大学の時に奨学金を利用した人もいると思います。毎月返還しているけれど繰り上げ返済した方がいいのかなと悩んでいる人も多いかもしれませんね。どのような場合に繰り上げ返済をした方がいいのか考えていきましょう。
また、最新の奨学金事情も併せてお伝えしていきます。
奨学金、繰り上げ返済した方がいい?
知っておきたい最新情報
2019年9月16日
奨学金、どんな種類があるの?
給付型と貸与型がある
日本学生支援機構(JASSO)が行う奨学金制度には、返済の義務がない給付型と返済が必要な貸与型があります。
給付型は、利用するときは所得制限がありますが、2020年4月からは対象者が広がる予定です。新しい制度については、後ほどまとめてお伝えすることにして、ここでは貸与型について詳しくみていきましょう。
貸与型には、無利息の第一種奨学金と利息が付く第二種奨学金があります。 利息が付く第二種奨学金も、在学期間中は無利息で卒業してから利息が付きます。
返還は月賦返還と月賦・半年賦併用返還の2種類がありますが、所得連動返還方式を選択した場合は、月賦返還のみになります。
所得連動返還型奨学金制度って?
先ほど、「所得連動返還方式」という言葉を利用しましたが、2017年4月から新しい「所得連動返還型奨学金制度」が始まりました。これは、 将来の所得水準に応じて返還額が変動するというものです 。
最近問題になっているのは、社会人になってから給料での返還が負担となり、返還ができなくなるケースです。入社してしばらくは給料が少ないことが予想される場合、返還の負担を少なくして、その後年収が上がるのに応じて返還額を増やすという仕組みが「所得連動返還型奨学金制度」です。
しかし、将来にわたって年収が低い場合、返済期間が長くなってしまいます。利息が付くタイプの奨学金の場合、返済期間が長くなればなるほど利息が増えるため、トータルの返還額が増えてしまうデメリットがあります。
繰り上げ返済するメリットは?
奨学金といっても、れっきとした借金です。借りたお金は返さないといけませんが、コツコツ毎月返還するより繰り上げ返済した方がおトクなのでしょうか。
利息分がなくなる
毎月同じ金額を返還しているとあまり実感がないかもしれませんが、返還している間はずっと利息を払い続けています。どれくらい利息を支払っているかは、「返還内訳計画表」の「利息」の部分を見るとわかります。
もし、繰り上げ返済をしたらこの利息分は支払わなくて済むのです。
例えば、2019年2月に貸与終了した人の固定金利の場合の金利は0.14%です。2019年8月の大手銀行の1年定期預金の金利は0.01%なので、定期預金に余裕資金が貯まっているという人は、繰り上げ返済をしてしまうのも手ですよ。
また、奨学金を完済すると保証機関から保証料の一部を返還してもらえる場合があります。
報奨金がもらえる?
無利子の第一種奨学金を利用している人の中で、一括返済をすることで報奨金が受け取れる場合があります。
条件は2004年度までに貸与開始し、最終割賦金の返還期日の4年以上前に一括返済をした場合です。2004年度時点に大学に入学して奨学金の貸与が始まった人というのは、ざっくりですが2019年現在33歳以上の人といえるでしょう。
報奨金の金額は、全額繰り上げ返済した金額によって決まります。
1999年度以前に貸与開始の人は10%、2000年度~2004年度に貸与開始の人は5%(経過年月によって3%)です。
無利子だから急がなくてもいいと思っている人も、繰り上げ返済をして報奨金がもらえたら嬉しいですね。年齢が当てはまる人は、手元に余裕資金があるならぜひ利用してくださいね。
借りずに済ませたい!
ここまでは、奨学金を借りて大学に進学した場合に卒業後に返還していかなければならないことをお伝えしてきました。でも、これから大学に進学する場合、できることなら奨学金を借りずに済ませたいですね。そこで、先ほど少し触れた2020年4月から始まる高等教育無償化制度についてお伝えします。
高等教育無償化とは
最近になって、テレビのニュースや新聞の記事などで「高等教育無償化」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
2020年4月から、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校において低所得者層の学生は学費の免除・減額、返済不要の奨学金を受給できるようになります。
世帯所得が270万円未満の住民税非課税またはそれに準じる世帯において、国公立大学の場合入学金が約28万円、授業料が約54万円、私立大学の場合入学金が約26万円、授業料が約70万円減免されます。
また、返済不要の奨学金は自宅生と自宅外生、国公立と私立にもよりますが、約21万円~約91万円支給されます。
世帯所得が270万円以上300万円未満の場合は、住民税非課税世帯の基準からそれぞれ減免額が3分の2に、世帯所得が300万円以上380万円未満の場合は、それぞれの減免額が3分の1になります。
今まで低所得のため、奨学金を借りなければ進学ができないと思っていた世帯ににとって、選択肢が広がる制度だと言えるでしょう。
借金はないに越したことはありません。
ただし、繰り上げ返済をしたために余裕資金がなくなるのは避けたいですね。自分自身のライプランと相談して無理のない返済方法を考えていきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年9月16日時点のものです)