給料が上がらない、お金を預けても増えない、将来が厳しそう‥。昨今「お金の教育」の必要性が高まっています。FP資格を取ってキャリアアップを目指す人、日々の生活に役立てるためにFP資格を取る人、目的はさまざまですが、FP資格は今注目の資格と言えるでしょう。そこで、FP資格について、取得方法から資格を活かす方法までご紹介します。
「AFP」「CFP」って何?
FP資格を取ってキャリアアップをする方法
2019年9月18日
FP資格ってどんなもの?
FP(ファイナンシャル・プランナー)という資格があることは知っていても、1級とか2級とか、AFPとかCFPとかいろいろあってよくわからないという人のために、資格の種類を整理しておきましょう。
まずは大きく、国家資格である1級~3級ファイナンシャル・プランニング技能士と民間資格であるAFP、CFP認定者に分かれます。二つに分かれてはいますが、大抵は、取得する過程で両方の資格を取ることが多いです。
それというのも、1級~3級ファイナンシャル・プランニング技能士は、金融財政事情研究会と日本FP協会の二つ機関で実施しており、AFP、CFP認定者は日本FP協会が認定する資格であるため、互いに関係しています。
出典:FPの資格と検定の種類 | 日本FP協会
AFP認定者になるためには、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定に合格することが要件となっているため、AFP認定者は2級ファイナンシャル・プランニング技能士でもあるわけです。
一方、AFPの上級資格であるCFP認定者は、少し複雑で、CFP認定者になるためのCFP資格審査試験(6課目)に合格すると1級ファイナンシャル・プランニング技能士になるための二つの試験のうち学科試験が免除され、残りの実技試験に合格すると1級ファイナンシャル・プランニング技能士になれます。そしてCFP認定者になるためには、CFP資格審査試験合格の他に、CFPエントリー研修の修了、試験合格前10年から合格後5年の間に3年以上の実務経験を満たす必要があります。
つまり、CFP認定者は、必ずしも1級ファイナンシャル・プランニング技能士であるわけではなく、それぞれは独立して臨める資格となりますが、CFPの資格を取得することで、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も取得しやすくなるというわけです。
「AFP」「CFP」は資格の維持が大変?
1級~3級ファイナンシャル・プランニング技能士は、試験に合格することで得られる資格ですが、資格に期限はなく、一度取得してしまえば、永久にファイナンシャル・プランニング技能士と名乗ることができます。
それに対してAFP認定者、CFP認定者は、日本FP協会に入会し、会員となることが要件となっており、そのために年会費を払う必要があります。年会費を払うことで、協会から毎月冊子が送られてきます。これによって、情報のアップデートができます。また2年ごとに資格の更新の手続きが必要であり、更新するためには資格維持のための継続教育を受講しなければなりません。そのための受講費などの費用負担もあります。
AFP認定者は最低3科目以上で15単位以上、CFP認定者は最低3科目以上で30単位以上の継続教育を義務付けています。
こうしたことから、資格としての価値を「AFP」「CFP」に求める向きもあります。しかし、資格はあくまでも信頼性の担保と仕事をしていくための看板と考え、実務経験を積むことが何より重要と考えましょう。
FP資格を活かすには
FPの資格を取得した後、どのように活かしていくのか、いくつかの事例を見てみましょう。
不動産会社勤務のHさん
Hさんは大学卒業後、大手不動産会社に勤務しました。そこでは、入社後すぐに、必須であった宅地建物取引士(宅建)の資格を取得しましたが、FP資格については任意でした。入社から2年後、仕事にも慣れ、さらに上を目指していきたいと考えたHさんは、FPの資格を取得しました。これによって、資格手当が2万円つき、さらに、ライフプランに基づいた住宅ローンのアドバイスができるようになったことで、顧客からの信頼の獲得につながりました。
専業主婦のMさん
銀行に勤務していたMさんは、子供を出産したことで仕事を辞め、長らく専業主婦をやっていました。末の子が小学校に入学したのを機に、社会復帰を目指し、就職活動を始めましたが、銀行窓口のパート事務以外の仕事はなかなか見つけられませんでした。Mさんはフルタイムで働くことを希望していたため、一旦、就職活動をやめて、FPの資格を取るための勉強を始めました。Mさんは銀行勤務の経験にFPの資格をプラスしてステップアップを図りました。FP資格を取得後は、就職はせず、フリーで活動をすることにしました。現在は、独立型のFP事務所を立ち上げ、相談業務に従事しています。
専業主婦のIさん
Iさんは、不動産会社のWeb事業部に勤務していましたが、結婚を機に仕事を辞め、長らく専業主婦をしていました。子育て中に何か資格を取ろうとFP資格取得のための勉強を始めました。数年後、FP資格を取得した後は、フリーでWeb関連の仕事をする傍ら、マネーライターとして記事を執筆、現在はインストラクター業、ライター業などマルチに活動しています。
Hさんは企業系FP、Mさんは独立系FP、IさんはFP業を主とはしていないものの、資格を活かして仕事をしていると言えるでしょう。ちなみに最後のIさんというのは僭越ながら筆者です。
このように、FP資格は公認会計士や税理士、社会保険労務士のような名称独占資格ではないものの、さまざまな分野で活かせる資格です。現状、他の資格にプラスアルファとして活かしている例が多いようですが、今後は、独立系FPのように、企業に属さないことが利点となるFP業の需要も増えてくるのではないかと思っています。また、FP資格取得の目的が仕事を得るためでなく、生活者としての教養のため取得する人もいるでしょう。いずれにしても、取って損のない資格と言えるかもしれませんね。
(※本ページに記載されている情報は2019年9月18日時点のものです)