2018年から、「積立型NISA」という新しい少額投資非課税制度がスタートすることが決定しました。今まで資産運用をしたことがなかった投資初心者の方にとって、積立型NISAは、長期的な資産運用に最適な制度です。今までのNISA制度とどこが違うのか、積立型NISAのメリットとは何なのか、一緒に確認しておきましょう。
積立型NISAの創設
今までのNISAとどこが違うの?
2017年1月11日
そもそもNISA(少額投資非課税制度)とは?
現行のNISA(少額投資非課税制度)は2014年からスタートしており、すでに約3年が経過しました。まずは、現行のNISA制度について、その仕組みをおさらいしておきましょう。
通常、私たちが資産運用を行う場合、株式や投資信託などでもらえる配当や譲渡益には、所得税や住民税がかかります。この税率は、2016年現在、20.315%。しかし、証券会社や銀行でNISA口座を開設して取引を行った場合、この税金がかからないという仕組みです。NISA口座では、年間120万円(買付代金)まで非課税で投資が可能。投資をした年から、最大5年間非課税で資産運用ができるというメリットが受けられます。
現行のNISA制度について、さらに詳しく知りたい方は、日本証券業協会のホームページを確認してみて下さいね。
NISAの普及率はどのくらい?
では、現行のNISA制度は、私たちの生活にどのくらい普及しているのでしょうか。日本経済新聞(2016/12/9)によると、現行NISAの口座開設数は、2016年6月時点で約1,030万口座。そして、2016年7月現在のNISA口座での平均投資額は66万419円となっています。ただし、このうち一度でもNISA口座で取引をしたことがある人の割合を表す「稼働率」は、50%を満たしていません。つまり、実はまだまだNISAが十分利用されていないという現状があるのです。
そこで、2018年から新たに創設されることになったのが「積立型NISA」という制度。この新制度が、現行のNISAとどのように違うのか、その特徴を詳しく見ていきましょう。
新しい積立型NISAの特徴とは?
積立型NISAは、毎年40万円までの投資から得られる配当金や売却益などを20年間非課税にできるという制度です。現行のNISA制度は、年間120万円までの投資が可能でしたが、非課税期間は5年間だったので、計600万円分(120万円×5年間)が非課税になります。
一方、新制度は、年間40万円までと投資できる金額は少なくなりますが、非課税期間は20年間続きます。つまり、新制度では、計800万円分(40万円×20年間)が非課税になる計算ですね。
さらに、新しい積立型NISAの特徴として、投資対象となる金融商品は、信託期間が20年以上のものや毎月分配型でないものなど、長期の分散投資に適したものに限るということが挙げられます。具体的な対象の商品は、引き続き、金融庁が金融機関などと協議して決定する予定です。また、現行のNISAと、新しい積立型NISAの併用は認められず、利用者はどちらか選択することになります。
積立型NISAを利用して賢く資産運用を
それでは最後に、積立型NISAを上手に使って資産運用を始めるポイントをご紹介しましょう。積立型NISAは、その名前の通り、コツコツお金を積み立てる投資に向いています。投資初心者で一気に投資をするのが怖い方や、元手となる資金があまりない方などの場合でも、少額からスタートすることができます。
例えば、毎月3万円(年間36万円=3万円×12ヶ月)からでも積立型NISAで投資が可能。仮に、年率3%として、積立型NISAで毎月3万円の投資を20年間続けたとすると、元本720万(年間36万円×20年)は、20年後に約970万円となり、250万近い運用利益を非課税で得ることができるのです。
投資する商品は、毎月違う投資信託や株式を買ってもいいですし、ドルコスト平均法を用いて同じ金融商品を購入することもできます。実際に投資を始めてみると、日本や世界の経済ニュースなどに関心が持てるようになり、勉強にもなりますね。積立型NISAを上手に利用して、少しずつ学びながら、資産運用のスキルを身につけていくと良いでしょう。
いかがだったでしょうか。新しい積立型NISAは、私たち個人投資家が、資産運用を始めやすい環境を整え、日本全体の「貯蓄から投資へ」の流れを後押しする目的で創設されます。今まで投資をやったことがなかった人でも、少額から手軽に始められる制度ですね。これを機会に、自分の将来や老後資金のために、計画的な資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。