会社員のE美さんは新婚ほやほやのOLさん。独身時代は家計簿こそつけていなかったものの、きちんと家計管理をしていたしっかりタイプ。結婚後はより一層家計管理をしっかりして、夫婦で資産作りを協力していきたいと考えています。でもまだ旦那さんにはそんな話をしておらず、どう家計管理をすればいいのかわからない様子です。そこでE美さんの家計の状況をおうかがいしていきます。
【FP家計簿チェック】28歳、会社員。先日結婚したばかりで家計管理の方法がわかりません。
2019年10月19日
今回の相談者は、新婚女子E美さん
E美さん(28歳)のプロフィール
・既婚(結婚したての新婚)
・配偶者と二人暮らし/地方都市在住
・E美さん:年収350万円/手取り月収20万円、ボーナス40万円
旦那さん:年収450万円ぐらい?/手取り月収26万円、ボーナスは不定
・貯金150万円/定期預金、旅行積立て、投信積立て
2カ月前に結婚したばかりのE美さん。旅行会社で窓口接客から事務まで幅広い業務を担当しています。仕事は楽しく、結婚してもそのまま仕事を継続中。始まったばかりの新婚家庭運営と仕事の両立を楽しんでいるとのことです。できれば子どもは早めに欲しいけれど、妊活などは考えず自然に任せたいとのこと。でも、いつ子どもができてもいいように、お金はきちんと貯めていきたいというしっかりタイプ。
E美さんの家計簿をチェック
独身時代は一人暮らしをしていましたが、旦那さんがそれまで住んでいたマンションで二人暮らしをはじめたとのこと。家計負担のことはまだ大まかなことしか旦那さんと話をしていないとのことですが、現在はとりあえず、家賃や光熱費、水道代はそのまま旦那さんの口座から引き落としされているとのことです。
その代わりとして、食材や日用品の買い物はE美さんが支払い。二人で外食するときは、その場の流れでどちらかが支払いしています。
とりあえず独身時代と比べてE美さん自身の支出は減ったけど、貯金の大部分を結婚式と新婚旅行で使ったため、また貯金を増やしていきたいそう。でも、これからは家族のための貯金になるし、旦那さんともっと話し合って協力していきたい。家計負担の仕方もこのままでいいのだろうかとのご相談です。
そこで、まずはE美さんご自身の収支を拝見しました。
食費やその他支出など少し増えたものもありますが、家賃と光熱費が浮き、いまのところは5万円程度の余剰資金ができることになったE美さん。まだ生活が新しくなったばかりで家計の変化がこれからどう変わっていくか、まだよく分からないとのことで、とりあえずは余ったお金はそのまま給与口座に置いて様子見をしているとのことです。これから夫婦生活を続けていくうちに、交際費や趣味代が減っていくかもしれませんね。
ただ、これからはE美さんも考えているように、家計管理は夫婦の共同作業という意識を持って取り組むことが大切です。新婚のうちから家計負担や貯金など、夫婦の決めごとを作り、旦那さんと協力し合って家計管理をしていきましょう。
共働き夫婦の家計管理は3通り
共働き夫婦の家計管理に「こうしなければいけない」という決まりはありません。あくまで夫婦がやりやすい方法で管理も役割分担もすればいいのですが、夫婦で決めたことは「決まり」としてきちんと守るようにしていきましょう。
夫婦双方に収入がある共働き夫婦の家計管理は、次の3つの方法が一般的です。旦那さんとしっかり話し合って選ぶようにしてください。
1.夫婦の一方が管理
この場合にはお互いの収入を、すべて1つの財布(家計口座)にまとめるのが一般的です。食費や住居費、光熱費など、生活にかかるすべての費用を1つの家計口座から支出していくようにします。
お互いのおこづかい、家族の貯金もすべてそこから振り分けていけば、家計がオープンになり、2人で協力し合って家計を支え、資産を築くという意識が高まりやすくなります。
