昨年は、「老後年金だけでは2,000万円足りない」が話題になりましたが、それはほんの一例です。自分はいくら足りないのかきちんと計算していますか?以下の手順できちんと計算して、今年からの貯金計画に活かしましょう。
老後2,000万円問題。結局自分はいくら必要か、
年初のうちに解決しておく手順書
2020年1月5日
1.老後資産を確認する
まずは、老後100歳までどれくらいのお金が見込めるのか計算してみましょう。見込み度が高い順に、「少なくとも受け取れるはずの金額」で計算していきます。途中で退職や転職する可能性が高い人は、それも考慮に入れます。
年金
国民年金の方も、厚生年金の方も、「ねんきん定期便」で確認することができます。注意しなければいけないのは、50歳以上の場合は、これまでの実績に基づいて同じ条件で60歳まで加入し続けた場合の年金額が記載されていますが、50歳未満の場合は、これまでの加入実績に基づいた年金額になっていることです。例えば、20歳から10年間払っている場合、その10年分の保険料に基づいて計算しているので、60歳まであと30年間払った場合を想定して計算しなおす必要があります。
保険
養老保険や個人年金保険のように老後受け取ることを目的とした保険の場合は受取予定額を確認してください。
終身保険を途中で解約する場合もあると思いますが、保険料をすべて払い済みの場合と払い終わっていない場合では解約返戻額に大きく差がありますので注意が必要です。
退職金
ほとんどが正社員の方に限られると思いますが、退職金があるかどうかを確認しましょう。就業規則などに規定が書かれていると思います。あるかどうか、あるいは見込み額がどれくらいかわからない場合は、労務関係の担当者に確認することをお勧めします。
副収入
不動産の家賃収入、株の配当など、老後も継続されるであろう収入を洗い出してみましょう。
相続財産
できれば、ご両親と相続のお話をしっかりされておくことをお勧めします。ご両親にとっては自分の人生を整理しておいたり、意思をきっちり遺しておけますし、自分にとっては相続トラブルをなくしたり、ライフプランの見直しにもなります。
2.毎月の支出を計算する
次は支出を計算します。今、毎月使っている生活費がベースになります。そこから、老後は要らなくなるものを差し引き、老後必要になるものを足すことで、老後の予想支出が計算できます。
現在の生活費
毎月の支出がわかっていない人は今すぐ家計簿をつける習慣をつけましょう。毎月どれくらいの生活費が必要かわからないと、老後どれくらいのお金があればいいのかは計算できません。
会社員の場合、税金や社会保険料、民間の保険料、住宅ローンなどが天引きになっているのであまり意識していないと思いますが、どれくらい支払っているのか確認しましょう。これらは、老後も支払いが必要なのか、何歳まで支払うのか確認が必要です。
老後要らなくなるもの
年金保険料や、払い済みにしている民間の保険料、住宅ローンの返済額などが挙げられます。
また、仕事のための経費のように使っていたお金、例えばスーツ代、資格取得代などは必要なくなります。
老後必要になるもの
介護費用は平均で1ヵ月当たり約8万円、医療費は年齢とともに高額になり、60代で1ヵ月あたり約5万円、80代で約10万円ほどといわれています。
そして、会社があることで助かっていた費用、例えば電車の定期代、福利厚生費などが新たにかかってきます。
以上から、老後毎月かかる金額を計算し、100歳までの金額を計算してみましょう。
3.貯金しなければいけない金額を算出
2で計算した老後の支出総額から、1で計算した収入を差し引いた額が「赤字」分として貯金などで備えなければいけない金額です。
これが、昨年の算出データでは「2,000万円」と言われていたわけですが、ご自身の場合はいかがでしたでしょうか。
もし、この赤字部分がそれほど多くないのであれば、「貯金しなければ!」と焦ることはありません。いざという時に備えて現金を準備しておく程度でよいでしょう。
毎月の貯金額を計算する
貯金などで備えなければいけない金額が算出できたら、割り返して毎月貯金しなければいけない金額を計算してみましょう。
貯金できそうな金額であれば、それを目安に毎月貯金していきましょう。
とても貯金だけでは無理という場合は、とりあえず、貯金できそうな額は貯金をして、残りは別の方法で補います。
足りない分は資産運用や老後も仕事を継続
貯金だけでは足りない場合は、今持っている貯金を比較的安全な資産運用、例えばiDeCoなどを活用して殖やす工夫をする方法が一つ。
もう一つは、老後もできるだけ仕事を続けることです。今、副業などで収入を増やす方法もありますが、時間的・体力的に限度があります。それよりも、老後資金の不足分を補える程度に働けばいいので、老後も働ける準備をしておくことをお勧めします。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月5日時点のものです)