非課税で最長5年間資産運用できるのが特徴のNISA。せっかくの非課税メリットがある制度ですから、資産形成に上手く活用したいものですね。しかしNISAには投資可能期限や投資枠などのリミットが決められているのはご存じでしょうか。実はタイムリミットが迫ってきています。あらためてNISAについて確認し、これからの資産形成に役立てていきましょう。
リミットはいつ、いくらまで?
賢く上手に活用したい、これからのNISA
2019年12月9日
NISAのことを知っていますか?
2014年1月にスタートしてから5年以上が経過したNISA。日本証券業協会のデータによると、スタート当時に320万口座だったNISA口座の開設数は、2019年6月末時点で683万口座と2倍以上に増えている状況です。
一方で、一般NISAを活用している人のうち投資未経験者の割合は、2019年6月末時点で37%。ちなみにこれは、はじめて証券総合口座を開いた人のうち一般NISA口座を開設した人の割合を示しています。
投資デビューする人の6割以上はNISA口座を開設していないということは、まだまだNISAのことを知らない人も多くいるのかもしれません。
NISAの仕組み
通常、株式や投資信託などへの投資で利益(配当金や譲渡益など)が出ると、20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座という専用口座を通して売買すると、得られた利益に対する税金が非課税になる制度です。
非課税の仕組みを次の図で見てみましょう。
棒グラフのピンク色の部分が通常課税されるところ、NISAであれば非課税になる仕組みです。しかし無制限に非課税投資ができるわけではなく、NISAで投資をするには金額や期限にリミットが設けられています。
いくらまで非課税になる?
利益がいくらになるかは運用次第。そのため利益額に対するリミットは設けられていませんが、1年間で新規に投資(株や投資信託などの購入)できる金額は120万円までというリミットがあります。これを「非課税投資枠」といいます。
ちなみに1年間で120万円の限度額いっぱいに買う必要はありません。しかし、仮に非課税投資枠が残っても、翌年に持ち越しはできません。
いつまで非課税になる?
いったん購入した株式や投資信託などの利益が非課税となるのは最長5年間です。これを「非課税期間」といいます。もちろん運用状況によっては5年経過を待たずに途中で売却しても構いません。
また、新規に投資(株や投資信託などの購入)できるのは2023年12月末までです。これを「投資可能期間」といいます。
その後、非課税期間として最長5年間は保有できますから、最長2027年12月末まで非課税運用ができることになります。
ロールオーバーについても知っておきましょう
5年間は非課税となりますが、誰もが5年以内に売却するとは限りません。理由はさまざまありますが、NISAの非課税期間が終わるときの対策も知っておきましょう。
そのひとつが「ロールオーバー」です。
ロールオーバーとは、ざっくり言うと、5年間の非課税期間終了後、証券会社が設ける現在NISA口座で保有している資産を翌年のNISA非課税投資枠に移管すること。NISA口座のある証券会社でロールオーバーするための所定の手続きする必要がありますが、こうすることで5年間「非課税期間」を延長することができます。
しかし、ロールオーバーができるのは、実は昨年(2018年)以前にNISAで新規投資をした人のみ。2019年の新規投資分からは非課税期間終了後のロールオーバーはできません。
たとえば、2019年にNISAで新規投資した分の非課税期間は2023年12月末で終わります。NISAで非課税運用できるのは最長2027年12月末までであることは前述しましたが、2023年12月末に非課税期間終了を迎えた資産を5年間ロールオーバーしようとすると2027年12月末を超えてしまうことになります。
現在のルールでは、4年間だけロールオーバーするというようなことはできないことになっています。
非課税で最大限に利用したい人は必見!
非課税メリットが最大の魅力とも言えるNISA。投資にチャレンジしてみたいと思う人は、ぜひ利用してみたいですね。
一方で、NISAにはさまざまなリミットが設けられていることがおわかりいただけたと思います。非課税メリットを最大限に利用するにはこれらのリミットをしっかり確認しながら実行することが大切です。
すでにNISAを利用している人
今年の非課税投資枠120万円のリミットに余りがないか確認してみましょう。ちなみに株式等の購入には「取引日」と「受渡日」というのがあります。NISAで今年の非課税投資枠を利用する場合、受渡日が今年中でなければなりません。
ちなみに取引日とは株式等の注文が成立する日のことで、その日を含む3営業日目(土曜日や日曜日などの非営業日をのぞく)が受渡日。今年(2019年)のカレンダーで受渡日が年内になるためには、最終営業日が12月30日(月)になるので、取引日が12月26日(木)まででなければなりません。
年内リミットが12月26日とあまり時間がないですが、投資商品選びは慌てずじっくりするようにしてください。
これから始めたい人
まずは証券会社でNISA口座を開設しなければなりません。しかし通常NISA口座は申込みから実際に投資できるまでに2週間程度かかります。いまから申込むのは年内に間に合わない可能性もあります。
それでもやってみようと考える人は、簡易NISA口座を申込んでみるといいでしょう。簡易NISA口座なら申込みと買い付け注文を同時にすることが可能です。年内リミットにも間に合う可能性が高まります。簡易NISAについては「2019年より簡易NISAがスタート!3つのポイントをおさえて今すぐ投資生活デビュー」の記事を参考にしてみましょう。この場合でも、投資商品選びは慌てずじっくりするようにしてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2019年12月9日時点のものです)