M子さんは、都内で一人暮らしをするシングルOL。極力消費を抑え、貯金に励みたい堅実派です。それでも1カ月後に迫った消費税率の引き上げが気になっているとのことで、消費税が上がれば貯金ができなくなるのではと心配しています。そこで、M子さんの家計簿をチェックして、支出の変化を予想しつつ、貯金を増やすための対策を考えます。
【FP家計簿チェック】30歳一人暮らし。消費税が10%になると生活費がどう変わるか不安です。もっと節約するべきでしょうか?
2019年8月28日
今回の相談者は、シングル女子M子さん
M子さん(30歳)のプロフィール
- ・独身
- ・一人暮らし/東京在住
- ・年収420万円/手取り月収23.8万円、ボーナス50万円
- ・貯金500万円/定期預金、投信積立
都内の医療機関で人事担当として勤務。初めての人でも打ち解けやすい人柄と、人を見る目の良さが評価され、人事部の重要パーソンとして活躍中。医師をはじめ多種職におよぶ人材確保のため、日本中を飛び回る多忙な生活をしているとのこと。そのせいもあり、ついつい食事は外食に頼り気味。出張先で美味しいものを食べるのも大好きなのだそう。
美味しいもの好きが高じて、料理教室に通うも、忙しくて休み気味なのも気になっているとのことです。
M子さんの家計簿をチェックしてわかったこと
忙しい毎日だけれど、仕事が楽しく、ずっと続けたいと考えているM子さん。家計簿を拝見する限りでは、とくに贅沢な暮らしや無駄の多い出費をしていることはなさそうですし、一人暮らしをしている割にはしっかり貯金もできています。
今回のご相談は、消費税アップが気になり、このままでは貯金が出来なくなるのではないかとのことでした。
そこでまずは、今のままの支出スタイルを続ければ、M子さんの家計がどのように変化するか確認してみることにしました。
消費税率が10%になることは、おそらく多くの人が心配することだと思いますが、今回の増税では軽減税率が導入されるため食料品は今の8%と変わりません。家賃や保険料にはそもそも消費税がかかりません。
そのおかげもあって、M子さんの場合、家計全体で増える支出は月に5,000円程度ですが、この5,000円はやはりどこかで削りたいものです。
M子さんの現在の家計の状況で、やはり気になるのは外食費です。出張時の食事は手当が出るとしても、M子さんの言うとおり外食費が多めの様子。自分では収入に見合った店選びをしているとのことですが、医師など病院関係者に囲まれた生活をしていることが影響しているのか、選ぶメニューも少し高めのものを選ぶ傾向があるようです。
35歳でこのままシングルなら、マンションを買いたい
今回、M子さんと話をする中で、実は近い将来マンションを買うことも考えていることがわかりました。30歳を迎え少し自分の将来を考えるようになり、35歳になっても縁がなさそうならマンションを買おうかなと考えはじめたとのことです。その時のために、もっと貯金をしていきたいと考えているとのこと。そういうことがベースにあって、消費増税が気になっているように感じました。
現在、500万円程度の貯金がありますが、もっと貯金を増やしてから購入を検討して欲しいのは確かです。もしも災害や何らかの事情で収入が途絶えた場合は貯金が必要なこともあります。これらの緊急予備資金を確保した上で、頭金で使っても大丈夫なだけの貯金ができてから購入するのがおすすめです。
FPのアドバイス
消費税が10%に上がって支出が増えるのは仕方のないことですから、消費スタイルを変えることが支出をおさえる第一の方策です。
今回の増税では軽減税率が導入されますから、やはりそれを上手く活用するのが良いでしょう。同じ食事代でも外食費には軽減税率は適用されませんから、もう少し外食の回数を減らし、まずは増税分に対応させることにしました。
出張時に外食する分は仕方ないですが、だからこそ出張のないときには家で食事できることを楽しんで欲しいものです。美味しいものを食べ慣れているM子さんですが、デパ地下のちょっとリッチなお総菜でも今後は軽減税率でおトク度は高まります。自炊をする元気がないときにはお総菜にも頼りながら、なるべく外食を減らす努力をして欲しいものです。
5年間で330万円を目標に月々の貯金を増やす
生活費の約6カ月分は緊急予備費として貯金を確保しておきたいものですが、M子さんの場合だと140万円~150万円程度です、今のまま月4万円ずつ貯金を続けるとしたら、5年間で貯められる金額は240万円。緊急予備費を除いた今の貯金と合わせると約600万円になります。物件にもよりますが、頭金には十分な金額です。しかし、マンション購入が現実になると、その後のローンの支払いだけでなく、さまざまな税金や諸経費がかかるようになります。購入後は支出がより増える可能性も考えられ、今よりも貯金に回せるお金が減る可能性も否めません。修繕費などの準備も考えると、やはり今のうちにもう少し貯金を増やしておくことが望まれます。
貯金は現在している投資信託の積立と定期預金に加え、財形住宅を申込むことにしました。給与天引きなので楽に積み立てできますし、利子の非課税特典も有効に活用したいものです。
通えていない料理教室はやめる
増税分は外食を減らすことでリカバリーできても、貯金を増やす分、もっと支出を減らさないといけません。そこで全体的に支出を見直すことにします。
まず、通えていない料理教室をやめます。まずはこれまで習った料理を家できちんと自炊に活用。自炊できることが確実になったらまた再開を検討することにします。家に帰るとすぐにテレビやパソコンをオンするのを避け、節電に努めながらムダな光熱費を削ります。あまり使わない有料アプリを解約し、通信費の削減に努めます。他の費目も、数百円程度とはいえ、増税で支出が増えますから、買う物を厳選しながら買う頻度や量をおさえて、今より増えない努力をします。
自動車関連はいまより若干予算を増やしておきます。ガソリン代にも消費税がかかることと、今後の世界情勢等によってはガソリン代が上がる可能性もなくはないからです。
今回の家計簿チェックでM子さんへの家計簿見直し提案はこのようになりました。
趣味の料理教室を一旦中断し、これまで習った料理を自宅で実現する習慣がつくようになったら再開することを目標に決めたM子さん。外食の回数も減れば、増税後も家計の不安はおさえられると思います。35歳になったらマンションを買うという、にわかな想いも具体的になったと喜んでいただきました。実際に増税となった後は、キャッシュレス決済を活用し、ポイント還元で実質支出をおさえる工夫もしていけるといいですね。
(※本ページに記載されている情報は2019年8月28日時点のものです。)