「退職金があるかどうかわからない」「退職金いくらもらえるか知らない」という声を時々聞きますが、退職金は老後資金の一つとなる大事なお金です。転職や起業を考えている人は、これも視野に検討しなければいけません。退職金に関するデータ、確認方法、ない場合の対策などお伝えします。
老後の支えの一つ!自分の「退職金」
いくらかちゃんと知ってますか?
2019年12月26日
退職金とは
まず、退職金とはどういうものか、一般的な支給方法、平均的なデータなどを見ていきましょう。
退職金はもらえるとは限らない
退職金は会社が必ず払わなければいけないものではありません。支払われる場合には、就業規則で規定されています。
東京都労働局の2018年の調査によれば、従業員1,000人以上の大企業の場合は9割以上が導入していますが、従業員30~99人の中小企業では7割程度です。しかも、中小企業の場合、10年前には8割強が退職金制度を導入していたのと比較すると減少傾向です。
退職金には、大きく分けて、退職時に一括して支払われる「退職一時金」と、退職後一定期間または生涯にわたって支払われる「退職年金」の2種類があり、企業によって、どちらか一つ、あるいは併用など導入方法はさまざまです。
また、退職金が支払われる対象者は正社員のみであることが多く、契約社員、派遣社員、アルバイト、定年後の再雇用者などには支払われないのが普通です。
退職金の金額
退職一時金の金額は、大企業で定年まで(20年以上)勤めた場合、大学卒者で2,000万円程度、高卒者で1,600万円程度です。中小企業では、その半額くらいという調査結果もあります。
しかしながら、金額の算出方法が、定額制から成果報酬制に変わってきており、代表的なものに「ポイント制」があります。勤続年数・職能等級・役職などからポイントが加算されていき、それに単価をかけ、さらに自己都合退職の場合は係数をかけるといった計算式で計算されます。
退職金の税金
退職一時金の場合は、一度に大金を受け取るので税負担が軽くなるように控除額が多くなっていますが、退職所得控除よりも多くもらった場合は、その多い部分について税金がかかります。
退職年金は公的年金と合算され、雑所得として控除額以上の所得があれば、所定の税金がかかります。
退職金の確認方法
就業規則を確認するのが一番です。退職金の支払い条件、計算方法や自己都合退職の場合の係数など記載されています。
また、給与明細でも退職年金の掛け金やポイント数が記載されていることがあります。
どうしても見つからない場合には、給与や労務関係の担当者に確認してみましょう。自分が老後までのライフプランをしっかり立てる上で、退職金の目安をつけておきたい旨をきちんと説明すれば、快く教えてもらえると思います。
退職金が少ない・ない場合の対策
では、上述を参考に、自分が定年まで勤めた場合のおおよその退職金を計算してみましょう。
老後資金となるのは、主に、老齢年金、保険の満期金、退職金です。そして、この資金の中から寿命までの毎月の生活費を使っていって、足りない分が今から貯金をするなど別の方法で確保していかなければいけない金額です。
ですから、退職金が少ないと、その分、たくさん貯金をするなどしておかなければいけないということがわかります。
退職金が少ない・ない人とは
上述のように企業からの退職金支給額がもともとないとか少ないという人、正社員ではない人、転職や起業をする人、結婚して専業主婦だったけれども離婚して再就職する人なども退職金が少なくなります。
老後資金確保のためにすること
自分は退職金が少なくて十分な老後資金がないと思われる場合、対策は3つです。
1つ目は、今から貯金をしっかりしておくことです。老後足りない金額を計算したら、定年までの間に毎月どれくらい貯金しなければいけないのかが逆算できます。この貯金額を毎月コツコツ貯金していきましょう。
しかし、そんなに貯金はできないという場合は、対策の2つ目です。老後も働きましょう。働き続けるのは大変と思うかもしれませんが、老後資金の足りない分を賄えればいいので、現役時代のようにフルタイムで働くという働き方でなくて構いません。週3日とか、在宅とか、最近は高齢になっても働き続ける人が増えてきていますし、これから働き方もどんどん多様化してくると思われます。
そして、対策の3つ目ですが、可能であれば60代のうちは仕事を多めにして、老齢年金の支給開始を繰り下げしましょう。1年繰り下げるだけでも年金額は65歳でもらうよりも8.4%分多くなり、今のところ最大5年繰り下げることができます。
以上を参考に、老後資金やこれからの貯金、働き方について考えてみてください。
(※本ページに記載されている情報は2019年12月26日時点のものです)