共働きのK代さんは、現在育児休暇中。子どもが1歳になり職場復帰するまで子どもとの時間を楽しむ予定ですが、何しろお金がかかるというのがいまの悩み。育児休業給付金はもらっているものの、子どもにお金がかかるため月々の収支が苦しく、足りないときは貯金を取り崩してしのいでいるそう。これが続くと後々困るのではないかと不安を感じていると言います。そこで、K代さんの家計簿をチェックして改善点を探ります。
【FP家計簿チェック】32歳、育休中。子どもの費用にお金がかかるが、私の収入が減り毎月ギリギリ。良い家計管理法はありますか。
2019年7月12日
今回の相談者は、育児休暇中K代さん
K代さん(32歳)のプロフィール
- ・既婚・共働き(育児休暇中)
- ・地方都市在住
- ・世帯収入:(夫)手取り月収21万円/(K代さん)育児休業給付金月額11万3,000円/児童手当1万5,000円
会社員のK代さんは現在育児休暇に入って5ヶ月目。これまでフルタイムで働いていたため、子どもとの時間を満喫しています。これまで家計は夫婦で別管理。二人のお出かけの際にも特に決めごとはなく、なんとなくどちらかが出す感じでした。子どもの誕生を機に、K代さんがまとめてやりくりするようになったとのことです。
子どものことに関してはお金をケチりたくないし、将来の教育もしっかりしたいというのが夫婦共通の希望です。
K代さんの家計簿をチェックしてわかったこと
共働き夫婦にありがちなことですが、こだわりがある部分に関しては支出を惜しまない傾向があります。K代さんご夫婦は子どもに関しては良いものをというこだわりがあるとのことですが、子ども費が月々2万6,000円前後かかっているとのこと。内容はおむつ代やミルク代、肌着や知育玩具などですが、「良さそう」と思ったらついつい買ってしまうそう。学資保険にも早速加入したそうです。
しかし、子どもが生まれてから増えた支出は他にもあること、育児休業給付金も6カ月を過ぎると今より減ってしまうことから、このままのやりくりでは赤字になると不安になってのご相談です。
そこで早速、K代さんの家計簿を拝見しました。
子どもの出生に伴い、いくつかの費目で支出額が増えました。
・食費
平日は子どもと2人で自宅にいるK代さんはおむつ替えやら洗濯で休む暇がないK代さん。やっと寝静まった……と思ったら急に子どもが泣き始めて、ご飯もろくに食べられないそうです。ご飯をつくるのも大変で、旦那さんが仕事帰りにお弁当やお惣菜などを買ってきてくれたり、週末は車でショッピングモールに出かけ、外で食べることが増えたそうです。
・光熱費や水道代
1日中家にいるようになって、電気代が増えているそうです。また、おむつ替えの時に汚してしまったり、ミルクを飲みこぼしてしまったりで、1日に何枚も肌着の着替えが必要になり、しょっちゅう洗濯。水道代も増えてしまっています。
・自動車費用
子どもの誕生に伴い、ベビーカーを乗せられるよう、トランクが大きめの車に買い替えたK代さんご夫婦。車両保険をグレードアップしたことから自動車保険料が増えたとのこと。ローンも新たにできました。
一方で、新たにもらえるようになった児童手当は「ないもの」と考えて今のところは貯金に回しているが、月によっては誘惑に負けそうなときもあるそうです。
育児休業給付金が下がることも考えて!
今回のご相談者K代さんは育児休業給付金の受給を始めたばかり。
育児休暇の取得を考えるときには、育児休業給付金の支給の仕組みを知っておかなければなりません。
育児休業給付金は支給申請および支給日が2ヶ月単位と決まっています。申請タイミングもよりますが、初回分の振込は育児休業が始まってから4ヶ月程度かかるのが通常です。最初に振り込みされるまでの期間や、受給期間中も上手にやりくりすることが必要です。
なお、支給は最初の6ヶ月間は「休業開始時賃金日額×支給日数の67%相当額」、ざっくり、給料月額の67%と考えておくと良いでしょう。その後は50%相当額に減額されます。
K代さんの場合は、現在、1カ月当たり11万3,000円の育児休業給付金をもらっていますが、8万5,000円に下がる日は遠くありません。
子どもが1歳になるときに保育園に預け、職場復帰をするメドはたっているとのことで、あと8カ月くらいやりくりを頑張ればK代さんの収入も育児休業前の金額に戻る予定だと言います。しかしながら、今度は保育料がかかることを忘れてはいけません。
当面は、育児休業給付金が減額された後でも赤字にならないこと、職場復帰後に保育料がかかっても赤字にならないことの2点を目標に、月々4万円の節約に努めることにしました。
FPのアドバイス
まずは子ども費をカット
オムツやミルク代にお金がかかるのは仕方ないことですが、毎月2万6,000円かけているのは考えものです。
少し古い統計ですが、内閣府が実施した「インターネットによる子育て費用に関する調査(2009年)」によると、0歳児にかかるオムツ、お尻ふき、ベビーパウダーなどの生活消耗品費は年間約9万5,000円。1ヶ月当たりに換算すると約7,900円です。衣服や下着類は年間約72,000円で、1ヶ月当たりでは約6,000円です。これらを合わせても13,900円。
他にも0歳児を持つ家庭では「お祝い行事関係費」が多くかかっていますが、K代さんの家計では、お祝いごとは夫婦双方の実家が出してくれているそうです。K代さんご夫婦の場合は「知育」「質の良いもの」へのこだわりが金額を上げていますから、思い切ってこれらをカットすることも必要です。当面必要なものはすでに充分買っていると思います。
同調査によると、1歳になると「生活用品費」と「お祝い行事関係費」はぐっと下がりますが、食費、保育費が上がり始めます。もともと「お祝い行事関係費」がかかっていないK代さんの家計では、今のようなお金の使い方をしていると、この先、オムツ等が不要になっても、食費・保育費などの増加で家計はさらに苦しくなってしまうことが考えられます。
職場復帰後の収支の変化の可能性を考慮し節約を
職場復帰後は以前の収入に戻ると考えているK代さんですが、実際に復帰してみると時短勤務に変えたくなる可能性もなくはありません。また、保育費以外にも家事効率のためにさまざまな家電製品を購入して、支出が増大する可能性もあります。子どもが増えた分、支出が増えることは確実ですから、これまでのお金の使い方を改めて、夫婦の支出も節約に努めることが必要です。
家にいるようになってK代さん自身のおこづかいは減らしたとのことですが、旦那さんにも協力してもらいましょう。
また、今のK代さんの状況ではお総菜などに頼ることも仕方ない部分はありますが、できるだけ手作りの時間も取るようにしたいですね。もう少し先に離乳食が始まりますから、どの食材なら離乳食用にも共用できるか……なんて考えながら料理すると、疲れより楽しみの方が強くなるのではないでしょうか。
今回の家計簿チェックでK代さんへの家計簿見直し提案はこのようになりました。
子どもの出生は家計を見直す良い機会です。これまで別財布で、世帯全体の家計管理をしていなかったK代さんご夫婦ですが、K代さんが代表して行うようになったのは立派な進歩です。今回、旦那さんもおこづかいの減額や携帯電話を格安スマホに変えて節約に協力してくれました。習い事や教育などはしっかりしたいというお2人の希望を叶えるためには、今後も保険や電気代契約等々、さまざまな節約が必要になってくると思います。これからもお2人で協力し合って、節約や貯金に励んでいってください。
(※本ページに記載されている情報は2019年7月12日時点のものです)