結婚式に向けての準備は楽しいものですが、お金のやりくりなど大変な面もあるのが事実。
2人で結婚式費用を用意するケースのほか、両家の親から援助してもらうケース、どちらかの親から援助してもらうケースなど、それぞれのカップルによって事情は変わります。
このとき、結婚式費用を親に援助してもらった場合に贈与税がかかるのかどうか気になりませんか。
結婚のために親に出してもらうお金と贈与税の関係についてご紹介します。
結婚のお金を親に出してもらったら
贈与税がかかりますか?
2019年4月24日
結婚式のお金をどう負担する?
友人にも話しづらい結婚資金のこと
結婚費用のかかり方はカップルや地域によってそれぞれですが、金額が大きくなるケースが少なくありません。そのため、どのように用意したか、いくらかけたかなどのことは、友人にもなかなか相談しづらいですよね。カップルによって、2人だけで結婚資金を用意するケース、両家の親に援助してもらうケース、片方の親に援助してもらうケースなどの違いもあります。
親に結婚資金を援助してもらえるのはありがたいことですが、贈与税がかからないのだろうかと心配する人もいます。気になるこの問題については、国税庁が「本来費用を負担すべき人が分担している場合には贈与にはあたらない」旨の見解を出しています。安心してください。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/131206/pdf/01.pdf)
負担すべき費用のみである点に注意
もともと結婚にともなうお金以外についても、扶養義務者が生活や教育のために出したお金については贈与税がかからないことになっています。大学費用や一人暮らしの費用を出してもらうなどのケースでも贈与税は関係ありませんよね。
しかし、例えば結婚式のためにもらったお金が余ったからと貯金してしまったり資産運用に回してしまったりすると、生活のために必要なお金に該当しなくなり贈与税対象となってしまいます。贈与税には基礎控除110万円が定められていますが、基礎控除分を超えたら贈与税を払わなければなりません。
一括贈与の非課税制度も使える
結婚資金だけでなく子育て資金にも
さて、恒久的な制度ではありませんが、結婚と子育てを目的として直系尊属(親だけでなく祖父母も含む)から、まとまったお金を非課税で贈与してもらえる制度もあります。「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。
この制度は、経済的な不安で結婚や出産をためらう世代に親や祖父母からの資産早期移転による支援がされやすいようにということで2015年に創設されています。2019年度税制改正により、2020年度まで延長して適用されることが決まりました。
【結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置のポイント】
・受贈者の年齢制限は20歳以上50歳未満
・子や孫ごとに1,000万円まで
受贈者1人につき1,000万円まで
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」では、結婚だけでなく子育て時期も含めたお金を非課税で一括贈与してもらえるというメリットが得られます。なお、受贈者となる子や孫ごとに1,000万円までと上限が定められているため、祖父と祖母から1,000万円ずつ、合計2,000万円をもらって非課税とするわけにはいきません。
なお、贈与される人の前年の所得が1,000万円超の場合は、この制度を使えません。結婚資金に使える金額が300万円までという上限もあります。
また、子や孫が50歳に達すると終了となり、残金があれば贈与税が課税されてしまうため計画的に使用する必要もあります。贈与者が死亡したときに残ったお金についても相続財産に加算されてしまいます。
信託会社などとの契約も必要
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を利用するときには、贈与者と受贈者の直接のやりとりではなく信託会社などに間に入ってもらって契約を結ぶ必要があります。結婚や子育て資金の支払いに使ったことがわかる領収書などを信託会社などに提出する必要もあります。
お金を使用するタイミングについても制限があるため注意が必要です。
・挙式や結婚披露宴にかかったお金:入籍日の1年前以降に支払いがされたものに限る(※)
・新居にかかった費用や引っ越し代:入籍日の1年前後以内に締結した賃貸借契約に関するものに限る
※入籍後の支払期限はない
結婚前にかかる費用は対象外
一括贈与してもらったお金は結婚式だけでなく新居の費用や不妊治療、産後ケア、子どもの保育料などにも使えますが、産後ケアについては出産後1年以内に支払われた費用で6泊分あるいは7回分に限られています。
また、結婚にかかわることであれば何でもいいと考えていると思わぬ予定外の出費につながるため、どんなことに使えるのかについて事前に確認しておくと安心です。新婚旅行費用は対象外であり、下記のとおり結婚前にかかる費用なども対象外となっています。
【対象外となる費用】
・婚活費用
・両家顔合わせ費用
・結納の費用
・指輪代
・ブライダルエステ代
新居への引っ越し費用は対象ですが、不要品を処分するための費用やレンタカー代、友人に頼んだ場合の費用は対象外となります。
結婚のお金を親に援助してもらっても贈与税はかかりませんが、親の愛情表現の一つである援助に対して、お礼の気持ちをきちんと言葉にして伝えたいですね。