私は7年間、保険を販売する仕事をしてきました。社会人になったら、あるいは結婚したら、保険に入らなければいけないと考える人も多いと思いますが、保険は必ずしも必要でない理由と、逆に「こんな場合は保険に入っておいた方がいい」というケースについてお伝えしたいと思います。
「保険いらない派」が伝える保険の話
2019年11月20日



1.保険がいらない理由
保険が必ずしも必要ない理由には以下の点が挙げられます。
どんどん医療技術は変わる
がん保険の場合を考えてみましょう。がん保険が初めてできたのは今から45年ほど前ですが、その頃は、がんはまだ「不治の病」でした。そのため、死亡保障が中心となっています。
それから医療技術はどんどん進歩し、「入院して手術をすれば治る」からさらに「通院で治療」に移り変わってきています。それに合わせて発売されるがん保険も「入院給付金」「手術給付金」から、さらに「通院保障」「抗がん治療保障」へと移り変わってきています。
ですから、若いころに入ったがん保険の保障内容が、歳を取ってからがんになった時にあまり役に立たないということも起こります。
ライフスタイルの変化に合わせてお金が必要
人生は、結婚・出産・子育て・セカンドライフ・・・と移り変わっていき、女性の場合は特に、それに伴って仕事を辞めたり、場合によっては自分が世帯主となって家族の面倒を見ていかなければならないこともあります。住宅、教育、老後など、お金をかけなければいけないものも出てきますし、どこに一番お金をかけるかはその時々で変わっていきます。保険は対象となるものしか保障してくれませんし、途中で解約するとお金がほとんど戻ってこないこともあります。いざという時、必要なところにお金が用意できるように、現金で持っている方が賢明です。
公的制度・会社の制度などがある
保険に入る前に考えてほしいのが公的制度や会社の制度です。終身保険は自分が亡くなった後、残された家族の生活のために入る保険ですが、入る前に遺族年金や死亡退職金がどうなっているのか調べましょう。
けがや病気で働けなくなった時のために医療保険や所得補償保険がありますが、もしそのような状態になったとしても、障害年金・労災・傷病手当金などがあります。
医療費がかかったとしても、高額療養費制度という制度があり、さらに大企業の場合は付加給付金制度があるところも多いと思います。
自分が死んだとき、病気になった時、実際に自分が支払う金額はどれくらいなのかきちんと計算して、貯金でも賄えないのであれば保険を検討という順番にしましょう。
2.こんな時は保険を検討
しかし、こんな場合は保険に加入してもいいと思います。
貯金できない人
子どもの教育費や自分の老後資金を貯めなければいけないのはわかっているけれども、貯金が苦手という人は、強制的にお金が貯められる学資保険・個人年金保険に加入するのもおすすめです。個人年金保険は、条件を満たせば所得税の保険料控除もできます。
ただし、保険は途中解約すると返戻金が少ないことが多いので、無理なく払い続けられる保険料で加入しましょう。
不安でしょうがない人
例えば、がん保険に付加する高度先進医療特約のように、ほとんど必要になる可能性はないけれども、もし必要になった時が心配でならないという人は、加入することで安心になるのであれば、「安心料」として入っておいてもいいでしょう。ただし、あまり高額な保険料のものはおすすめしません。
海外に長期滞在する人
海外の医療費は日本とは比べ物にならないほど高額であるのはご存知だと思います。海外で医療費がかかった場合も、海外療養費や高額療養費制度など日本の健康保険制度が適用されますので、短期の旅行の場合はそれほど心配いらないと思いますが、長期で滞在する場合は保険を検討してもいいと思います。滞在期間が2年以内であれば医療費の他に盗難なども補償してくれる海外旅行保険がおすすめです。
損害保険
保険というと生命保険の分野ばかり考えがちですが、実は損害保険の方が大事です。家が火事や災害に遭った場合、自動車で人身事故を起こした場合の補償などは、自分のお金だけでは賄えない金額になることが想定されるからです。家を持っている場合、自動車を持っている場合は、万が一に備えて、損害保険はしっかり入っておきましょう。
火災保険や自動車保険に入っていると、個人賠償責任特約も付加されていることが多いと思いますが、これは第三者のものを壊したり、けがをさせたりした場合の損害賠償の補償になりますので、必ず付加しておいた方がいいと思います。
以上、「何のために保険に入るのか」や「本当に保険が必要か」をよく考えてから保険に入りましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月20日時点のものです)