近頃ニュースで「ブレグジット」という言葉を聞きませんか? それって何のこと?って思う人、聞いたことあるけどよくわからないという人は多いはず。もちろん、ブレグジットが自国や世界の経済、人々の生活にどう影響を及ぼすのかは識者にとってもわからないことです。 それでもこれまで知らなかったことを知るにはいい機会かもしれません。ブレグジットだけでなく、知っておいて損はない、ヨーロッパとお金のアレコレを説明します。
最近ニュースを賑わす「ブレグジット」って?
私の生活に関係あるの?
2019年2月23日



そもそもブレグジットって?
ブレグジットという言葉は元々存在していた英語の言葉ではなく、英国のEU(European Union=欧州連合)からの離脱を縮めた表現として使われるようになった言葉です。英国を意味する「Britain(ブリテイン)」と、離脱を意味する「Exit(エグジット)」の2つを組み合わせた「Brexit=ブレグジット」という造語です。
そもそもEU離脱ってどういうこと?なぜ離脱?
EU(欧州連合)とは、経済的・政治的協力関係を持つ民主主義国家が集まって作られた共同体。2019年2月現在、ヨーロッパの28カ国が加盟しており、英国も加盟国の1つです。
EUは基本理念として域内でのヒト、モノ、資本、サービスの4つの「移動の自由」を掲げています。英国も2000年代にポーランドなど東欧の新規加盟国から労働力を積極的に受け入れており、移民の多い国の1つです。ただ、金融危機などで雇用情勢が悪化すると労働者を中心に「移民に職を奪われている」という不満が蓄積することがあります。
また、EUに加盟するには細かな規制を遵守しなければならなかったり、拠出金を支払わなくてはならなかったり、加盟国にとっては負荷もあります。政治的なことはなんとも言えませんが、本来は経済的・政治的なメリットがあって加盟に至るものだと思います。一方で、EUの官僚的な体質や細かな規制、英国が負担するEUへの拠出額の大きさを問題視する声もあったようです。
結果としてEUを離脱する声が上がり、2016年6月には英国の国民投票行われ、僅差で「離脱」が「残留」を上回ったという次第です。
知っておいて損はない?! ヨーロッパの経済・お金事情
「英国がEUを離脱しても、日本に住む私にはなんら関係ないわ……」と考える人は少なくないかもしれません。それでも為替や金融市場の混乱など、世界的に経済が不確実な状態になる可能性もあります。関係ないと思わずに、今後も関心を持ってニュースを見ていきたいものです。ヨーロッパの経済・金融事情など、知っておけばニュースの理解度が高まるかもしれません。
EUのヒト、モノ、資本、サービスの4つの「移動の自由」って何?
私たちが外国に行くときにはパスポートが必要ですね。行き先国や滞在期間によってはビザが必要です。EU加盟国間ではパスポートやビザが不要で行き来自由。これがヒトの移動の自由です。
モノが国境をまたぐ時には関税がかかるのが通常です。外国のアマゾンのサイトで買い物をして日本に配送してもらい、個人輸入をしたことがある人は関税を支払った経験があるでしょう。これがEU加盟国間では関税がかかりません。
資本の自由はお金の移動。実は知らない人も多いですが、国外に貨幣を持ち出して、送金、投資するときには○○円(○○ドルなど)までというように金額に制限がかけられています。EU加盟国間ではこの制限がありません。
サービスの自由は経済活動のこと。例えば、医師や弁護士など、事業活動を行うのに免許が必要なものがあります。例えばドイツで免許を取った人がフランスでその免許で事業活動を行うなどということが自由だということです。もちろん加盟国域内に限ります。
ヨーロッパの通貨はユーロだけど、英国はポンドじゃなかった?
EUはヨーロッパの28カ国が加盟する政治・経済統合体です。その歴史は古く、1952年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体にさかのぼります。当時の加盟国は6カ国。その後、徐々に加盟国が増えたり、新たな条約が発効されたりしながら今の体制になってきています。
その経過のなかで、「単一通貨(ユーロ)」を導入する動きがあり、1999年1月、EU加盟国中の11カ国がユーロを導入、2002年1月にユーロ貨幣が流通しました。
したがって、EUに加盟するすべての国がユーロを導入しているわけではなく、2019年2月現在でもユーロを導入しているのはEU加盟28カ国中の19カ国という状況です。英国はユーロではなくポンドを使っています。
経済知識が私のお金に結びつく?!
これらの知識を得るのはいいけど、やっぱり私には関係ないのでは?と思う人もいるかもしれません。それなら身近な貯金や資産形成について考えてみましょう。
例えば為替。為替は経済の先行きや国政などで敏感に動くものです。例えば2016年6月の国民投票の翌日にはイギリス・ポンドは対円で26.99円下落、騰落率は17.11%と2005年以降最大の変動幅・騰落率を記録しています。ユーロも、最大記録というわけではないものの、2016年6月には円高・ユーロ安が進行しました。
EU・英国間での離脱協定締結の期限が2019年3月29日とされていますが、当原稿執筆時点でまだ両者の合意に至っていない状況です。今後の展開によっては為替が大きく動く可能性は否めません。
このような為替の知識は実はあなたのお金や貯金に関係なくはありません。ヨーロッパ諸国への旅行や留学に行く時などにはイギリス・ポンドやユーロへの換金が必要ですね。できるだけおトクに換金するためには円高の時に換金タイミングを合わせたいものです。多額を換金した後に、さらに円高になった……となれば貯金の減り具合も変わってしまいます。
外貨預金もしかり。外貨預金で利益を出すには、お金を預けた時よりも円安になった時に円に換金するのが基本ですが、こういった世界の経済事情を知っておくことで、為替の動きにもスムーズに対応できるかもしれません。
とはいえ、為替の動きは政治的な要素も影響するもの。予測するのはとても難しいものですが、知識はあなたとお金の結びつきの可能性を増やしてくれるはず。
それで外貨預金に興味を持つようになったなら、「円高・円安のストレスにさようなら!ワンコインから出来る外貨積み立てって?」の記事も参考にしてみてくださいね。