女性が働きやすい社会をという意識が高まりつつあるものの、妊娠した女性が、それまでどおり気持ちよく仕事を続けられるかというと、そうではないケースもあるのが実情です。
妊娠と仕事の関係は、お金のやりくりにもからむ大切な問題ですよね。
女性ならではの、この大切な問題について、いつか後悔しないように一度ゆっくりと考えてみませんか。
妊娠したら仕事はどうする?
お金もからむ大切な問題
2019年8月26日
妊娠と仕事の問題いろいろ
人生プランと周囲の環境
共働きの夫婦が増えている中、さまざまな妊娠と仕事にまつわる悩みが存在することをご存じでしょうか。
・転職して間もない時期に妊娠が発覚した
・転職したいけれど妊娠も希望している
・仕事が一段落したらと考えて何となく妊活を先延ばししている
・夫が子どもを欲しがっているが今は仕事に専念したい
・妊娠していることを考慮してくれる雰囲気が職場にない
・立ち仕事や外回りが多い仕事で妊娠したとしても続けられるかどうか不安がある
子どものあるなしによる、女性としての、そして夫婦としての立場に優劣はありません。しかし、仕事も頑張りたい、子どもも欲しいという思いの中で両立に悩む女性がいるのは自然なことです。
選択が必要な場合も
妊娠した後に仕事を続けるかどうかについて考えるときは、お金や体力、ストレス、そして仕事のやりがいといった複数の問題と向き合う必要がありますよね。仕事も子どもも諦めたくないと思いながら、どちらかを選択しなければならない状況におちいる人もいるでしょう。
仕事を優先したくて今は子どもが要らないという場合においては、年齢別の流産リスクや不妊治療にかかる費用などについての知識も必要かもしれません。妊娠は希望すればいつでもできるというものでもないため、早いうちから人生プランの1つの選択肢として考えておくに越したことはないでしょう。
仕事を続ける場合にもらえるお金
お金の心配を減らせる制度
ここで、妊娠後も前向きに仕事を続けていきたいと考えている人が、妊娠、出産のときにもらえるお金について知っておきましょう。
・出産手当金:健康保険から賃金の3分の2相当額が支給される
・育児休業給付金:休業開始前賃金の67%が支給される(6カ月経過後は50%)
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000174115.html)
人により異なる体調に注意も必要
上司や同僚など周囲に理解があり、妊娠した後でも働きやすい環境が整っている職場の場合で臨月まで順調に働き続ける人もいます。その場合、上記のような制度がお金のやりくりにおける大きな助けとなるでしょう。
ただし、個人個人の体調によって切迫早産リスクなどに注意が必要となる人もいます。体調の変化に気をつけ、無理のないペースで働くようにしましょう。
妊娠、出産を先延ばしにするかどうか
年齢とともに妊娠率は低下する
「子どもを持たない人生を自分が送るようになるとは思ってもみないことだった」
これは、筆者の友人が、もらした言葉です。
不妊という言葉を聞いても他人事のように感じる、自分は仕事が一段落してから妊娠を考えても大丈夫と思っている人はいませんか。妊娠率は女性の年齢が30歳を超えると低下するだけでなく、35歳を超えると明らかに低下することもわかっています。
また、年齢が高くなるほど妊娠しにくくなるだけでなく妊娠の異常が起きやすくなることも知っておきましょう。年齢が高くなるほど流産、死産、妊娠にともなう妊娠高血圧症候群、前置胎盤のリスクが上がるのです。また、不妊治療をした場合においても出産にいたる確率が下がります。こうしたリスクを知らずに妊娠時期を遅らせ、後悔する人もいます。
なお、女性の妊娠率に比べて知られていない傾向のあることですが、男性側も加齢とともに妊娠率が低下することがわかっています。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/index.html)
不妊治療のときにかかる精神的、金銭的負担
いざ欲しいと思って妊活を始めたものの自然に授かれず不妊治療に通い始めるというケースにおいては、精神的な負担だけでなく金銭的負担も大きくのしかかります。長く治療を続ければ続けるだけ、お金がかかり続けるのです。
なお、所得制限(夫婦合算で730万円程度)はありますが、特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)にかかる費用においては公的な助成も受けられます。初回の治療は30万円まで、その後は1回につき15万円までです。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html)
すぐに妊娠できるのか、そうでないのかは夫婦ごとに異なり、事前にはわからない部分もありますよね。不妊治療が原因で夫婦仲に危機が訪れるケースもあります。あらかじめ検討し、価値観を尊重して決めた結果であればともかく、何となく先延ばしにしたことで後悔することは避けたいですよね。妊娠の先延ばしについては、不妊時の精神的ストレスなども考えた上で慎重に決めるとよいでしょう。
好きな仕事を長く続けることも、子どもを欲しいタイミングで授かることも、当たり前のようにイメージしがちですが、そうでないケースもあるのが事実です。また、同じ職場で働き続けて、もらえるお金をしっかりもらう人もいるし、流産リスクを考慮して転職したり退職したりする人もいます。大切なのは、自分の体や仕事環境に合わせて後悔のない選択をしていくことではないでしょうか。
(※本ページに記載されている情報は2019年8月26日時点のものです。)