家問題、それでもマイホーム神話
日本には、もともと「不動産の価格は必ず値上がりする」という土地神話が根付いていました。家賃はもったいないと思い、ローンの金利をもったいないと思わなかったのか、「家を構えてこそ一人前」という考え方、そして、新しいものへのあこがれがあったのは確かでしょう。
例えば欧米では「単身赴任」ということばはありません。マイホームだけの事情ではないかもしれませんが、日本の家に対する考えを表しているものの一つでしょう。
日本の人口は今後減り続けるようです。2053年には1億人を割るとの予想もあります。
そして平成30年住宅・土地統計調査によると、空き家率は13.6%と過去最高となっています。
参考:国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口
参考:総務省 平成 30 年住宅・土地統計調査
これらを考え合わせると、今後は家を売る人のほうが家を買う人よりも多くなります。相続などでもらった家を売るにも売れない事態はすでに起こっています。
資産価値を求めてマイホームを買うことが非常に難しくなってきているのは事実です。
今、悩んでいるなら賃貸へ
不動産を借りる際の礼金・敷金の考え方など、わが国の古くからの習慣や考え方の中には賃貸物件に対する特別な考え方もあるのは事実です。
しかし、家に限らず車や衣装など、モノを所有する時代からモノを利用する時代に変わりつつある現在、お金の面では持ち家か賃貸かの論争では、持ち家のリスクを考慮すると、やや「賃貸」が優勢でしょう。
今すぐ、持ち家か賃貸かの答えを出したい人は、賃貸で様子を見ながら自分なりの結論を出すことをお勧めします。
(※本ページに記載されている情報は2019年12月29日時点のものです)