最近では、皆さんにもお馴染みになった個人賠償責任保険。加入している人も多いのではないでしょうか。でも、実際利用したことがあるという人は意外に少ないかもしれませんね。
イザという時に困らないように、どのような場合に利用できるのか具体例をあげて解説します。
こんな場合は補償されるの?
個人賠償責任保険、徹底解説!
2019年2月17日
個人賠償責任保険とは
最近では、よく聞くようになった個人賠償責任保険。
名前は聞いた事があっても、実際使ったことがある人は少ないのではないでしょうか。
まずは、改めて個人賠償保険についておさらいしておきましょう。
きっかけは自転車保険
個人賠償責任保険は以前からありましたが、関心が集まるようになったのは、自転車保険が注目されるようになったからです。
自転車保険が注目されるようになったのは、2008年に自転車に乗った小学生の男児が女性と衝突し、女性は意識不明の重体となりました。その後、男児の保護者に対して約9,500万円の損害賠償が命じられました。万が一自分が加害者になってしまった場合、このような莫大な金額をすぐに支払うことは難しいですね。でも、日常生活において自転車は身近で手軽な乗り物です。誰もが被害者にも加害者にもなってしまう可能性があります。そのため、万が一の場合、負担を減らせる自転車保険が注目され始めるようになりました。
自治体によって、自転車保険が義務化された地域や導入の検討を進めている地域があります。
個人賠償責任保険でカバーも
このように、自転車保険が注目されるようになりましたが、自転車保険は自転車に乗っている時に相手をケガさせた時に限られます。
でも、日常生活において、自分が他人をケガさせてしまったり他人の持ち物を壊してしまったりした場合にも賠償責任は発生します。 そのような場合に幅広く補償されるのが個人賠償責任保険です。
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険、傷害保険などに特約として加入します。そして家族の中で誰か1人が加入していれば、家族全員が補償されます。
気になる保険料は、賠償額が1億円から無制限でも年間3,000円程度です。この保険料で家族全員の安心が得られるのなら、ぜひ加入を検討したいですね。
個人賠償責任保険、こんな場合は補償される?
個人賠償責任保険は、個人が事故やトラブルで法律上、損害賠償責任を負った時に利用できます。
では、日常生活でありがちな様々なトラブルの例をあげてみていきましょう。
①マンションで排水ホースが外れ階下に水漏れした。
②子供がサッカーボールを蹴って他人の家の窓ガラスを割った。
③仕事中、自転車で外回りをしていて他人にぶつかりケガをさせた。
④食器売り場で買物をしていて、商品のお皿を割った
⑤台風で自宅の屋根瓦が飛んで、隣の家の窓ガラスを割った。
⑥自動車を運転していて、他人の外壁を傷つけた。
⑦他人からCDを借りていて、割ってしまった。
⑧食事をしていて、他人の服にワインをかけてしまった。
⑨自転車に乗っていて、駐車中の自動車にぶつかり傷をつけた。
⑩子供がケンカをして他人の子供を怪我させた。
補償されないのは?
上記の10項目の中で保障されないのは、③、⑤、⑥、⑦、⑩です。1つずつ解説していきます。
③仕事中、自転車で外回りをしていて他人にぶつかりケガをさせた。
これは「仕事中」というところがポイントです。
職務執行中の事故は個人賠償責任保険の対象外になります。
⑤台風で自宅の屋根瓦が飛んで、隣の家の窓ガラスを割った。
昨年被害に合ったという人も多いのではないでしょうか。被害に合った方からすると、賠償してほしい気持ちになりますね。
でも、一般的に自然災害は不可抗力として責任を問われないことになっています。
ただし、屋根が壊れかけているのを知りながら放置していた場合、管理責任を問われるケースもあるようです。
⑥自動車を運転していて、他人の外壁を傷つけた。
これは「自動車の運転」がポイントです。
自動車の運転中の事故は、自動車保険が適用されます。
航空機、船舶、車両の保有・使用・管理に起因する
損害賠償責任は対象外です。
⑦他人からCDを借りていて、割ってしまった。
この場合「借りた」というところがポイントです。
他人の物でも借りている人の管理下にあれば対象外となります。借りた物を壊した場合、「受託品責任賠償補償特約」と呼ばれる特約を付ける必要がありますが、一般的ではありません。
ただし、最近では個人賠償責任保険の補償範囲を拡大し、他人から借りた物でも補償されつつあるようです。東京海上日動火災保険では、2019年1月より個人賠償責任補償特約の補償範囲を拡大し、「他人から預かった物・レンタル品等の受託品」を追加しました。
これからも各保険会社での動きを注目していきたいですね。
⑩子供がケンカをして他人の子供を怪我させた。
基本的に、「被保険者または被保険者の指図による暴行または殴打に起因する賠償責任」つまり、ケンカでケガをさせた場合は対象外となっています。
保険は、「滅多に起こらないけれど万が一起こった時に自分では対処できないこと」に対してかけるものです。利用しないで済むのに越したことはありませんが、自分にとって必要な補償が受けられるのか、もう一度見直しておきましょう。