家族の財布や貯金をやりくりしている方は、時々状況報告をするのがおすすめです。最低でも月に1回は収支報告できるといいですね。やりくりをお願いしている方は、相手に感謝の念を忘れないように。
2.財布は夫婦で別々。支払い項目別に家計を分担
今のE美さんご夫婦の状況がこの方法に近いですね。それぞれの収入はそれぞれが管理するけれども、家賃は夫、食費は妻というように、生活費の使い道ごとにどちらが何を負担するか分担を決める方法です。一般的には家族の共同費目は担当を決め、各自の衣服代や趣味、おこづかいなどは各自が残ったお金でやりくりします。
1つ目の方法に比べて自由が効きやすいのはいいですが、E美さんのように独身時代に比べて余剰金が出るため、しっかりした貯金意識を持ってなければついつい使いすぎる傾向があります。
3.それぞれの収入に合わせて一定割合ずつ生活費を負担。残りはそれぞれのおこづかいまたは貯金
これら2つの折衷型とも言えるのがこの方法です。夫婦の共有財布(家計口座)を作り、そこにお互い自分の収入から一部を入れていく方法です。食費や住居費、光熱費など、生活にかかるすべての費用は家計口座から支出します。また、家族旅行、出産費用、教育費などの家族のための貯金も家計口座から貯めていきます。
金額の決め方は、収入の割合に応じて決めると不平不満が出にくくなります。
各自の衣服代や趣味、おこづかいなどは各自が残ったお金でやりくりします。
FPのアドバイス
2人分の夫婦一般的な3つの管理方法から、夫婦にとってやりやすい方法、ライフプランに望む形などによって選択するのがベストです。しかしどの方法を選ぶにしても、共働きならではの家計の落とし穴には注意が必要です。
それは、共働き世帯では手取収入が多めですから、ついつい支出も高額になりがちだということです。独身時代から堅実に家計運営をしてきたE美さんでも、世帯収入が増えることでいつ気が緩まないとも限りません。
また、お互い自由なお金がある2つ目、3つ目の方法では、貯金を相手任せにして使ってしまいがちになる夫婦も多いようです。夫婦、家族の将来イメージ、目的を共有し、夫婦で資産作りに協力し合うようにしていきましょう。
今回のご相談で、E美さんは3つ目の方法を希望。旦那さんにも話をし、とりあえずはこの方法でトライしてみることになりました。
そこで、提案したのが次の方法です。世帯として必要な費目を書き出し、予算を決定。車関連費用や駐車場代は元々E美さんにはなかった支出項目ですが、夫婦での買い物やお出かけに使うため、共同で負担することにしました。通信費もそれぞれの携帯代を各自で負担するのではなく、共同で負担。近々家族割など契約プランの見直しもする予定です。
貯金は子どものいないうちの貯め時を逃さないように、夫婦の手取り収入の約22%を家族の貯金として共同負担することに。あとはお互いの自由ですが、必要なものに使うにしろ、貯金するにしろ、お互いに報告し合えるようにしたいものです。
今回のE美さんご夫婦への提案後の家計はこのようになりました。
夫婦の基本生活費+貯金を325,000円と見積もり、お互いの手取り収入に応じた割合で分担額を決めました。
ボーナスはE美さんは毎年大体定額が決まってもらえるとのことですが、旦那さんは会社の事情で毎回不定期とのことなので、家計や貯金分担には含まず、各自で管理することにします。
将来的にE美さんが産休・育休に入ることになれば世帯の収入は変わる可能性がありますし、子どもが生まれると支出状況も変ります。もちろん昇給もあるでしょうから、その時々の状況に合わせて家計費を見直して、分担割合も適応させていかなくてはいけません。
だからこそ、結婚したばかりのいまのうちから夫婦の決めごとをつくり、家計管理や資産作りを夫婦の共同作業にしてしまうことが大切です。
(※本ページに記載されている情報は2019年10月19日時点のものです)