ふるさと納税やっていますか? まだ挑戦したことがない人は、仕組みがイマイチはっきりしないことがやらない理由の一つになっていませんか? 寄付をすると税金が安くなるということはわかっていても、実際にどのくらい安くなるのか理解できていないと不安ですよね。そこで、ふるさと納税の仕組みをわかりやすくまとめながら、事例を元に控除額がいくらになるのか計算もしてみたいと思います。
ふるさと納税ってお得なの?
分かりにくい控除額の計算をすっきり理解しよう!
2019年11月10日
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税とは、自治体を選んで寄付を行うことによって、寄付をした金額から2,000円を引いた金額が所得税、住民税から控除される仕組みです。
寄付によって、寄付した地域の特産品などがお礼としてもらえるため、人気を集めています。
控除を受けられる金額には上限があり、年収や家族構成、住んでいる地域などによって上限額が異なります。控除上限額については、PCやスマホを使えば、ふるさと納税の各ポータルサイトで簡単に算出が可能です。まずは、ご自身の上限額を把握しておきましょう。
控除を受けるためには、原則として、ふるさと納税を行った翌年に確定申告をする必要があります。ただし、確定申告をする必要のない人(給与所得者など)は、寄付先の自治体が5つ以内であれば「ふるさと納税ワンストップ特例」によって、確定申告をせずとも税額控除の手続きができます。
これによってふるさと納税のハードルはぐんと下がったと言えるでしょう。
控除額の計算をしてみよう!
実際、どんな形でどのくらい税金が減るのか気になるところでしょう。
Aさんのケースを見てみましょう。
Aさんの事例
・年収600万円
・共働き
・小学生以下の子供2人
(今回は課税所得を300万円と設定)
<控除上限額の目安:7万7,000円>
Aさんが2019年に年間6万円の寄付をした場合の控除額を算出してみます。
1.所得税からの控除
(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
60,000円-2,000円=58,000円
58,000円×10%(税率)=5,800円
※2037年中の寄付までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります。ここでは計算を簡単にするために、復興特別所得税は加味せず計算しています。
2.住民税からの控除
住民税の控除には「基本分」と「特例分」があります。
①住民税からの控除(基本分)
(ふるさと納税額-2,000円)×10%
(60,000円-2,000円)×10%=5,800円
②住民税からの控除(特例分)
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
(60,000円-2,000円)×(90%-10%)=46,400円
※特例分は住民税所得割額の20%が限度と設定されています。
住民税からの控除は5,800円+46,400円=52,200円となります。
所得税と住民税を合計した控除額は5,800円+52,200円=58,000円となります。
つまりAさんの場合、寄付金から2,000円を引いた全額が控除されていることが分かります。
控除額計算の注意点
ふるさと納税に関するサイトが準備している「控除上限額シミュレーション」で算出することができる上限額はあくまでも目安の1つでしかありません。給与所得者の中でも、各種控除(住宅ローン控除や医療費控除など)を受けていない人を想定しています。そのため、住宅ローン控除や医療費控除、その他の控除を受けていると、ふるさと納税で控除できる上限額の設定も変化してきます。特に住宅ローン控除は金額が大きいため、住宅ローン控除だけで上限額になってしまったということもありえます。税金の控除は支払うべき税金以上引かれることはありませんから、超えた部分は自己負担となります。
どんな形でお金が返ってくるの?
所得税、住民税が減額されるということはわかっても、実際、どんな形でお金が戻ってくるのかわからないと不安ですよね。そこで所得税、住民税それぞれのケースを見てみましょう。
所得税の場合
2019年中に寄付をした場合、2019年の所得税が減額されます。翌年の3月15日までに確定申告をして、税額が決定すると還付金として指定した銀行口座などに振り込まれます。
なお、「ふるさと納税ワンストップ特例」を利用した場合は、確定申告をする必要がないので、寄付金額から2,000円引いた全額が住民税から控除されます。
住民税の場合
2019年中に寄付をした場合、翌年の2020年度分の住民税が控除されます。実際に控除額を確認できるのは2020年の6月頃に送られてくる住民税決定通知書で確認できます。所得税のようにその年の税金が軽減されるわけではないので、年収が年によってバラツキがあるようなケースでは、事前に想定していた控除上限額と差が生じ、自己負担分が増えてしまうこともあるので確認を忘れないようにしてください。
住民税の減額は1年をかけて減額されるため、Aさんの事例であれば
52,200円÷12=4,350円
毎月4,350円住民税が減額されることになります。
実質2,000円で特産品などが手に入ると言われるふるさと納税の仕組みをご理解いただけたでしょうか。
ふるさと納税の手順や手続きの方法などは、こちらの記事でご覧いただけます。
「今さらだけどやってみたい! ふるさと納税の始め方」
ふるさと納税を知ることで、税金の知識も学ぶことができます。挑戦しようと思って、まだ踏み出せていない人はこの機会にふるさと納税を始めてみてはいかがでしょうか。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月10日時点のものです)