結婚したいのに、踏み出す勇気がなくて躊躇してしまう。そんなアラサー女子が増えています。気の合う彼氏がいて、一緒にいると楽しくて、結婚をはばむ障害はとくに見あたらない。けれども、少し気になるのは、かいま見える金銭感覚のズレ。ひょっとして、あなたもそのひとりでしょうか。たしかに社会の先行きは不透で将来への不安は高まりがちです。でも、待って。あなたの将来の希望、お金の不安に負けていませんか?
結婚したいのに、踏み出せない……。
それって、お金の不安に負けていない?
2019年6月13日
金銭感覚のズレって、問題かしら?
30歳の誕生日を、彼に祝ってもらったS子さん。つきあって3年になる彼の口から、ぽろりとこぼれた「そろそろ結婚しようか」という言葉。脳裏をかすめたのは、やっとその気になってくれたか、という甘やかな喜びと、このまま飛び込んでいいのだろうかという戸惑い。ふたつの相反する思いは、ぶつかりあって揺れています。
彼は快活で、友人も多く、一緒にいて楽しい人。これまでつきあった人の中でも、いちばん頼りになりそうな気がしています。ただ真剣に交際するようになってから、少し引っかかっていることがありました。それはお金の使い方。S子さんとは、かなり違っているのです。
どちらかというと地味で堅実、お金をコツコツ貯めるタイプのS子さんに対し、彼は活動的で、何事にも前向きなタイプ。決断も速く、趣味にも遊びにも熱心で、それらにお金をかけることをためらいません。とはいえ、彼は仕事も熱心で、収入が低いというわけでもない。単にお金に鷹揚なだけ。問題行動があるとまではいえません。
S子さんに、結婚をこばむ理由はないのですが、生涯を共にするとなるとどうなのかな、と違和感を覚えています。その違和感を助長しているのが、雑誌やネット上の記事。「金銭感覚が違う相手とはうまくいかない」「お金の使い方は、結婚前によく話し合うこと」そんなアドバイスを、しばしば目にする今日この頃。友人のひとりが、離婚した直後に「価値観が合わなくて、やっぱりダメだった」とつぶやいたのも、頭の中でリフレインしています。
価値観の相違は、愛や努力で埋められる?
もうひとり、結婚に疑問を持ち始めた女子がいます。婚約中のK美さん、31歳です。ことの発端は式場探し。ちっとも動こうとしない彼に、業を煮やしたK美さん。「どうでもいいよ」とつぶやいた彼の言葉を、「オレは仕事が忙しいから、面倒なことはキミに任せる」という意味だと受けとめました。
彼は8歳年上の39歳。思慮分別のある大人です。なので、式場は落ち着いた雰囲気のホテルがいいと考えました。K美さんも、若いうちに結婚した姉や友人とは、少し違うものにしたかったので丁度良いと思いました。式場と披露宴会場を下見して、2カ所にしぼりこみ、見積もりをつくってもらい、違いがわかりやすいよう自分で比較表までつくって準備万端です。最後は彼に決めてもらおうと、会いにいったところ、彼は不機嫌に黙り込んでしまいました。
どうやら彼は、小さな教会かどこかで、2人でひっそり式を挙げておしまいにしたかったようでした。彼の思惑を探るうちに見えてきたのが、お金に対する考え方の違い。2年あまりの交際で、彼が真面目で堅実、派手なことやぜいたくなことを好まない、ということには気づいていました。子どものころにお父さんの事業が傾いて、苦労した時期があったことも聞いていたからです。
それだけに、お金には几帳面で、しっかり貯蓄している、と好意的に解釈していたのですが、ふいにあらわになった価値観の相違。結婚式を一生に一度の大事なセレモニーと考えるK美さんに対し、「見栄を張りすぎだ。お金のムダじゃないか」と考えているらしい彼。
別の顔を見てしまったように感じたK美さん。彼と結婚したら、精神面でも経済面でもきっと頼れるはず、と信じていただけにショックを受けています。
お金との向き合い方に、自信ありますか?
金銭感覚は、長い年月をかけて培われるもの。顔かたちや性格や食べ物の好みが、人によってみんな違うように、お金に対する考え方も十人十色です。
たしかに似ていた方が、摩擦は少ないかもしれません。でも、似た者同士にはリスクもあります。考え方に偏りがあっても気づきにくく、修正されないままひどくなっていく、ということが往々にしてあるからです。
金銭感覚に限らず、自分とは異なる価値観、異なる考え方にふれるのは、とても大切なこと。そこに気づきがあり、成長があるからです。価値観の違いを体感したいま、お金とのつきあい方を再確認するチャンス、ととらえてみてはどうでしょう。
お金を有効に使っているか。小さな倹約で自己満足していないか。将来への不安で萎縮していないか。欲に振り回されていないか。人生を長い目でみているか。人として成長できているか……。価値観の違いを感じたときこそ自分の思考や、知識や、習慣を、冷静かつ客観的に検証するいい機会かもしれませんよ。
(※本ページに記載されている情報は2019年6月13日時点のものです)