自分で払った医療費が一定額を超えたときに所得税がおトクになる「医療費控除」。
その特例として、健康の維持促進および疾病の予防に取り組む支出をした場合に節税できる「セルフメディケーション税制」が創設されました。
これまで医療費控除が適用されなかった人も、この特例を使えば節税できるかもしれません。
その内容は?いくら節税できる?気になる「セルフメディケーション税制」についてチェックしてみましょう。
健康管理が節税に?!新しく始まった
セルフメディケーション税制って?
2017年1月19日
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーションという言葉を聞き慣れない人もいるかもしれませんね。セルフメディケーションとは「セルフ(Self)=自己・自主」と「メディケーション(Medication)=治療・服薬」を合わせた言葉。世界保健機関(WHO)では、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義しています。
このように、自発的なセルフメディケーション(自主服薬)に取り組む環境整備を行うことを目的のひとつとし、2017年1月に「セルフメディケーション税制」が創設されました。これは、健康の維持増進および疾病の予防への取り組みとして、医薬品を購入し、その年間購入額が一定の金額を超えた時に、確定申告をすることで所得控除できるという制度なんです。
医療費控除となにが違うの?
年間の医療費支出が一定金額を超えた時に所得控除できる「医療費控除」がありますが、これは治療または療養を目的とした医療費支出に関するもの。診療や治療で医療機関に対して支払った医療費以外にも、ドラッグストア等で買った医薬品も控除の対象になりますが、健康ドリンクやサプリメントなどの病気予防や健康増進のための医薬品は対象になりません。
それに対してセルフメディケーション税制では、予防接種や健康診断など、病気予防や健康の維持増進に取り組む人が対象。かつ控除対象となるOTC医薬品も厚生労働省で指定されています。
月々1,000円程度のセルフケアで節税できるかも!
医療費控除が対象となるのは、一般的に年間の自己負担額が10万円を超えたとき。本人以外にも生計を一にする家族全員分を合算できるとはされていますが、働いて収入もあり、自分ひとりで生計を立てているシングル女子だと家族の分を合計できない場合も多いもの。10万円という金額に、はじめから諦めている人が多いのも事実です。
セルフメディケーション税制なら、対象となる医薬品の年間購入額が12,000円を越えたときだから、1人でも充分に届きやすい金額です。例えば、デスクワークの多い女子なら肩こりや目の疲れで、ドラッグストアで湿布薬や目薬を買う機会もありますね。この時に対象医薬品を選べば、年間12,000円に楽々到達するかもしれません。月にして1,000円程度のセルフケア支出で節税できるとなれば、賢く利用したくなりますね。
どんな薬が対象になるの?
セルフメディケーション税制の対象となるのは、医療用医薬品から転用された82成分を含むOTC医薬品。OTC医薬品という聞き慣れない名前に特別な薬をイメージしてしまいそうですが、ドラッグストアや薬局などで販売されている「一般用医療品」のこと。「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略で、カウンター越しに薬を販売する意味に由来した名前なんです。
厚生労働省のサイトによると、セルフメディケーション税制対象とされているOTC医薬品は2016年12月16日時点で1,555品目。薬局の店頭やテレビCMなどでも良く目にする風邪薬や頭痛薬、咳止め薬、目薬、軟膏、貼り薬、健康ドリンク等々、さまざまな医薬品が列挙されていますよ。大人ニキビ用のクリーム剤も含まれているのは女子には嬉しいですね。
購入時には目印をチェック!
具体的な製品名は厚生労働省のホームページでも確認できますが、購入前にイチイチ確認するのも面倒な話です。そこで、セルフメディケーション税制の対象製品であることの識別マークを参考にしましょう。
2017年1月以降、多くの対象製品のパッケージには識別マークが表示されるようになりました。ただし、マーク表示に法的義務はないのでマーク表示がない場合もあり得ます。ただし、レシートへの表記は必須とされています。ドラックストア等で対象製品を購入した際にはレシートに対象製品であることが表示されているはずなので、必ずチェックするようにしてください。
いくらおトクになる?
セルフメディケーション税制で所得控除できるのは、対象医薬品の年間購入金額のうち12,000円を越える部分(88,000円限度)。例えば、年間の購入額が24,000円なら12,000円を差し引いた12,000円が課税所得から控除できるようになる仕組みです。
仮にあなたの所得税率が10%なら、(24,000円-12,000円)×10%=1,200円が所得税の節税分。加えて、住民税の税率は一律10%なので住民税も1,200円の節税です。合わせて2,400円の税金が戻ってくることになるんです。
忘れないで!基本のセルフケア
医者にかからずともセルフメディケーション(自主服薬)することで税金が節約できるというこの制度も、そもそもセルフケアに対する取り組みをしていないことには適用されません。
セルフケアに対する取り組みとは、予防接種や(定期)健康診断、がん検診などを受けているということ。毎年会社で定期健診を受けている人はいいですが、隔年健診の場合や、フリーランスなどで自主検診が必要な人は注意してください。
まだ始まったばかりのこの制度。早速、年末年始疲れで体調を崩しやすい今の時期からセルフケアしてみては?医薬品を買ったらレシートをきちんと保管しておくようにしてくださいね。